F1ハンガリーGP決勝でトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが6位に入賞した。本人にとっても、チームにとっても、第2戦バーレーンGPの4位に次ぐ好成績だ。また、2015年にF1に復帰したホンダが、前半戦で6位以上の好成績を2回獲得したのは、2016年マクラーレン・ホンダ時代のフェルナンド・アロンソ以来(第4戦ロシアGP6位、第6戦モナコGP5位)のことだった。
トロロッソ・ホンダは、前日のウエットコンディションでの予選に続いて、日曜日のドライコンディションとなったレースでも安定した速さを見せていた。
元々、ホンダにとってハンガロリンクは相性のいいサーキットだ。チームとして、1967年以来の優勝を飾ったのは、2006年のハンガリーGPだった。また15年に復帰してからも、不思議とこのハンガリーGPだけは好成績を挙げており、15年は5位、16年も7位、そして厳しいシーズンとなった17年でも6位と10位のダブル入賞を飾っていた。
ホンダとパートナーを組むトロロッソも、過去数年ハンガロリンクでは力強いレースを披露していた。新しいパワーユニットが導入された2014年は9位、以後15年4位、16年8位、17年7位と入賞を続けていきたのだ。
今回のガスリーの6位入賞で、ハンガリーGPにおける連続入賞をホンダもトロロッソもそれぞれ延ばした。
第6戦モナコGPの7位以来、2018年シーズン3度目となる入賞を果たしたガスリーは、今回の快走することができた最大の要因はスタートだったと話す。
「良いスタートを決めて、(カルロス・)サインツを抜けたのが大きかった。それで前がいなくなってオープンエアで自分のペースで走ることができて、タイヤも労わることができた」
ウルトラソフトでスタートしたにも関わらず、1回目のピットストップを32周目まで引っ張ることに成功したガスリーは、後半も集中力を切らさず、中団グループのライバルたちの追撃を許さなかった。
「レース後半にウイリアムズのマシンを追っていたら、ブルーフラッグが振られてビックリした。ドイツGPではウイリアムズとバトルしていて、上位勢に次々に周回遅れにされていたからね(笑)。今回はそのウイリアムズを周回遅れにしていたんだね」とガスリーは振り返る。
■8番手スタートのブレンドン・ハートレーはスタートで明暗
一方、ガスリーの真後ろの8番手からスタートしたチームメイトのブレンドン・ハートレーにとっても、スタートがポイント獲得へ向けた分岐点となった。
「ハートレーはスタートでソフトタイヤを履くルノーのサインツの後ろに回ってしまったのが痛かった。こちらはウルトラソフトを履いてスタートしていたので、もっと速いペースで走ることができたけれど、このサーキットはオーバーテイクが難しいので、抑えられてしまった」と田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクターはレース後に語った。
ハートレーは、サインツをアンダーカットして早めにピットインしたが、アンダーカットは成功しなかった。逆にここでミディアムタイヤを履いたために、ソフトタイヤで1回目のピットストップを遅らせていたロマン・グロージャン(ハース)とマクラーレン勢2台にオーバーカットされてしまう。
レースはほとんどのドライバーが1ストップとなったため、抜きどころがないハンガロリンクでは、これ以上ポジションを上げることは難しく、ハートレーは惜しくも11位に終わり、チームとしてダブル入賞はならなかった。
ただし、2台そろって完走したいと語っていた田辺TDは「ダブル入賞はできませんでしたが、いま持っている力を出すことはできたと思います」と、ある程度、納得のいく表情だった。
「ここ数戦に比べると、いい走りができていた。これからデータを分析して、夏休み明けからは戦闘力を上げて戦えるように準備したい」
後半戦へ向けて、良い形で前半戦を締めくくったトロロッソ・ホンダだった。