富士スピードウェイで実施されている来季型スーパーフォーミュラ『SF19』の国内第2回開発テスト初日(7月31日)、午後のセッションではハロ(HALO)を装着しての初走行も行われた。
この日2回目となる午後1時~2時のセッションで、ホンダエンジン搭載車とトヨタエンジン搭載車、2台のSF19がいずれもハロ装着状態での走行を実施した。ドライバーはホンダが山本尚貴、トヨタが国本雄資。気温31度、路温46度で始まったセッションで、山本が21ラップ、国本は12ラップを消化している。セッションの最後にはグリッド上でスタートシグナルの視認性も確認。この時は山本がアウト側(奇数列)を、国本がイン側(偶数列)を受け持った。
全セッション終了後、山本は目下JRPが検討中のハロ装着について、極めて前向きな思いを語っている。
「フォーミュラでもハコでもなく、新しい世界、新しい(種類の)レースカーに乗った気分で、新鮮でした。僕はもともとハロには前向きなほうで、安全性が増すぶんにはネガティブに考える必要はまったくないと思います。見た目のこととかが言われていますが、ハロがついていようがついていまいが、重要なのはファンに面白いレースを見せることだと思いますしね」
「視認性も問題ないです。もちろん、今までなかったものが(視界内に)あるわけですから、影響がゼロではないですよ。ただ、現状で走っていて、これでレースをするのに不都合はないと思います。ポストの見え方もそうですし、スタートシグナルについても、どの列でも特に問題はなかったです」
スタートシグナルの見え方については、国本も確認テスト終了直後、スタッフとの話のなかで「ほとんど問題ないと思います」との旨を報告していた。また、ハロがある視界について山本は「縦の棒が(センターに)ある感じで、アンテナ類が太くなったくらいの印象。GTにはピラーがありますからね。面で目隠しされているわけではないですから(あまりに気にならない)」とコメントしている。上の位置にくる横棒(ループ部)については「まったく視界には入りません」とのこと。
乗り降りについてはまだふたりとも不慣れな印象もあったが、「これも視界と同じで、今までなかったものがあるわけですから、乗り辛さがないことはないです。もしかしたら、身体の大きな選手には制限がかかるかもしれませんね」と山本は言う。
また、ハロをつけた場合は万一の時、ハロに最初に頭部が当たらないようにしなければならない規則条件にも山本は触れ、「ステアリングコラムを短くすることができなくなると思うので、体が大きい人、手が長い人は腕が窮屈になるのでは」という懸念も示した。ステアリングをドライバーから見て奥(車両前方)にもっていけなくなると、たしかに長身選手にはきつい。
ほかにも、コクピット内への風の巻き込みや救出時の対策等に課題はあるとしながらも、山本は「いろんな意味で、思っていた以上に普通に走れました」というハロを「つけるのが時代の流れですし、スーパーフォーミュラにとってもいいことだと思うので、そのための対策をしたうえで、つける方向にいってもらいたいです」とポジティブに評している。
ハロ装着セッションでのべストタイムは山本が1分25秒020、国本が1分25秒185。ホンダ車は最高速300km/hオーバーを記録していた。
午後3時からの3回目のセッションでは再び両車ともハロ非装着で走行。このセッションは開始前から当初予定が45分延長され、4時45分までの実施だった。少し曇ってきたなか、両車ともストレートを定常速度で走る空力中心のテストメニューに取り組むなどしており、ベストタイムは山本が1分35秒台、国本が1分32秒台にとどまっている。
また、3回目のセッションの最後には山本のマシンが再度のハロ装着も敢行した。どうやらハロの着脱はそれほど多くの時間を要するものではない模様。ちなみにハロの重量は、JRP関係者によれば本体6.94kg、取り付けのためのブラケット等を含めると7.98kgある。車体のなかで比較的高い部位に付くことにもなるが、山本は「ちょっとロールが大きいかな、とは思いましたが、あまり気にならなかったですね」と、初日時点の感想を語っている。
SF19開発テストは2日間の予定。翌8月1日も富士でテストが続行され、山本によれば2台による縦走での空力性能確認も行なう計画のようだ。