トップへ

May J.が語る、“映画主題歌”カバーで開いた新たな扉 「自分の殻がどんどん破けていっている」

2018年07月30日 12:52  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 May J.が、2年4カ月ぶり第4弾となるカバーアルバム『Cinema Song Covers』をリリースした。


 2017年秋、初のフルオーケストラ単独コンサート『billboard classics May J. Premium Concert 2017 ~Me, Myself & Orchestra~』を開催し、自身の表現により磨きをかけたMay J.。『Cinema Song Covers』のテーマは“映画音楽”となっており、過去の名画から近年のヒット作まで、洋画と邦画からセレクトされた映画主題歌がオーケストラや弦楽四重奏、 アコースティック演奏で収録されている。


 リアルサウンドでは、オーケストラとの共演によって歌手として新たな一歩を踏み出したMay J.にインタビュー。『Cinema Song Covers』の制作秘話をはじめ、過去のカバーソングシリーズとの違い、シンガーとしての変化やビジョンを聞いた。(編集部)


■「ショートヘアは自分の性格に合ってる」


――かなりバッサリと髪を切られたんですね。


May J.:ここまで短くしたのは人生初です。私は今まで長い髪に対してこだわりをすごく持っていたんですよ。ある意味、長い髪は自分のお守りみたいな存在でもあったから、短くしちゃダメだと思っていたんです。ただ、年齢を重ねていく中で徐々にそこへのこだわりがなくなっていったところもあって。最近はむしろ「なんか髪の毛が邪魔だな」って思うことも多かったし(笑)。そんな中、30歳になる手前、20代のうちにやり残したことはあるかなと考えた時に、じゃあこのタイミングで髪を切ろうかなって気持ちになったんですよね。


――実際ショートヘアにしてみて何か変わりました?


May J.:髪が短くなったことで気持ちも軽くなった気がしますね。肩の重荷がなくなって、より自分らしくなれたんじゃないかなって。ショートヘアは自分の性格に合ってるなって思うんですよ。私はそこまでガーリーな性格じゃないし、いろいろと適当な人なので(笑)。


――軽やかになった気持ちは音楽活動にもいい影響をもたらしてくれそうですよね。


May J.:うん。歌う時の気持ちにもきっと影響はあると思う。あとは、ファンの方が実際にどんな反応なのかが気になりましたね。SNSのツイートなんかでは「長いほうが良かった」と言ってる人もいるし、逆に「すごく似合ってる」っていうありがたい反応もありました。


――先ほどお話にも出ましたが、May J.さんは6月20日で30歳になられて。そこでも何か変化を感じるところはありますか?


May J.:どうだろうなぁ。20歳になったときに想像していた30歳はもっとずっと大人な感じだったと思うんですよ。でも実際に30歳になってみると……まったく何も変わってない。全然大人になってないよなって思っちゃいますよね(笑)。


――それは言い方を変えれば、ピュアでフレッシュな気持ちを持ち続けながら年齢を重ねているということなのでは?


May J.:あ、そういえば以前、つんく♂さんに「May J.ってデビューから10年経ってる感じがしないよね」っておっしゃっていただいたことがあったんですよ。それがいい意味なのか悪い意味なのかはわからないんですけど(笑)、私としては変にこなれた感じがなく、フレッシュさを保てているということなんじゃないかなって受け止めたんですよね。だから確かに私自身、そういう気持ちを大事にしているところはあると思います。


――でもフレッシュさを保つことは難しいことでもありますよね。


May J.:長く活動をしているとツアーとレコーディングが交互にやってきて、ある種、ルーティンになってしまうこともありますからね。だから私はなるべく自分にとっての新しい挑戦を積極的にするようにしたりとか、刺激になることを探すようにはしていて。過去の音源や映像を振り返って、あらためて自分と向き合うような反省会を1人でやったりもしますし。


――過去の自分と向き合うと新たな発見があったりするものですか?


