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ふるさと納税で税金流出、一番「損」する自治体はどこ? 国からの補填なくダダ漏れも

2018年08月02日 10:42  弁護士ドットコム

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横浜市103億円、名古屋市60億円、大阪市55億円、川崎市42億円、東京都世田谷区40億円ーー。2018年度の「ふるさと納税」で、それぞれの自治体に入るはずだった住民税の減収額だ。7月27日に「平成30年度ふるさと納税に関する現況調査(住民税控除額の実績等)」として、総務省が発表した。


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●控除の恩恵、296万人が受ける

全国の自治体の2018年度減収額は2017年度に比べて1.37倍の2448億円となり、制度が始まって以来初めて2000億円の大台を突破。控除の恩恵を受ける人は296万人(2017年度比で1.30倍)といい、このままの勢いなら300万人を超えていくことは確実だ。東京都内からは計645億円が地方の自治体へと「流出」するとみられている。


ふるさと納税は、応援する自治体に寄付をすると、寄付額から2000円を引いた額が住所地の住民税から控除されたり、所得税から還付されたりする仕組み。多くの自治体が寄付に対する「返礼品」をそろえ、寄付を募っているが、その返礼品が地場産品ではなかったり高価すぎたりするとして、総務省がかねてから問題視している。


現状では総務省からの「やりすぎるな」という趣旨の通知にもかかわらず、各自治体の返礼品競争は一部ではまだ盛んで、ついに総務省が通知に従わない自治体リストを公表するにまで至っている。(過去記事:「ふるさと納税「国に反逆」12自治体を初公表…泉佐野市など、豪華返礼品抑制せず」https://www.zeiri4.com/c_1076/n_518/ )


●都市部、税収減に戦々恐々

目先の生活を考えれば、生活者として税金が減るのは嬉しい。ただ、自分が住む自治体の税収が減り続け、受けられるはずの行政サービスが十分受けられなくなったら、保育施設や学校の整備が滞ってしまったらーー。今後を懸念して、都市部の自治体ではとりわけ、ふるさと納税が地方へ流出する弊害が繰り返し指摘されている。


ふるさと納税により税収減となっても、地方交付税をもらっている自治体なら赤字分の75%は交付税により穴埋めされる。ただ、交付税をもらっていない東京都や東京23区、川崎市などの不交付団体に対しては穴埋めがなく、「純減」となってしまう。


上記のランキングに照らすと、交付税による穴埋めがない神奈川県川崎市が実質的に最も損をしていて、東京都世田谷区が2番目と言えそうだ。


(弁護士ドットコムニュース)