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ホンダ EWC最終戦 鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート

2018年07月30日 16:42  AUTOSPORT web

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鈴鹿8耐をフィニッシュした中上貴晶
Hondaワークス「Red Bull Honda with 日本郵便」の挑戦は2位表彰台という結果に
F.C.C. TSR Honda Franceが日本チームとして初のEWC王者に輝く

 7月29日(日)、真夏の祭典「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」が決勝日を迎えました。10年ぶりに復活したHondaワークスチーム、Red Bull Honda with 日本郵便は、Hondaにとって4年ぶりの鈴鹿8耐勝利、F.C.C. TSR Honda Franceにとっては日本チームとして初の世界耐久選手権(EWC)タイトル獲得など、各チームそれぞれの想いが込められた戦いが始まりました。台風12号の影響が心配されましたが、ウォームアップランが行われた時間帯は曇り空で、時折り日が差す天候に。路面は昨夜からの断続的な雨で濡れていましたが、走り始めるころには太陽が顔を出すという難しいコンディションとなりました。

 時刻は11:30を迎え、雨が降ったり止んだりを繰り返すという不穏な天候の中、いよいよ決勝レースがスタート。ほぼすべてのチームがウエットタイヤを選択する中、KYB MORIWAKI MOTUL RACINGの清成龍一はスリックタイヤでスタートしました。

 ポールポシションからスタートしたのはレオン・ハスラム(カワサキ)でしたが、2番グリッドから好スタートを切った高橋巧(Red Bull Honda with 日本郵便)が1コーナーで首位に立つと、後続とのリードを広げていき、オープニングラップを制します。高橋に続いてハスラム、マイケル・ファン・デル・マーク(ヤマハ)、シルバン・ギュントーリ(スズキ)、ランディ・ドゥ・プニエ(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)が通過。ドゥ・プニエは2コーナーで転倒を喫するも、すぐ再スタートを切りました。

 高橋巧は3ラップ目に2番手と3秒934差をつけ、トップを快走していきます。そのほかのHonda勢は濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)が6番手、10番手に長島哲太(au・テルル MotoUP RT)、12番手にフレディ・フォレイ(F.C.C. TSR Honda France)が続きます。ドゥ・プニエは転倒の際に右手小指を負傷したため、ピットイン。マシンをピット内に入れ、ダメージを確認しました。4ラップ目には、長島が8番手に浮上します。

 スタートから10分が過ぎると、徐々に青空がのぞき始めます。MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaはドゥ・プニエからドミニク・エガーターへライダーを交代してコースイン。5ラップ目には長島は9番手にダウンし、HONDA ENDURANCE RACINGのヨニー・ヘルナンデスとのバトルを繰り広げます。

 すっかり天候が回復し、路面がドライコンデションとなった18ラップ目に高橋巧がピットイン。タイヤを交換してそのままコースインしますが、この際に順位を失い4番手となります。27ラップ目にはギュントーリがシケインで転倒。これによりジョナサン・レイ(カワサキ)がトップに、2番手にファン・デル・マーク、3番手には高橋巧が浮上しました。一方、F.C.C. TSR Honda Franceのフォレイが11番手、それを追いかけるカルロス・チェカ(ヤマハ)が12番手と、EWCのタイトルを争う2台によるバトルも続きます。

 スタートから2時間が経過した53ラップ目には、首位にアレックス・ローズ(ヤマハ)、2番手にハスラム、3番手に高橋巧と交代した中上貴晶(Red Bull Honda with 日本郵便)というオーダーでトップ勢が周回を重ねました。

 ローズとハスラムのトップ争いが続く中、中上は3番手で周回を重ねながらトップの2人を追いかけます。そんな中、13時56分に起きたヘアピンでの転倒でマシンが炎上したため、セーフティカーが導入。ローズ、ハスラム、中上、そして4番手のイサック・ビニャーレス(au・テルル MotoUP RT)がピットイン。5番手にジョシュ・フック(F.C.C. TSR Honda France)、6番手に亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)が続きました。セーフティカーは69ラップ目に解除され、トップを走るローズとのハスラムの差が0秒179、ハスラムと中上の差は7秒991と、10秒以上短縮されます。接触も起こるなど激しいトップ争いが展開される中、その3秒後方に中上がつけます。70ラップ目に長島が5番手へ浮上、72ラップ目には、アンディ・イズディハール(Honda Asia-Dream Racing)が7番手に。路面が乾いてきたことでスリックタイヤのセットしていた清成は、ラップタイムを向上させ9番手まで浮上してきます。