May J.:基本はすっごく落ち込むんですけどね(笑)。「うわ、このときの自分ってこんなこともできてないんだ」みたいな。でも、そこで見えた課題が次につながるヒントになることもあって。「次のライブではこんなことを試してみようかな」「こんなこともやってみたいな」っていろんなアイデアが出てきたりもするんです。ほんとはね、できていない自分を見るのはイヤなんですよ。でも、まだまだやれることがあるっていうのは大事なことでもあると思うので、そことしっかり向き合って進んでいかなきゃなって。それが新鮮な気持ちを維持することにつながるとも思うので。


――過去の自分の姿を見て落ち込むのは成長している証でもありますしね。


May J.:うん、確かに。満足してたら落ち込んだりはしないはずですもんね。30歳を迎えてもなお、いろんな刺激を求めながらどんどん成長し続けていきたいなって思います。


■ 「弦楽器と自分の声の相性の良さを感じた」


――そんなMay J.さんから届いたニューアイテムは通算4枚目となるカバーアルバム『Cinema song Covers』。今回のテーマは映画音楽ですね。


May J.:カバーアルバムは2年4カ月ぶりのリリースで。その間、私はオリジナル楽曲の制作に集中していて、それはすごく楽しい時間だったんですよ。インプットしてきたものを自分の曲としてアウトプットできる楽しさがすごくあった。そんな中、ここ最近はイベントなどでフルオーケストラと一緒にに歌う機会もすごく増えていて、新たな世界を感じることもできていたんですよね。弦楽器と自分の声の相性の良さも感じていて、もっと成長していきたいなって思うようになっていたんです。


――昨年の11月5日には、ご自身にとって初のフルオーケストラコンサート『billboard classics May J. Premium Concert 2017 ~Me,Myself&Orchestra~』を開催されましたね。


May J.:オーケストラをバックに歌うとなると、そこと親和性の高い映画音楽がレパートリーに入ってくることも増えていくわけですよ。自分が小さい頃から好きだった映画の曲や、最近観た映画の中で気に入った曲なんかを歌いたいと強く思うようにもなったし、実際歌う場を与えてもらうことも増えました。


――なるほど。そういった流れが今回のカバーアルバムのリリースにつながっていったわけですね。


May J.:そうなんです。映画音楽をまとめた新しい作品を作っている感覚でした。自分の気持ちとして、今回はカバーアルバムだっていう意識もあんまりないんですよ。フルオーケストラで歌う経験の中で映画音楽のレパートリーが自然と増えていって、その流れから生まれたアルバムなので、今までのカバーアルバムとはまったく違った新鮮な感覚がそこにはあるんですよね。4枚目ではあるけど番外編だと思ってる(笑)。


――カバーではあるけど、オリジナル曲に近いモチベーションで制作されたところがあるのかもしれないですね。


May J.:そうそう。今の私が一番やりたい音楽、それがフルオケと壮大感のある曲の組み合わせで、その思いを一番いい形で発揮できるのが映画音楽だったっていうことですね。


――で、アルバムを聴かせていただくと、その内容がとにかくもうすごくて。J-POPからオペラまで、とんでもない振り幅で楽曲の世界を表現しつくせる歌い手はなかなかいないと思うんですよね。


May J.:私はJ-POPを歌うシンガーだし、元々はR&Bをやってきたルーツがありますからね。そんな私がオペラやミュージカルソングを歌うのはすごく難しくて大変なチャレンジでした…ただ、May J.が歌うとこうなるんだよっていうのはしっかり表現できたと思いますね。頑張ってオペラの人になりきろうとしても、それは絶対に無理だし、自分の色を良い意味で出していけたらと思って歌いました。


――モノマネではなく、May J.のオリジナルとしてカバーするということですよね。


May J.:そうですね。どの曲もそこまでどっぷりやりすぎず、May J.らしさを大事にしながら歌っていった感じでした。自分が思うオペラ、自分が思うミュージカルソングを思うがままに歌っていくっていう。


■「May J.が歌うおもしろさを感じてほしい」


――本作は2枚組になっていて、DISC1には洋楽のカバー、DISC2には邦楽のカバーがまとめられていますね。


May J.:元々は2枚組にする予定ではなかったんですよ。ただ、好きな映画音楽を並べていくとそこには当然のように洋楽も邦楽もどちらもあったので、それがごちゃ混ぜに入っているとバランス的に変かなって途中で思うようになって。で、結果的に2枚にわけて、よりたくさんの曲を収録させていただけることになったんですよね。


――すべてが映画を彩る曲ではありますが、歌う立場として洋楽と邦楽の違いを感じるところもあったのではないですか?


