F1のスポーツ規範において団結という言葉は希少なものであることが、破産申請中のフォース・インディアに対してルノー、マクラーレン、ウイリアムズがとった姿勢から再度明らかになった。
F1ハンガリーGPが開催された週に財政的に苦しんでいたフォース・インディアの破産手続きが始まり、追い詰められたチームは所有権をビジェイ・マリヤから新たなオーナーに変更されることになる。
一方で、新たにフォース・インディアを所有するオーナーは、新規チーム名で登録を行うことになるが、現行のルールでは新規エントリーと規定されるため、分配金に関しては必然的にゼロからスタートすることになる。そのため新チームは1億5000万ドル(約168億円)程度と見られる2018年のフォース・インディアの収益を引き継ぐ権利はなく、F1の分配金も最初の数年は受け取る資格がない。
先週末のハンガリーで、F1のCEOを務めるチェイス・キャリーは、この件を“不可抗力”であると訴え、フォース・インディアの新オーナーがチームの分配金とテレビ放映の収益金の権利を保持することに同意するよう各チームに求めた。
しかし、Auto Motor and Sportのミハエル・シュミットによると、ルノー、ウイリアムズ、マクラーレンの3チームがキャリーの求めを拒否したということだ。3チームの反対により、フォース・インディアの売却は窮地に立たされる可能性がある。
F1は、分配金の仕組みの改定を含む2021年のルールを今も策定している最中にある。3チームがフォース・インディアへの対処に厳しい姿勢をとり、分配金の権利を承認するのと引き換えにレギュレーション面から何かしら補償を求めようとするのは妥当なことだろう。
誰もが知るように、F1ではただで手に入るものはない。しかし、過去2シーズンにおいてフォース・インディアは、財力に恵まれたチームであるルノー、ウイリアムズ、マクラーレンのパフォーマンスを軽々としのいでいた。この3チームはフォース・インディアの406人のスタッフを犠牲にして利益にあやかろうとしているのかもしれない。