 上位チームのライダー交代が始まる中、Red Bull Honda with 日本郵便も76ラップ目に中上から高橋巧へとチェンジしてコースイン。77ラップ目の順位はレイ、ファン・デル・マーク、そして高橋巧と続き、このトップ3が2分8秒台で周回を重ねていきます。4番手の長島は2分10秒台、6番手のフォレイは2分12秒台、そして7番手のイズディハールが2分11秒台で走行。8番手の日浦大治朗(Honda Suzuka Racing Team)、そして9番手の清成も2分10秒台で後方から追い上げていきます。

 上位陣は93ラップをクリアし、レイ、ファン・デル・マーク、高橋巧とオーダーは変わらず。4番手以下は2ラップ遅れとなります。4番手に秋吉耕佑(au・テルル MotoUP RT)、6番手に日浦、8番手にトロイ・ハーフォス(Honda Asia-Dream Racing)、そして10番手に高橋裕紀(KYB MORIWAKI MOTUL RACING)。

 99ラップ目、首位につけていたレイがピットロードで燃料不足によるスロー走行中になってしまい、タイムをロスします。これによりトップ3の順位が入れ替わり、高橋巧、ローズ、そしてハスラムというオーダーに。4番手に秋吉、5番手にフォレイ、7番手がハーフォス、8番手が亀井、そして9番手に高橋裕紀。ドゥ・プニエの転倒によりポジションを落としていたMuSASHi RT HARC-PRO. Hondaは、エガーターが17番手まで浮上してきます。15時25分に高橋巧がピットインし、中上にライダーを交代。4時間が経過した時点で106ラップが周回され、各チームのピットストップ合計時間はHondaが39秒442、ヤマハが47秒375、そしてカワサキがスロー走行の影響で56秒075となりました。トップ3はローズ、中上、ハスラムというポジションとなります。

 そして115ラップ目、ローズと中上の差は25秒400と広がり、中上はハスラムと13秒136差で周回を重ねます。120ラップをクリアした時点で、トップ3のオーダーはローズ、中上、ハスラム。それ以降は4番手にビニャーレス、5番手にフック、7番手に亀井、8番手に清成、そして9番手にザクワン・ザイディ(Honda Asia-Dream Racing)がつけています。

 中上は2分8秒台までタイムをアップしてトップ勢を追い上げ、ローズとの差を22秒068と詰めます。126ラップ目を迎え、首位のローズからファン・デル・マーク、ハスラムからレイへとライダーを交代した16時14分あたりから、雨が落ち始めます。その6分後、水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)がデグナーで転倒したことで再びセーフティカーが入りました。

 順位は、ピットストップタイミングをうまく見極めた中上がトップとなり、2番手以降はファン・デル・マーク、ビニャーレス、フックのオーダー。サーキット上では時折り青空が広がるも、雨もぱらつくうえ、最終コーナー付近では局所的な豪雨となります。そんな中、長島がピットインしてビニャーレスに交代。中上もピットインしてウエットタイヤに履き替え、ライダーはパトリック・ジェイコブセンがコースインします。最終コーナーで転倒車があった影響でセーフティカーは続行され、雨もさらに激しくなっていきます。ここで、雨に強い秋吉がピットでスタンバイ、ライダーを交代してコースに出ました。首位のファン・デル・マークもピットインしてウエットタイヤに交換後、コースへ復帰。レイはスプーンで転倒するも、すぐさまマシンを起こして走行を続けましたが、マシンの修復のためピットインを余儀なくされ、マシンの動作チェックを経て渡辺一馬(カワサキ)がコースインしました。

 17時にセーフティカーが解除されます。ジェイコブセンの7秒617差後方にファン・デル・マーク、1ラップ遅れで渡辺一馬。143ラップ目にはファン・デル・マークが首位に立ち、ジェイコブセンは2番手にポジションを落とします。3番手には渡辺がつけました。トップのファン・デル・マークが2分26秒台のタイムを記録する中、4番手の秋吉が2分23秒台で追い上げます。17時9分には、転倒したマシンからのオイル漏れにより、その処理のために本日3度目のセーフティカーが導入されました。

