2018年08月02日 11:52 弁護士ドットコム
東京医科大が2018年2月に実施した一般入試(医学部医学科)で、女子受験者の得点を一律で減らし、合格者の数を抑えていたことがわかったと読売新聞が8月2日に報じた。女子だけに不利な操作は、2011年ごろから続いていたとされ、文部科学省の私立大支援事業を巡る汚職事件の捜査過程で、東京地検特捜部もこうした操作を把握しているという。
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「一刻も早く、国からの税金を切ってほしい」「うちらの税金がこんな大学にも使われているのか…」ーー。この報道を受け、ネット上ではさっそくこうした反応が出始めた。
東京医大に対しては、税金を原資とする多額の補助金が毎年交付されている。「私立大学等経常費補助金」といい、文科省が所管する特殊法人の日本私立学校振興・共催事業団によると、(1)私立大学等の教育条件と研究条件の維持向上(2)学生の修学上の経済的負担の軽減(3)経営の健全化等に資する、ことが趣旨となっている。
直近の2017年度の交付額は23億円(大学別で25位)。報道によると、不利な操作は2011年ごろから続いていたとされる。そこで、2011年度までさかのぼって交付額を調べてみた。
2016年度は21億円(同28位)、2015年度は20億円(同30位)、2014年度は23億円(同27位)、2013年度は22億円(同28位)、2012年度は23億円(同25位)、2011年度は21億円(同30位)だった。ここのところは20億円規模の補助金を毎年受け取っていることがわかった。
補助金は、大学が問題を起こせばカットされる可能性もある。補助金の取扱要領によると、状況に応じて10%、25%、50%、75%さらには全額カットする場合がある。減額または全額不交付となるのは、学校経営に関する刑事事件で役員または教職員が逮捕・起訴されたり、管理運営が適性を欠く場合(私立学校振興助成法5条5号)などとされている。
今回伝えられた「不正操作」の全容はまだわからないが、今後の展開によっては、補助金の大幅カットもあるかもしれない。
なお私立大学に対する補助金は、日本大学の「悪質タックル問題」の影響もあり、注目されている。2017年度の交付額トップ10を改めて紹介すると次のとおりとなる。
(1)早大=約92億円(2)日大=約91億円(3)慶應義塾大学=約90億円(4)東海大学=約62億円(5)立命館大学=約60億円(6)順天堂大学=約55億円(7)昭和大学=約54億円(8)近畿大学=約46億円(9)北里大学=約40億円(10)福岡大学=約37億円(※ちなみに18位が関西学院大学=約27億円)
(弁護士ドットコムニュース)