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沢村一樹、表と裏の顔のギャップがありすぎる 『絶対零度』深まる井沢の闇

2018年07月31日 06:02  リアルサウンド

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 『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)は、2010年にスタートしたSeason1から続くSeason3として、シリーズものの枠で放送されているが、“未然犯罪捜査チーム=ミハン”のミハンシステムにリストアップされた人物を中心に捜査を展開していく、基本1話完結のドラマである。しかし、『絶対零度』の醍醐味は、未だ多くのベールに包まれているメインキャラたちの過去や素性である。第1話で明かされた桜木泉(上戸彩)の焼死を最大の謎に、ストーリーは第4話まで進んできたが、話数を重ねるごとに色濃いものになっているのが、Season3の主人公である井沢範人(沢村一樹)の真っ黒な闇の部分である。


参考:関西ジャニーズJr. 道枝駿佑、『絶対零度』第5話で先輩・横山裕と初共演 「とても感慨深いです」


 第4話で危険人物としてリストアップされるのは、佐伯卓郎(小野了)。佐伯は、友人である岡本の娘・由梨(佐藤玲)を殺人者の娘にはしたくないと、過去の事件を隠し通すために、殺人を犯そうとする。しかし、SIT(特殊事件捜査係)として突入してきた井沢に抑えられ、佐伯は事件の内情を話し始める。ここで井沢とリンクしてくるのが、娘という存在。友人の娘ではあるが、佐伯は陰ながら我が子のように由梨を見守っていた。第3話で、井沢は自身の誕生日に、愛する娘と妻を殺害されていた悲惨な過去が明らかになったが、自供する佐伯を見つめる表情はどこか思い詰めたようにも見える。


 殺人者の娘にはしないと誓いながらも、自身が殺人者になろうとした佐伯に「人を殺そうとした。その罪の重さは決して消えることはない。その罪を背負って生きていかなければいけない。あなたには愛情を注ぐべき人がここにいるんだから」と諭す井沢の言葉には、自戒の念が込められているようにも思える。


 一見、ひょうひょうとした態度の井沢だが、スイッチが入ると不穏な危うい雰囲気を放つ。佐伯が立石へ銃を構える金庫室に突入した井沢は、躊躇なく立石に銃口を突きつけ、「立石くん、悪いんだけど休んでてもらえないかな」と、ボンッと腹にパンチを食らわせ一撃でノックアウト。佐伯の「警察の方ですか?」という質問に、「そう見えます?」と呆れた様子で返答する辺りは、あくまでミハンの1人として、任務を遂行したいという表れれにも捉えられる。


 第4話ラストでは、ミハンシステムを前に東堂(伊藤淳史)と山内(横山裕)が井沢について話し出す。バディを組むことも多い山内は「井沢さんという人が分からなくなることがあります」と公安時代に捜査した報復で妻と娘を殺された過去に触れると、東堂が「その話には続きがあります」と切り出す。ミハンシステムに“危険人物”として井沢がリストアップされた過去があること、第1話の冒頭でもあった井沢が叫び声とともに銃口を突きつけるシーンは家族を殺された復讐にあったこと。「井沢範人、彼の殺意はいまだ彷徨ってる。彼から目を離さないでください」と東堂は山内に警告する。


 過去の井沢の犯行シーンは、瞳孔が開いた殺人者の表情をしていた。現在の井沢は幾分落ち着きを払っているが、時折現場で見せる危ういオーラには、東堂と同じように恐怖を感じずにはいられない。第5話の予告では、「表と裏の顔にはギャップがありすぎます」「反社会的サイコパスだった」というセリフで次週のゲスト道枝駿佑を中心としたストーリーを端的に説明しているが、第4話と同じように、メインとなるストーリーにもどこか井沢の黒い部分とリンクした展開を感じさせる。“絶対的悪”の存在を投げかける東堂の真意とは。来週でまた井沢の深い闇の実態が見えてきそうだ。(渡辺彰浩)