 そのセーフティカーが解除されたのは17時43分。雨は上がり青空がのぞく天候となり、それに伴って路面はウエットからドライへと変わり始めます。153ラップ目時点でトップはファン・デル・マーク、3秒859差で2番手にジェイコブセン、1ラップ遅れで3番手に渡辺一馬。4番手走行の秋吉は、154ラップ目に逆バンクでまさかの転倒を喫してしまい、ピットに戻ってマシンの修復にかかりました。

 162ラップ目、ファン・デル・マーク、ジェイコブセン、渡辺一馬は順位を変えずに周回を重ねます。5番手にフォレイ、6番手にイズディハール、7番手に日浦、9番手には高橋裕紀がつけます。カワサキ、ヤマハがともにライダー交代を終え、ローズ、ハスラムがチェッカーライダーとなりコースイン。ジェイコブセンも中上にライダーを交代します。一方で、F.C.C. TSR Honda Franceのフックは、世界耐久のタイトルを争うライバルと、テール・トゥ・ノーズの争いを繰り広げます。順位を明け渡す結果となりますが、フックは無理に抜き返そうとせずに背後につけ、チャンピオン獲得を見据えた冷静な走行を続けました。

 180ラップ目を迎え、ローズ、中上、レイは8度目のピットインでタイヤを変え、3番手のままでコースへ復帰。184ラップ目になるとローズと中上の差は1分14秒431まで広がってしまいますが、それを少しでも詰めようとハイペースで周回を重ねていきます。192ラップ目になるとローズが8回目のピットインを終え、首位のままコースイン。2番手の中上との差は25秒713と詰まりますが、3番手レイのオーダーは変わらず。5番手にフック、7番手にハーフォス、8番手に清成が続きます。

 8時間チェッカーを真っ先に受けたのは、YAMAHA FACTORY RACING TEAM。勝利を目指していたRed Bull Honda with 日本郵便は中上が2位でチェッカー。3位がKawasaki Team GREENとなりました。F.C.C. TSR Honda Franceはフックが5位でチェッカーフラッグを通過し、ホームの鈴鹿で見事、世界耐久選手権シリーズのチャンピオンに輝き、日本チームとしては初の快挙達成となりました。7位にHonda Asia-Dream Racing、KYB MORIWAKI MOTUL RACINGは8位、HONDA ENDURANCE RACINGが9位、Team Sup Dream Hondaが24位、au・テルル MotoUP RTは39位、Honda Dream RT 桜井ホンダは54位でチェッカーを受け、MuSASHi RT HARC-PRO.Hondaはリタイアとなりました。

高橋巧|#33 Red Bull Honda with 日本郵便(2位)
「今日はスタート前に雨が降ってきたりとコンディションが安定せず、大変なレースでした。もうちょっと自分もハイペースで周回して、ここまでの差をつけられることなくバトンパスしたかったです。正直、今日のレースに関しては悔しい気持ちしかないので、なにを言っていいか分からないですね。前半の4時間のうち3時間半は走ったのですが、そのあとはチームメート2人に任せてしまったので、そういうところでももっと自分が引っ張っていければよかったなと思います。また来年挑戦できる機会があれば、もっとしっかりと準備をして、万全の体制で挑めるようにしたいです」

中上貴晶|Red Bull Honda with 日本郵便(2位)
「昨年は自分が転倒を招いてしまったので、今年はリベンジの年でした。ライダーは3人ともベストを尽くしたと思いますが、2位で負けてしまったので、悔しい気持ちの方が強いです。ただ、今年HRCが10年ぶりに復活したというのはいいことだと思います。また来年以降チャンスがあれば、打倒ヤマハを目指して戦いたいです」

パトリック・ジェイコブセン|#33 Red Bull Honda with 日本郵便(2位)
「正直言って、今日はかなり難しい一日でした。ウエットでのテストはほとんどできていなかったので、今日のようなコンディションでの走行は、僕にとっては未知の領域だったんです。HRCというファクトリーチームの一員として走ることへの緊張もあったと思います。本来はウエットは僕の得意なコンディションのはずなんですが、今日はいろいろな要因が重なってあまり自信が持てず、本来のポテンシャルを発揮できませんでした。ただ、ウエットでしっかり走りきってチェッカーライダーのタカ(中上貴晶)にバトンを渡せたのはよかったです。2人のチームメートはすばらしい仕事をしてくれました。鈴鹿8耐で表彰台を獲得できたのは僕にとって初めてなので、とてもうれしく思います」

