トヨタのラリーで世界を目指す若手ドライバーを育成するプログラム『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』に所属する新井大輝、勝田貴元、コドライバーの足立さやかの3名はWRC世界ラリー選手権第8戦フィンランドに参戦。ベストリザルトは新井が獲得したWRC2クラス7位だった。
WRCのなかでもっとも高速なバトルが展開するラリー・フィンランド。勝田と新井は2016年から参戦しており、今年で3度目の出場となったが、今年は昨年からコース全体の約65%が刷新されており、ふたりにとっては新たな挑戦に。
また、足立にとっては初のラリー・フィンランド参戦となった。
トミ・マキネン・レーシングのフォード・フィエスタR5をドライブした新井は競技2日目、ライン取りがイン側に寄りすぎ、マシンを横転させるアクシデントを起こしてしまう。
また、その日の午後には2度のパンクが発生。マシンに積んでいたスペアタイアでは対応できず、デイリタイアすることになった。
ラリー2規定で再出走を果たした3日目以降は、マイナートラブルに苦しめられながらも粘りの走りでラリーを戦い抜き、最終的にクラス7位、総合23位でフィニッシュした。
「たくさんの問題を抱え、難しいラリーでした」と新井。
「最終日にはやっとクリーンな走りをすることができてよかったです。最終日は2本のスペアタイヤを積んでいたのでクルマが重かったことを考えると比較的良いタイムを出すことができたと思います」
「この部分はポジティブな要素と考え、次回のフィンランドラリー選手権で戦うことを楽しみにしたいと思います」
■第2戦スウェーデン覇者の勝田は序盤にクラッシュ「一瞬のことでどうすることもできず」
2月の第2戦スウェーデンでWRC2クラス優勝を遂げている勝田は、一時クラス5番手につけたものの、2日目に行われたSS8走行中、ジャンプから着地した際の衝撃でパワーステアリングが破損してしまう。
これにより、「急にステアリングが違う方向にロック」されたという勝田はマシンをコントロールできないままコースアウトしてクラッシュ。マシンの修復は叶わず、ラリー序盤に姿を消すことになった。
勝田は「一瞬のことだったのでどうすることもできませんでした。それまではだんだん調子が上がっていただけに残念です」と悔しさをにじませる。
「朝はあまりリズムに乗れていなかったので午後はドライビングスタイルを変え、フィーリングもより自然になって徐々によくなってきていたところでした」
「とても早くラリーが終わってしまいましたが、1年前と比べて成長は見せられたと思いますし、安定性も向上したと思います」
ヤルッコ・ニカラとのコンビで挑んだ足立は、2日目最初のステージであるSS2でコースオフがありデイリタイアとなる苦しい立ち上がり。3日目以降はパワーステアリングなどにトラブルが出る場面もあったが、クラス14位、総合48位でラリーを走りきっている。
足立は「SS2でコースオフしてしまったときは信じられない気持ちでしたが、チームが素晴らしい仕事をしてクルマを直してくれました」とコメントしている。
「翌日からはとにかく距離を重ねて経験を積むことに集中しました。ペースノートのリーディングはまだ少し遅れる部分もありましたが、フィンランドの道でのヤルッコの豊富な経験がカバーしてくれました。コドライバーとしてとても成長したと感じています」
ラリーチャレンジプログラムでチーフインストラクターを務めるヨウニ・アンプヤは「金曜日は3台とも最後まで走りきれず、チームにとってはとても厳しい1日となった」と週末を総括する。
「新井とニカラは小さなミスが原因でデイリタイアとなり、勝田はメカニカルトラブルによるアクシデントで翌日以降も走ることができなかった」
「彼らのスピードからはポジティブな面も見ることができたが、期待していた結果は得ることができなかった。ただ、下を向くことなく、起こったことをきちんと分析し、次のイベントではより良い結果を出したいと思う」
プログラムに所属する新井、勝田、足立の3名が挑む次の戦いは8月31日~9月1日に行われるフィンランド・ラリー選手権第6戦。新井と勝田はフィエスタR5を、ニカラとコンビを組む足立はスバル・インプレッサWRX STIに乗り込む。