ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズ
富士スピードウェイで開催した第1レースは、クラッツィオ・レーシングが勝利
●アフィク・ヤジド/ケイ・コッツォリーノが波乱に満ちたレースを制する
●ライパートのミコ・エスケリネン/ユーソ・プハッカがPRO-AM優勝
●AM首位のボビー・ブンチャロエンも好調。852チャレンジャーズは5度目のランボルギーニ・カップ優勝
【日本・富士、2018年7月21日】
富士スピードウェイで開催されたランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズのラウンド4第1レースは、4.526kmのGTコースにウラカン・スーパートロフェオEVOが初めて登場するなか、マレーシアのアフィク・ヤジドと日本のケイ・コッツォリーノが優勝しました。
FFFレーシング・チームのジェームズ・プルとジャック・バーソロミューが2位。しかし、ほとんどレースのトップを走っていたのは、同チームでPROチャンピオンシップ首位のアルトゥール・ヤノスとアンドレア・アミチでした。
PRO-AM1位は、好調が続くライパート・モータースポーツのミコ・エスケリネンとユーソ・プハッカ。フィンランド出身の2人は、総合でも3位に入り、今シーズン初めて総合順位の表彰台に上りました。AMでは、タイのトゥルーヴィジョンズ・モータースポーツから単独で参加しているボビー・ブンチャロエンが力強い走りを見せ、AMのスタンディングでの首位を獲得。
ランボルギーニ・カップでは、ポイント首位の香港の852チャレンジャーズ、クレメント・リーとポール・ウォンが歓喜に包まれる一方で、GDLレーシングのガブリエル・ムローニは、YHレーシング・チームの松田貴道に追突されることに。
波乱に満ちた富士スピードウェイ開幕戦でしたが、アミチとヤノスはPROの首位を守り、チームメイトのバーソロミューとプルに8ポイント差。ライパート・モータースポーツのベン・ゲルセコウスキーとリチャード・マスカットは、第1レースをグリッド最後方からスタートしたものの、大奮闘して両者ともスタンディング3位に。PRO-AMのトップはエスケリネンとプハッカですが、第1レースPRO-AM2位のガマ・レーシングのエバン・チェンと浅井亮博との差はわずか1ポイント。
ホージャスト・レーシング、松本武士/落合俊之がメカニカルトラブルで参戦を見送る一方、グリーンランプ点灯後すぐに、ヤノスが先頭に飛び出し、最初のコーナーに向けて猛進。ヤジドがその後をぴったりと追い、ヤノスのスリップストリームの中に入ります。トップ4台がわずか2秒以内の距離を走るなか、マスカットが最後方から徐々に順位を上げてきます。シリーズ初参戦のカーガイレーシング古田聡/たしろじゅんは、AMのポールポジションを獲得し、予選で総合5位に入るも、ピットに入って走行2周でリタイアという結果に。
一方、ヤノスとヤジドが息をのむ戦いを繰り広げるも、ヤノスは最終コーナーでオーバーランするも持ち直して首位を譲りません。最初にピットインしたのはエスケリネンで、PRO-AM2番手でプハッカに交代。ヤジドもコッツォリーノにハンドルを渡しますが、先頭を争うヤノスはFFFレーシング・チーム・バイACMのアドバンテージを最大限に活かすために、そのままトラックに残ります。
手に汗握る展開を繰り広げ始めたレース後半戦、松田とGDLのアクシデントが発生し、終了まで20分でセーフティーカーが出動しました。このとき、アミチが隊列の最後になってしまったため、他の車はセーフティーカーを抜いてそれぞれアミチの後ろに並ぶよう指示されました。その間、アミチはセーフティーカーの後ろをゆっくり走らなければならず、レース再開時には他のクルマと比べてタイヤが冷めた状態に。
コッツォリーノ、バーソロミュー、浅井、ゲルセコウスキーをはじめとする全選手がアミチの後ろに並び、レース終了まで7分を残し、レースが再開。アミチはうまく飛び出したものの、グリップが少ないアミチがコーナーに深く入り込んだ瞬間に、コッツォリーノが先頭を奪ってアミチを引き離します。
バーソロミューも後を追うようにアミチを抜き、さらにFFFレーシング・チームはピットレーンスピード違反でドライブスルーペナルティーを課せられます。その結果、アミチは最終的に7位でフィニッシュ。アイレゾ・モータースポーツも、レーススチュワードに違反判定を受け、レース終盤でドライブスルーペナルティーを課せられました。
また、FPCレーシングの浦田健/松永大祐も、ピットストップ違反で後に35秒のペナルティを受けました。コッツォリーノは、最終ひとつ手前の周でファステストラップを記録し、バーソロミューを7.5秒以上引き離して、豪快にフラッグを駆け抜けました。
ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズ
富士スピードウェイで開催した第2レースも、クラッツィオ・レーシングが優勝
●コッツォリーノ/ヤジドが完璧な走りで圧勝
●レース終盤の鮮やかな動きでチェン/浅井がPRO-AM勝利
●AM優勝はカーガイレ―シング、ランボルギーニ・カップはムローニ
【日本・富士、2018年7月22日】
富士スピードウェイで開催されたランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズ2日目、チャンピオンシップ首位のケイ・コッツォリーノとアフィク・ヤジドがレースを完全に制し、クラッツィオ・レーシングが週末2度目の勝利を挙げました。ヤジドは2位のFFFレーシング・チーム・バイACM、アンドレア・アミチ/アルトゥール・ヤノスに18秒の大差を付けてフィニッシュラインを通過しました。
PRO3位は、総合5位に入ったライパート・モータースポーツのベン・ゲルセコウスキーとリチャード・マスカット。総合3位の表彰台には、PRO-AM1位のガマ・レーシングのエバン・チェンと浅井亮博が上がりました。
第1レースのPRO-AM勝者、ミコ・エスケリネン/ユーソ・プハッカのライパート・モータースポーツに対し、最終ラップでの勝負を制しました。PRO-AM3位は、ホージャスト・レーシングの松本武士と落合俊之でした。
AMでは、カーガイレ―シングの古田聡とたしろじゅんが見事1位を勝ち取りました。AM2位は、AMチャンピオンシップ首位のトゥルーヴィジョンズ・モータースポーツ、ボビー・ブンチャロエン。続く3位はFPCレーシングの浦田健と松永大祐です。ランボルギーニ・カップは、GDLレーシング・チームのガブリエル・ムローニがシーズン3度目で勝ち取りました。
アミチとヤノスはPROでの首位を固め、FFFレーシング・バイACMのチームメイト、ジャック・バーソロミューとジェームズ・プルを20ポイント引き離しました。ライパート・モータースポーツのゲルセコウスキーは6ポイント差で3位、コッツォリーノとヤジドは現在4位に入っています。
PRO-AMのスタンディングでは、チェン/浅井とエスケリネン/プハッカのポイント差はわずか2ポイントですが、ガマ・レーシングは2勝したことでリーダーボードのトップに返り咲いています。
AMではブンチャロエンが2位の浦田、松永との差を11ポイントとさらに広げる一方、ランボルギーニ・カップでは香港の852チャレンジャーズ、ポール・ウォンとクレメント・リーが、ムローニに15ポイントの差を付けます。
ポールポジションからスタートしたコッツォリーノは、グリーランプ点灯とともにアミチからの攻撃を受けました。後ろからプハッカが鮮やかな追い抜きを試みますが、レースの先頭を走る2台にあえなく行く手を阻まれてしまいます。コッツォリーノはアミチとぶつかり、縁石の上を飛び跳ねるもアミチを振り切って飛び出し、オープニングラップを終える頃には2秒差を付けます。
アミチの後ろでは、プハッカがアイレゾ・モータースポーツのマックス・ワイザーの攻撃をうけていました。一方、FFFレーシングのジャック・バーソロミューは、浅井、この時点で7番手まで浮上していたゲルセコウスキー、そして松本の前を走ります。
先頭のコッツォリーノはスピーディーな走りで、ラップごとに約1秒ずつ差を広げていきます。富士スピードウェイでのコッツォリーノの豊富な経験と、クラッツィオ・レーシングの準備万端な車が、モータースポーツ上級者の走りを生み出します。
ピットウインドウのオープンを前に、アミチの後ろで総合3番手のプハッカがPRO-AM1番手を守り、ワイザー、バーソロミュー、それに総合6番手まで上がってきた松本と浅井が追いかけます。ランボルギーニ・カップのポイント首位の852チャレンジャーズは、ムローニより前でクラスのトップを走ります。
YHレーシング・チームの松田貴道は2度目の不運でスピンし、停止してしまいました。コッツォリーノから代わったヤジドは、前半スティントのコッツォリーノの健闘のおかげで、アミチから交代したヤノスを11秒と大きく引き離した状態でピットを出ました。プルは、エスケリネンを追い抜きます。ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズ初参戦のスカイ・チェンと交代したビアンは、フェンスに激突したことによる車の損傷でレース終了という結末に。