藤井正和|#5 F.C.C. TSR Honda France - 総監督(5位、EWCシリーズチャンピオン)
「まず我々がこの場所に立てたのは鈴鹿のおかげだと言いたいです。鈴鹿で勝ちたい、結果を出したいと思いながら、チャレンジを続けてきました。私は世界中のサーキットで表彰台に登ってきましたが、鈴鹿の表彰台は別格です。来年は鈴鹿8耐の本番でも勝ちたいですね。我々は、トップライダーを揃えているわけでもないし、マシンもトップではない、チームだって特別なものではないです。それでも世界一になれるということを本気で思っていました。このような結果を残せたのは、日本の皆さま“Team Japan”が支えてくれて、後押ししてくれたからです。鈴鹿に帰ってくれば、必ずチャンピオンになれると信じていました。皆さま、本当にありがとうございました」

フレディ・フォレイ|#5 F.C.C. TSR Honda France(5位、EWCシリーズチャンピオン)
「本当に最高の気分です。チームはシーズンが始まってから今まで、どんなときでも常に全力を尽くしてくれました。チームメンバーみんなの努力がこのように実を結んだことを、とてもうれしく思います。しかも、藤井監督やHonda、さらにTSRのホームである鈴鹿サーキットで、大勢の日本人ファンに見守られながらチャンピオンに輝くことができたことも本当にうれしいです。本当にこれ以上ない、特別なロケーションでタイトルを獲得することができました。僕のことをいつも支えてくれている妻にもありがとうと言いたいです」

ジョシュ・フック|#5 F.C.C. TSR Honda France(5位、EWCシリーズチャンピオン)
「僕らはこの瞬間を迎えるために、シーズンを通して全力を尽くしてきました。どのレースでもとにかく勝利を得るために走ってきました。これまで努力してきた全てが、今日こうしてチャンピオンという結果に無事に繋がって、とても幸せな気持ちです。チームのメンバー全員に心からありがとうと言いたいです。藤井監督やTSRのチームスタッフの皆さんには、これまで全日本選手権に参戦しているときから、お世話になっているので、今回TSRのホームコースである鈴鹿サーキットで世界一をプレゼントできて、最高にうれしいです」

アラン・テシェ|#5 F.C.C. TSR Honda France(5位、EWCシリーズチャンピオン)
「僕にとっては、これがEWCでの初のタイトル獲得になりました。本当にすばらしい気分です。2016年のル・マン24時間耐久レースからこのシリーズに参戦させてもらっていますが、まさか3年目でチャンピオンに輝けるとは思いませんでした。このチームから参戦するチャンスをくれた藤井監督に感謝しています。すばらしい日本人ファンが大勢いる鈴鹿サーキットでチャンピオンを決めることができたのも本当に特別でした。今夜、表彰台の上から見た景色は一生、忘れないでしょう。最後に、F.C.C. TSR Honda Franceとブリヂストンにもおめでとうと言いたいです」

玉田誠|#22 Honda Asia-Dream Racing - 監督(7位)
「現状、僕らの実力がまだこの辺だ、ということがよく分かったレースになりました。ただ、7位に入ってシングルフィニッシュという目標を達成できたのはすごくうれしいです。ライダー含め、メカニックみんなががんばってくれました。本当はまだまだいけるんじゃないかっていうところがまだいくつもあるので、そのあたりをしっかり今後は強化していって、次はもっと上を目指せるようにしたいですね」

ザクワン・ザイディ|#22 Honda Asia-Dream Racing(7位)
「今日は僕のキャリアの中で最も難しいレースでした。昨年の鈴鹿8耐はただ暑さに耐えればよかったですが、今年は天候がレース中、急速に変化しましたからね。でも、そんな難コンディションにもかかわらず昨年を上回るリザルトを獲得できてとてもうれしく思います。チームのメンバーは文字通り朝から夜まで休む間もなく働いてくれました。僕らのチームはプライベートチームですが、今日見ていて、チームの能力はファクトリーチームと遜色ないと思いました。鈴鹿8耐への参戦は今年で3年目ですが、これが僕にとって一番最高の年になりました」