May J.:今回収録した洋楽はほとんどがバラードなんですけど、英語の曲はすごくわかりやすく盛り上がるし、とにかく迫力があるなって思いますね。逆に邦楽はすごく繊細な雰囲気を感じる曲が多いし、歌詞に深みがある。わかりやすさというよりは、聴く人ごとが自分なりの解釈でストーリーを思い描けるというか。そんな違いがあるなって感じました。


――そういった違いはアレンジでも表現されていますよね。洋楽はオーケストラをフィーチャーした壮大なものが多いですけど、邦楽は逆にアコースティックな雰囲気のシンプルなサウンドになっていて。


May J.:確かにそうですね。私の中にそれぞれの曲のアレンジのイメージが細かくあったので、それをアレンジャーさんにお伝えして再現してもらった感じなんですけど、自然とそういう流れになっていったんだろうなって思います。


――歌に関してはどう向き合っていった感じですか?


May J.:洋楽と邦楽の歌い方の違いって、英語と日本語をしゃべるときの自分の性格と似てるなって思うんですよ。英語には敬語がないから相手との距離感がすごく縮まるし、感情がよりオープンに、大胆にもなるんですよ。声のトーンがひとつ上がるというかね。でも日本語でしゃべるときは丁寧に伝えることを意識するので、どこかおしとやかになる(笑)。そういう違いが歌う時にも現れたような気がしますね。


――そこはバイリンガルであるMay J.さんならではのおもしろい感覚ですね。


May J.:そうですね。どちらも難しい表現ではあるけど、どちらにも美を感じます。今回はできる限りオケと同時録音するようにしたのも良かったと思うんですよ。よりサウンドと一体になった歌を録ることができたと思うので。


――生の楽器を迎えた曲も一発録りで?


May J.:はい。スケジュールの都合で全部の曲ではないんですけど、けっこうたくさんありますよ。DISC1だと「Another Day of Sun」や「I Will Always Love You」「Calling You」、「Time to say goodbye」が同録ですね。DISC2だと「深呼吸」「月のしずく」「君をのせて」がそうかな。同時録音は絶対大変だろうなって思ってたんですけど、実際は同録に助けられたところもあって。ミュージシャンの方々のテンションについていこうと一生懸命になる感覚は、同じように一発勝負であるライブと同じだったんですよね。だから上手くいったところがあったと思います。逆に1人でブースに入ってレコーディングするほうが全然大変でした(笑)。


――洋楽で言うと、やはり「Time to say goodbye」の衝撃はものすごいなと。昨年のフルオケライブでも披露されていましたが、何度聴いても震えますね。


May J.:ありがとうございます。この曲は、フルオケライブで初めて歌ったんですけど、お客さんもみなさんビックリされていたようで。「May J.がオペラを歌うとは!」みたいな反応がおもしろかったですね。アルバムでも同じような反応をより多くの人にしてもらえたらうれしいなって思います。オペラをオペラシンガーではないMay J.が歌うおもしろさを感じてください(笑)。


――個人的には「Calling You」もすごく好きです。


May J.:原曲に限りなく近いアレンジにしました。音数が少ないけどドラマチックなサウンドの上で、独特のけだるい雰囲気を再現しながら歌いました。わりと古い作品(1989年に日本公開された映画『バグダット・カフェ』)で使われていた曲なので、大人の方々に響いたらうれしいですね。


――今回は幅広い時代から選曲されているので、知らない曲があったら映画とともに楽しむのがオススメですよね。


May J.:そうそう。曲をきっかけにして、映画にも興味をもってもらえるといいですよね。私自身、ライブで歌うようになるまでは「Calling You」を知りませんでしたから。そういう新しい出会いがきっとあるはず。ちなみに「Calling You」はけっこう低めのトーンで歌っているんですけど、最近はこういう雰囲気もいいなって思うようになってきていて。


――低いボーカルも似合いますよね。


May J.:今までは低いキーがあまり出ないから避けてたところがあったんですけど、ちょっとずつ出るようになってきて。年齢を重ねてきたことで、声のトーンも変わってきてるんだなってこの曲を歌って実感したところもありましたね。昔だったら歌えなかったタイプの曲でもあると思うし。


■「自己満足なカバーはしたくない」


――DISC2収録の邦楽曲に関して印象的なものはありますか?


