2018年07月29日 10:32 弁護士ドットコム
妊娠し両家の顔合わせまでしたのに、彼は婚活サイトに登録して婚活を続けていたーー。このような場合、慰謝料請求はできるのかという相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。
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相談者は婚活サイトで知り合った男性と交際し、妊娠。彼が「結婚はできない」と中絶を希望しため、一度は揉めましたが、結婚に向けて歩んできました。ところが、両家顔合わせで婚約を報告した後、彼が再び婚活サイトで活動していることが発覚。理由は、相談者が彼の実家での同居を拒否したためでした。
相談者は、彼への不信感から「このまま結婚していいのか悩んでいる、もうやめた方がいいのではないか」とLINEを送ります。すると、彼からの返信は「一緒になるのはやめましょう」というものでした。
相談者は妊娠7カ月、婚約指輪をもらったり、結納をしたりはしていないそうです。今回のケースでは、男性は女性に婚約破棄されたとして慰謝料を請求できるのでしょうか。また、反対に、女性は婚活サイトを利用していた男性に対して慰謝料を請求できるのでしょうか。田中真由美弁護士に聞きました。
男性側は、女性に対して婚約破棄の慰謝料請求はできるのでしょうか。
「婚約を正当な理由なく一方的に破棄した場合には,損害賠償義務が発生します。今回のケースの場合、相談者が『もうやめた方がいいのではないか』とLINEを送り、彼から『一緒になるのはやめましょう』と返信したというものです。
一方的な破棄というよりも、合意によって婚約を解消したものと考えるのが自然に思えます。そうであれば婚約破棄の慰謝料請求は認められません」
両家顔合わせを終えたのに、婚活サイトで活動していることは、法的に問題ないのでしょうか。
「お互いに結婚しようという真面目な約束をしていれば婚約は成立します。婚約指輪の交換や、両家顔合わせなどがあれば証明しやすいという面があります。その意味で、今回のケースでは、婚約は成立していたと言えます。
婚約中に婚活サイトで活動していたことについて慰謝料が請求できるかということですが、婚活サイトでの活動は、別の相手との不貞、性交渉とは異なり、相手を探しているというものにすぎないので違法とまでは言えないのではないかと考えます。
例えば婚約者が合コンに出席するのも同じようなケースと言えます。この場合に、不法行為として慰謝料請求までは難しいと考えます。
なお、相談者は妊娠されているとのことです。結婚しなくても、養育費を請求することはできます。出産後、認知請求とあわせて養育費の請求も行うと良いでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
田中 真由美(たなか・まゆみ)弁護士
あおば法律事務所共同代表弁護士。熊本県弁護士会所属。「親しみやすい町医者のような弁護士でありたい」がモットー。熊本県弁護士会子どもの人権委員会、両性の平等に関する委員会所属。得意分野は離婚、家事全般、債務、刑事事件、少年事件。
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/