トロイ・ハーフォス|#22 Honda Asia-Dream Racing(7位)
「今日のレースではとにかく全力を尽くせました。セーフティカーの入ったタイミングは少し残念でした。もう少し運があればトップ5にも入れたんじゃないかとも思いますが、チームのメンバーもミスなく仕事を遂行しくれ、7位という結果を獲得できたことを本当にうれしく思います。走り終えてみて、鈴鹿8耐がどれだけ特別なレースかということを心底、実感できました。8時間を戦い抜いたすべてのチームが勝者だと思います。グランドスタンドで色とりどりのペンライトが振られている光景を見たときには、大勢のファンがこのレースにかける特別な情熱を感じられました。またこの舞台に戻ってきたいです」

アンディ・イズディハール|#22 Honda Asia-Dream Racing(7位)
「今年が僕にとって初の鈴鹿8耐で、初の1000ccマシンだったのですが、うまくマシンに適合して速さを発揮することができたと思います。天候がウエットからドライに何度も変わって本当にたいへんでしたが、チームにはいい戦略があったと思います。トップ10入賞をまずは目標にしていたので、それを果たすことができてよかったです。クルーにありがとうと言いたいですね。本当にキツいレースでしたが、これを乗り越えられたことで、ライダーとしての自信がつきました」

清成龍一|#19 KYB MORIWAKI MOTUL RACING(8位)
「結果は8位ということで、昨年よりかなりよくなりましたが、その結果よりもレースの内容がよくなったことに満足しています。いろいろな状況の中で出したラップタイムや、天候の変化に対して臨機応変の対応など、ピットを計画して実際にできましたし、本当にチームのみんなに感謝をしています。スタート後、あの雨の中スリックで走ったのは本当につらかったのですが、3周くらいしたら諦めがついて気合を入れました。あれがなかったら6回ピットもなかったので、結果的にはよかったと思います。8時間を振り返ると、いろいろなことがありすぎました。いろいろ反省することもあり、それを今後に活かしたいと思います」

高橋裕紀|#19 KYB MORIWAKI MOTUL RACING(8位)
「スタートしてあの雨の中を清成選手がスリックで走るという大勝負に出ましたが、あの状況の中で走りきったのは本当にすごいです。がんばってもらいました。そうやって最初に清成選手が引っ張って長い時間乗ってくれたことで、チームは余裕を持って作戦を立てることができました。今年はセーフティカーが何度か入ったので、タイミングとか運も必要だと思いつつ、結局強いチームはちゃんと上位に入ったので、強くなるために、僕自身ももっと走りのレベルを上げないといけません。しかしいろいろありながらも8位でゴールでき、昨年よりしっかり8耐を戦えたという実感があります。本当に一緒に走った清成選手に感謝したいです。そしてケガで走れなくなったダン(・リンフット)選手の早期復帰を願っています。ラタパーク(・ウィライロー)選手も急遽、走ってくれてとてもありがたく思います。来年は表彰台を実現したいです」

エルワン・ニゴン|#111 Honda Endurance Racing(9位・シリーズ総合3位)
「EWCのシーズンを総合3位で終えられて、最高の気分です。今年からHondaチームに加わりましたが、レースごとに成長し、表彰台も経験して、タイトル争いに絡むことができました。僕たちは全力を尽くしてきましたし、チーム全員がハードワークをしました。感謝してもしきれません。優勝こそできませんでしたが、昨季に比べてもとてもいい結果を残せました。今日のレースはとても難しく、コンディションが目まぐるしく変わりました。もちろんどのレースも簡単ではありませんが、今日はいい戦い方ができて、鈴鹿8耐という厳しいレースでトップ10に入れました」

セバスティアン・ジンバート|#111 Honda Endurance Racing(9位・シリーズ総合3位)
「総合3位という結果に満足しています。チームメートとともに全力を尽くしてきたので、とてもうれしく思います。ただ、グレッグ(グレゴリー・ルブラン)がここにいないのは残念です。エルワン(ニゴン)は僕の親友で、一緒にこの経験ができて素晴らしい一年になりました。そして、常に全力で懸命な努力をしてくれたHondaの皆には本当に感謝しています。今日のレースは簡単ではありませんでしたが、それが鈴鹿8耐です。コンディションはとても厳しく、雨の中をスリックタイヤで走る場面もあって、周りで多くのマシンが転倒するのを目にしました。しかし、幸運にも僕は走り続けることができました。ここ鈴鹿でいい結果が残せて、チャンピオンシップを好成績で終えられたことをうれしく思います」

