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民泊トラブル「鍵が開かなかった」「ホテルのはずが民泊」 国民生活センター相談増える

2018年08月02日 10:42  弁護士ドットコム

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2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行された。民泊は空き家対策や増加する外国人観光客への対応といったメリットがある一方、地域住民とのトラブルが発生していることが背景にある。


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国民生活センターの統計によれば、全国の消費生活センター等に寄せられた民泊の相談件数は、2015年度は57件、2017年度に271件と大幅に増加している。内容を見ると、トラブルが民泊ホストと地域住民間だけでなく、ホストと利用者のあいだでも起きていることがわかる。全国の消費生活センターにはどんな相談が寄せられているのだろうか。(ライター・高橋ホイコ)


●鍵が開けられず宿泊できなかった

まずは40代の女性の事例だ(2017年9月受付)。彼女は家族旅行のためインターネットで安い宿泊先を予約した。予約後に外国語のメールが届いた。メール本文は読めなかったが、チェックインの方法を示す地図や写真が添付されていたので、「指定場所の郵便受け内に携帯電話があり、電話をすればよい」と思ったという。


宿泊の当日、指定場所には鍵の束が置いてあったが、宿泊先の鍵はなかった。予約仲介サイト運営事業者から宿主に連絡してもらったが連絡が取れなかったので、あきらめて帰宅した。後日、予約仲介サイト運営事業者から「宿主は料金を請求すると言っている」と連絡があり、困っているという。


民泊の場合、民泊施設に従業員がいなかったり、鍵の受け渡しが手渡しではなかったりと従来のホテルとは異なる。他にも次のようなトラブルが寄せられていた。


・マンションに設置しているキーボックスから暗証番号を使って取り出すように指示されたが、鍵が入っていなかった


・事前に知らされていた建物のオートロックの番号を入力しても、中に入れなかった


●ホテルのはずが民泊

次は50代の女性の事例だ(2017年7月受付)。インターネットの予約仲介サイトで「早期予約で約 20%割引」の部屋を予約した。予約直後にサイトをよく見直すと、予約したのは「○○ホテル」という名前の民泊だった。一般的なホテルを予約したかったのでキャンセルをしたところ、早期予約の条件として宿泊料金全額をキャンセル料として請求された。


女性は「利用した予約仲介サイトがホテル専用だと思っていた。民泊も扱っているならばもっとわかりやすくしてほしい」としている。


ほかにも予約仲介サイトの見づらさが原因のトラブルが発生している。「予約直後でも宿泊料全額のキャンセル料が請求されるなんて知らなかった」「宿泊料とは別に清掃料金が必要とは知らなかった」などの相談が寄せられていた。


●トラブルにあわないために何をすべきか

国民生活センターによれば、予約仲介サイトには「民泊であること、宿泊に必要な料金総額、キャンセル規定」が表示されていたが、利用者側がきちんと認識することなく予約申し込みをしてトラブルになっているケースが多いという。予約仲介サイト側の表示の工夫も必要だが、自分の身を守るためには確認を怠らないことが重要だ。さらに、鍵の受け渡し方法や緊急連絡先を宿泊前に確認しておくことも有効だろう。


●問題点は「苦情の申し出先がわからない」

全国の消費生活センターには、民泊の周辺に住む地域住民からの相談も寄せられている。「外国人複数人のグループが入れ替わり宿泊し、夜中に騒いで迷惑である」「ごみが適切に処理されていない」などだ。こういった問題に対し、地域住民がどこに苦情を言ったらいいのかわからないことがトラブル解決を妨げている一因となっている。


民泊新法により届け出られた民泊である「住宅宿泊事業者」は、民泊をやっていることがわかる標識の掲示が義務づけられている(旅館業法による許可を得ている場合、国家戦略特区法認定の民泊を除く)。さらに家主不在型の民泊は、標識に緊急連絡先を記載しなければならない。地域住民の苦情に対して適切かつ迅速に対応することも義務づけられている。



届け出事業者は標識の掲示以外にも、定期的な清掃などの衛生管理、非常用照明器具の設置や避難経路の表示などの安全対策が義務づけられている。きちんと届け出された民泊を利用することは利用者にもメリットがある。


地域住民は届け出を行わない「ヤミ民泊」に不安を感じているかもしれない。観光庁では違法民泊について「旅館業法の無許可営業となり、罰則の対象となる」としている。法的な手続きを経ずに宿泊サービスの提供を行っているような施設を見つけた場合は、近くの保健所まで連絡してほしい。


【ライタープロフィール】


高橋ホイコ:2001年国民生活センターに入所。商品テスト、相談情報データベース(PIO-NET)、ホームページ関連の業務に携わってきた。2016年に退職し、現在はフリーライターとして活動している。


(弁護士ドットコムニュース)