May J.:秦 基博さんの「ひまわりの約束」かな。私のベストキーは原曲の半音上げだったんですよ。でも、試しにそのキーで歌ってみたらちょっと暑苦しく聴こえちゃって。秦さんは決して暑苦しくなく、自然に歌っているじゃないですか。だから、私もその雰囲気に近づけるためにちょっとトーンダウンさせる意味も込めて、半音下げにしたんですよね。そうしたらすごく心地良く聴ける仕上がりになりました。


――歌い手としてのエゴは抑えて、あくまでも聴き手にどう響くかを重要視するということですね。


May J.:そうですね。自分としてはベストキーで歌ったほうが気持ちいいのは確かだけど、それが聴いてくれる人にとってトゥマッチになることもありますからね。自己満足なだけのカバーアルバムには絶対したくないので、そういう部分は今回もすごく大事にしたところではあります。


――だからこそMay J.さんのカバーは多くの人に求められ、愛されるんでしょうね。


May J.:そうだったらうれしいですね(笑)。今回、ハナレグミさんの「深呼吸」という曲もカバーさせてもらったんですけど、この曲はきっとみなさんが想像できないMay J.になってると思うんですよ。永積(タカシ)さんの歌は語り掛けるようで、ちょっと独り言みたいな感じでもあるんだけど、でもすごく心にストレートに響いてくるんですよ。聴いてると友達みたいな感覚になれるところもあって。そういう曲を私も歌ってみたかったので、今回はどうしても挑戦したかったんですよね。


――新しいMay J.さんの表情が堪能できる仕上がりだと思います。しっかりと距離感の近い歌になっていますし。


May J.:いつもの私だったらね、ビブラートで必ず終わるとか語尾はきれいに切るとか、そういうことを考えて歌ったと思うんですよ。でも、この曲ではあえてそういうことは一切やりませんでした。声のトーンも声量も下げて、でも感情はグーッとむき出しにするような……そんなバランスの歌を心掛けましたね。難しい挑戦ではありましたけど、慣れてくると何も考えずに自然と歌えるようになって。この曲もバンドと一緒に“せーの”で録ったんですけど、3テイク目でコツがつかめて、それが採用になりましたね。


――映画「宇宙戦艦ヤマト2199」で使われている川島和子さんの「無限に広がる大宇宙」のカバーが収録されているのも驚きでした。


May J.:どうでしたか?


――いや、すごくいい仕上がりなんですけど、どうしてこれを選んだのかなって。


May J.:そう思いますよね(笑)。今回のアルバムは幅広い世代の方々に聴いてもらえる作品にしたかったんですよ。なので、収録曲を決める際に年上のスタッフにオススメしてもらったのがこの曲で。私はこの曲を知らかったんですけど、みんなが「すごくいいよ!」って言ってくれたので、だったら挑戦してみようかなと。


――歌詞がない、全編スキャットの曲ですから。かなりの異色作ではありますね。


May J.:だいぶ難しかったです。自分なりのオペラを意識した歌い方をしたんですけど、途中でブレスを入れるとこの曲の持っている世界観、宇宙的な雰囲気が一瞬で現実に引き戻されてしまう感じがして。そうならないように歌うのにとにかく苦戦しましたね。


――とは言え息継ぎしないわけにはいかないですしね。


May J.:そうなんですよ(笑)。むしろ息継ぎを思いっきりしないと歌えない曲ですからね。なるべく聞こえないようにブレスをするのが大変で、かなりテイクは重ねましたね。プリプロの段階から「できない、どうしよう!」ってなってました(笑)。


