映画『Backstabbing for Beginners』が『バグダッド・スキャンダル』の邦題で11月3日から東京・新宿のシネマカリテほか全国で順次公開される。
同作は、元国連職員のマイケル・スーサンが自身の体験をもとに執筆した小説『Backstabbing for Beginners』を映画化したもの。主人公の国連職員マイケルが担当する、イラクのクウェート侵攻に伴う経済制裁の影響で貧困にあえぐ、民間イラク人の救済を目的とした「石油・食料交換プログラム」に、サダム・フセイン大統領や国連、世界各国の企業や官僚機構が関与している疑惑が起こり、やがて巨額の汚職事件に発展していく、というあらすじだ。
国連事務次官の特別補佐官である主人公・マイケル役を演じたのは、『ダイバージェント』シリーズや『アンダーワールド』シリーズのテオ・ジェームズ。ジェームズは『バグダッド・スキャンダル』のエグゼクティブ・プロデューサーも兼ねている。そのほかの出演者には、『ガンジー』で『第55回アカデミー賞』主演男優賞を受賞したベン・キングズレー、フランソワ・オゾンの新作『2重螺旋の恋人』に出演しているジャクリーン・ビセット、レイチェル・ウィルソンらが名を連ねる。監督は『ストックホルムでワルツを』で『第49回ゴールデン・ビートル賞』監督賞を受賞したペール・フライ。
「石油・食料交換プログラム」は、国連が管理するイラクの石油の販売金で食料を購入し、市民に配給するという支援計画。総額640億ドルという巨額の予算のため賄賂や不正が横行し、2003年に終了した。当時プログラムを管理していた国連事務次長のベノン・セバンの関与疑惑が後の調査で発覚したが、国連が調査協力を拒否したため、現在も全貌は明らかにされていない。
ハドソン研究所研究員の日高義樹は「OFFP(石油・食料交換プログラム)で大金を手にしたサダム・フセインのバース党幹部は、イラク戦争後シリアに逃れ、ISISを作り上げた。中東がとめどもない混乱に陥っているのは、このOFFPに端を発していると言って良い。この映画で国連の実態を知り、世界の現実について正しい認識を持ってほしい」とコメントを寄せている。
発表とあわせてポスタービジュアルが公開。登場人物の姿が投影されたカーテンをめくる手や、「200億ドルの巨額マネーはどこへ消えた!?」「国連史上最悪の政治スキャンダルがこれだ!」というキャッチコピーなどが確認できる。