ヨニー・ヘルナンデス|#111 Honda Endurance Racing(9位・シリーズ総合3位)
「今日の順位と、ケガなく完走することができたことをとてもうれしく思います。天候の影響で多くの転倒がありました。スタートライダーを務めることになり、少し緊張しましたが、いいスタートが切れてポジションを大幅に上げることができました。トップ10フィニッシュを果たすためにがんばったので、結果が出てよかったです。もっといい走りができたとも思いますが、僕の走行時にはセーフティカーが1時間以上も出ており、そんなに長いセーフティカーランを経験するのは初めてでした。ウエット路面でタイヤが冷えてしまい、温度を上げ直すのは難しいので、熱入れに気を付けなければなりませんでした。ずっと鈴鹿8耐で走りたいと思っており、この機会を与えてくれたHondaに感謝しています」

山口辰也|#79 Team SuP Dream Honda(24位)
「予選までは調子がよくてトップ10に残れたんですけど、決勝では車両のトラブルがいろいろ出てしまいピットインをしたのでそこは残念ですが、いろいろなことが分かりましたので、また次に繋げられるはずです。一緒に走った若い選手の成長が感じられて、うれしく思います。もうちょっといいマシンに仕上げてあげたかったんですけど、時間的にそれができなくて、申し訳なく思います」

岩戸亮介|#79 Team SuP Dream Honda(24位)
「スタートから天気が目まぐるしく変わる状況でした。初めてスタートライダーを務めましたが、それほど悪くなく、雨の中でも淡々と走れました。ちょっとマシンのトラブルがありまして、ピットに戻らないといけなくなったり、集中力が途切れそうになることもありましたが、転倒無く走り終えることができてよかったと思います」

作本輝介|#79 Team SuP Dream Honda(24位)
「トラブルがいっぱいあった中でも完走できたことはよかったです。しかし成績を考えると、もうちょっと上にいきたかったという思いがあります。個人的にもいいかたちで終えることができなかったというのが正直な感想です。課題がたくさん見つかりました。それを今後に活かして、結果に結びつけることができればと思います。初めて1000ccのマシンに乗る機会を与えてくれたTeam SuP Dream Hondaの皆さんに本当に感謝したいです。今回、僕が上手に走ることができないままレースウイークに入ってしまったんですが、次にまた8耐に戻ってこれるときがあるならば、成し遂げられなかったことができるように、これからがんばりたいと思います」

濱原颯道|#72 Honda Dream RT 桜井ホンダ(54位)
「今日はスタートライダーを務めさせてもらいました。序盤はなるべく前のポジションにつけて伊藤さんにパスしようとしたんですけど、ちょっとマシンにトラブルが出てしまいました。その修復に時間がかかってしまって、完走扱いにならないような残り時間だったんですが、桜井の会長さんが『うちはバイク屋だから、バイクは直して走る』と言ってくれて、エンジンを下ろして組み替えてくれて、なんとか伊藤さんと2回ずつ走ることができました。最終的に完走扱いにはならなかったんですが、応援しに来てくれたお客さんたちもちょっとは喜んでくれたかなと思います。レースはとにかく走りきろうという感じだったのでタイムはあまり出せなかったんですが、その中で自分のダメなところも見つかったので、今後に活かしていこうと思います」

伊藤真一|#72 Honda Dream RT 桜井ホンダ(54位)
「レースウイークに入って木曜日にアクシデントでケガをしてしまい、チームには迷惑をかけてしまいました。決勝では、序盤に颯道ががんばって6番手に上がってくれたんですが、そのあとマシンにトラブルが出てしまって。でもそれからチームががんばってくれて、エンジンを2基ばらして組み直すというすごい仕事をしてもらいました。自分たちも本当に感動しましたし、それに応えなくちゃいけないなと思ってがんばりました。今回は2人でどうにかトップ10に入ろうと思っていたんですが、当初の目的は達成できずでしたね。ただ、今回参戦してみて本当にいいチームだなと思ったので、またチャンスがあれば来年リベンジしたいです」

本田重樹|#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda - 監督(59位)
「8耐の難しさを改めて思い知らされた大会になりました。今大会は準備の段階で少しバタバタとしてしまったところがあり、そのあたりをきっちりまとめられないと勝てないのが8耐です。これも一つの試練だと思って、来年に向けて体制づくりも含め、新たな出発としたいと思います」