総合5番手の落合の後ろでは、マスカットがチェンを追い抜き、反撃を受けますが、マスカットはなんとかチェンを引き離しました。残り8分、ランボルギーニ・カップ参戦のリーの内側にプルが入り込もうとしました。リーは、ポジション争いに気を取られ、両者は接触し、どちらの車もダメージを受けます。
FFFレーシング・チームのプルはリタイアし、リーはなんとかフィニッシュラインを越えますが、クラス勝利は失いました。先頭集団では、落合が死力を尽くし、PRO-AM勝利と総合3位を狙ってエスケリネンに猛攻を仕掛けていましたが、終了時間が近づいたところでチェンが落合を追い抜き、次にエスケリネンに並びました。
2台が最後にスタート/フィニッシュラインを通過したときにはその差は車体半分までに縮まり、最終ラップで動きを見せたチェンがPRO-AM勝利と総合3位を獲得しました。
カーガイレ―シングのたしろは、チームに初のAM優勝をもたらし、ムローニもフィニッシュラインを滑り抜け、ランボルギーニ・カップ優勝を順当に勝ち取りました。
2018年ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズは、次回は9月22日と23日に、上海インターナショナル・サーキットの5.451kmのコースで開催されます。上海インターナショナル・サーキットは、F1中国グランプリの開催地であり、中国トップのレーストラックです。
上海でのダブルヘッダーは、ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズがアジア地域で今シーズン開催する最後のレースになります。その後はイタリアに戻り、11月にヴァレルンガのサーキットで、2018年の最終ラウンドとランボルギーニ・スーパートロフェオ・ワールドファイナルが開催される予定です。
ドライバーコメント
ケイ・コッツォリーノ
#11 クラッツィオ・レーシング・チーム ラウンド4第2レース PRO1位
「第2コーナーでアミチが追い抜く展開でもよかったのかもしれませんが、コースに出て、バイザーを下げて、頭も低くしていると……アミチの前を走っていて、引き離したかったのですが、かなりタイトな状況でした」
「コーナーを曲がるところでアミチが内側に入ってくるのが見えました。このまま間を詰めたら、必ず接触すると思ったので、成り行きに任せるしかありませんでした。その後は、自分のペースをつかむだけでした」
アフィク・ヤジド
#11 クラッツィオ・レーシング・チームラウンド4第2レース、PRO1位
「素晴らしいレースでした。本当に暑かったけれども、土曜日に比べれば、クルマもとてもよい状態でした。ケイは好調なスティントで10秒の差を付けてくれ、後半はかなり安心できました」
「日本で2ラウンド走る機会を与えてくれたスポンサーのクラッツィオに感謝しています。チームにも、本当に最高に素晴らしい車をありがとうと感謝したいです。いい仕事をしてくれたケイにも感謝です。ものすごく嬉しいです!」
エバン・チェン
#68 ガマ・レーシングラウンド4第2レース、PRO-AM1位
「鈴鹿ではクルマがそれほどではなかったので、富士ではチームがいつも以上にがんばってくれました。幸運にもとてもよい車で、ペースもうまくとれました。亮博はとてもいい前半スティントで、追いつける位置に付けてくれていました。集中して、落ち着いて、追いつこうとがんばりました。すごいレースでした!」
浅井亮博
#68 ガマ・レーシングラウンド4第2レース、PRO-AM1位
「ここ数回のレースは、昨日も含めて、セーフティーカーやら何やらで運がありませんでした。やっと今日、エバンの日がやってきました」
「最高のペースでした。最後に勝ったのは最初のラウンドなので、かなり久しぶりです。それからはよかったり悪かったりで2位や3位に入っていたのですが、やっとここに戻ることができました」
古田聡/たしろじゅん
#99 カーガイレ―シングラウンド4第2レース、AM1位「勝つことができてとても嬉しく思います! 富士スピードウェイでのランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズは今年初めて参加したのですが、来年は鈴鹿と富士の両方出場しようと計画しています。夢はシーズン全出場です」
ガブリエル・ムローニ
#88 GDLレーシング・チームラウンド4第2レース、ランボルギーニ・カップ1位「かなりラッキーでした! 2日間不運続きで、そろそろ運がこちらに向いてもよい頃でした。昨日のアクシデントからの問題がまだあったので苦戦しました。古いタイヤよりも新しいタイヤのほうが大変です。おかしな話ですが、これだから本当のプロのドライバーとは言えませんね」