2018年08月01日 10:22 弁護士ドットコム
長野県東部の小諸市(人口4万2000人)。浅間山を眺める標高約1000メートルの立地に、ふるさと納税により申し込むことができる「お墓」が登場した。2018年2月から始め、問い合わせは全国から150件以上。全国初の取り組みといい、各地の自治体からの視察や問い合わせも続いている。想像以上の反響に、市の担当者も驚きを隠さない。
【関連記事:無期雇用まで「あと1日」の雇い止め、無効訴え日通を提訴…原告「娘は涙を流した」】
お墓は、市が管理する「小諸市高峯聖地公園」の中にある合葬墓。鉄筋コンクリートの平屋建てで、約8平方メートルの規模となっている。もともと、市外の人であっても使用料を払えば永年使用ができたが、知名度は低かった。
ふるさと納税としてポータルサイト上でも紹介を始めたところ、ニュースで取り上げられたこともあって一気に話題に。小諸に縁もゆかりもない人からの問い合わせも数多く入るようになった。24万円の寄付をすれば、共同埋葬方式で合葬墓に入ることができる。7月23日時点で、6組(7人)が入金を終えた。
「生まれ故郷から出て帰るべき場所がない」「お墓の継承で、子どもの代に迷惑をかけたくない」。申し込みをした人たちからは、このような声が聞かれたという。この合葬墓なら市が管理し、草木の剪定も市が責任をもつ。管理費や共益費、光熱費などが不要で、遺族の負担がかからないことに魅力を感じる人は多いという。
お墓をふるさと納税に加えるアイデアは、市営墓地の管理を担当する市生活環境課の担当者が発案した。都市部では墓地が不足している一方、小諸にはある程度余裕がある。都市部が抱える問題を解決する一助になり、さらに自然豊かな小諸の地で安らかに眠ってもらいたいという思いで、実現にこぎつけた。
「単純にモノを送るだけじゃなく、実際に来てもらうことに意義がある。合葬墓に申し込みをしてもらえれば、長きに渡って小諸との接点を持ってもらえる」。市企画課でふるさと納税を担当する栗原良さんはこう語る。
小諸市では2015年度まで、地元のリンゴやそばなど4点を返礼品としていた。2016年4月に初当選した小泉俊博市長の方針もあり、ふるさと納税の返礼品を拡充。現在は約250点をそろえるようになった。夏場は特に、地元の桃が人気だという。
小諸市に対するふるさと納税の寄付額は、2015年度が678万円、2016年度は5213万円、2017年度は9090万円と右肩上がり。2018年度は7月23日時点で既に7000万円超にのぼっている。
(弁護士ドットコムニュース)