■「変な縛りみたいなものから解放された」


――この曲も含め、たくさんの挑戦が詰め込まれた本作からは最新のMay J.さんの姿を感じることができます。そういった部分にも単なるカバーアルバムではない、オリジナルアルバムに近いニュアンスがあるのかも。


May J.:そうですね。今の自分のベストを詰め込むことができたアルバムになっていると思います。また何年か後に1人反省会をしたときには、「あーもう!」って落ち込むんでしょうけどね(笑)。でも、そうやって新しいことができるようになっている自分を求め続けるからこそ、これからもきっと前に進めるんだろうなって。そういう気持ちは大事にしたいですね。


――DISC2にはSPECIAL TRACKSとしてオリジナルの新曲も収録されていますね。


May J.:はい。まず「ロンド」という曲は、『FLOWERS by NAKED 2018 輪舞曲』というイベントのテーマソングとして作ったもので。私は白いユリが好きで、よく部屋に飾っているんですけど、ある晩、そのユリが月の光に照らされてる光景を見た時に、神秘的で、凛とした美しさを感じたんです。で、その姿が私の憧れる女性像に重なったので、そういう私の思いをくみ取って作っていただきました。


――まさに美しいサウンドスケープを抱いた曲になっていると思います。


May J.:先日、『ファンタジー・オン・アイス』というイベントでこの曲を歌わせていただいたときには、私の歌に合わせて安藤美姫さんがパフォーマンスをしてくださったんですよ。その姿がまさにこの曲のイメージ通りでしたね。しかも曲の最後には、安藤さんから白いユリを渡してもらえて。すごくうれしかったです。


――そしてもう1曲は『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』の主題歌となっていた「絆∞Infinity」です。こちらは疾走感のある楽曲で、「ロンド」との振り幅がまたすごいという。


May J.:あははは(笑)。こちらはTHE特撮系といったイメージの曲になっていますからね。キモは最後に出てくるロングトーンかなって思います。低いところから高いところにワーッといく私の声に合わせてウルトラマンもバーッと出発する、みたいな。


――出発(笑)。


May J.:出発じゃないか(笑)。空に向かって飛んでいく感じですね。


――曲はもちろん、May J.さんの歌声もウルトラマンの世界に合わせて力強いものになっていますね。


May J.:はい。私、小さい頃にウルトラマンをよく観ていて、ちっちゃいフィギュアも持っていたんですよ。だから大人になった今、「ウルトラマンの曲を歌える!」と思ってすごくうれしかったんですよね。この曲をきっかけに劇場版も観たんですけど、アクションがめちゃめちゃかっこよくってハマっちゃいましたね(笑)。


――充実の内容となった本作がリリースされた3日後、7月28日からは全国ツアー『May J. Tour 2018-Harmony-』がスタートしますね。


May J.:今回はバンドに加えて、弦楽四重奏が入るんですよ。そういったスタイルのツアーは初めてなので、どんな雰囲気になるのか、お客さんはどんな反応をしてくれるのか、いろいろ楽しみですね。弦楽器と歌はすごく相性がいいと思っているので、そこで生まれる心地良いハーモニーをみなさんにも感じていただこうと思っています。今回はね、ダンスとかそういう見せ方はナシで。もうおばさんになったので(笑)。


――いやいや(笑)。May J.さんはどっちの見せ方もできるのが強みではありますよね。


May J.:そうですね。ただ、今の私はクラシックな要素を盛り込んだライブの楽しさにぞっこんなので(笑)、今回もそこを生かしながら私なりのライブを集中して作っていきたいですね。


――30代になって初のツアー。それを終えたときにはまた何か新たなビジョンが見えそうですかね。


May J.:絶対何か見えるとは思います。最近の私には、「May J.はこうしなきゃいけない」みたいな気持ちがなくなっているんですよ。自分の殻がどんどん破けていっているというか。変な縛りみたいなものから解放された実感もあるので、また何かしら変わっていくんだろうなって。だってね、10年以上活動をしていて、何も変わらなかったらつまんないじゃないですか。変わらない美学もあるとは思うけど、私はこれからもどんどん変わっていきたいんですよね。(もりひでゆき)