中須賀克行(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム) 3日目を迎えた鈴鹿8時間耐久ロードレースのフリー走行で、鈴鹿サーキットに緊張が走った。優勝の最有力候補であるYAMAHA FACTORY RACING TEAMのエースライダー、中須賀克行が転倒し、すぐに起き上がることができなかったのだ。中須賀はその後の計時予選にも出走しなかった。気になる中須賀の状況について、吉川和多留監督が語った。
この日、朝のうちは雨が落ちコースコンディションもフルウエットだったが、午前中に行われた鈴鹿4時間耐久ロードレース中に雨は上がり路面も乾いていった。鈴鹿8耐のフリー走行が始まるころには、天候もコースコンディションもすっかり回復していた。
中須賀の転倒が起きたのは、フリー走行スタート直後だった。S字ひとつめで転倒した中須賀はイン側のグラベルにうずくまり、アウト側のグラベルにはヤマハYZF-R1が横たわっていた。起き上がらない中須賀の様子に、サーキット内には緊張が走った。
それでもセッション終盤にピットに戻った中須賀は、ヤマハYZF-R1にまたがりコースイン。数周の走行を行った。このときマシンの乗り降り、歩く様子にぎこちなさはないように見えたが、その後スタートした公式予選上位10チームによる40分間の計時予選に出走することはなかった。
2018年の鈴鹿8耐で、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームは4連覇がかかっている。2015年にヤマハがファクトリー体制を復活させて以来このチームで鈴鹿8耐に参戦している中須賀は、言うまでもなく3連覇の立役者だ。常に強く安定した走りを見せる中須賀が、しかもフリー走行で転倒することはなかなか想像ができないことだった。
転倒時の様子、そして気になる中須賀の状況について、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの吉川監督はこう説明する。
「中須賀選手は、遅いマシンにルートをはばまれたことが転倒につながったようです。その後にフリー走行に出走しましたが、体調を確認することが目的で、大事をとってTOP10トライアル(編集部注:10チームによる計時予選のこと)には(アレックス・)ロウズ選手と(マイケル・)ファン・デル・マーク選手のふたりに出走してもらいました」
吉川監督の言葉からは、中須賀の状況は深刻なものではないことがうかがえる。ただ、「これからあらためてスケジュールや作戦を組み直す必要がありますが、そもそもレース前半は台風の影響がどのように出るかが問題なので、しっかりと準備を整えて決勝を迎えたい」と語っているのが気になるところだ。天候だけが作戦変更の理由ではないとも読み取れる。
明日の決勝レースは台風上陸の影響が見込まれることから、天候が懸念材料でもある。加えて、想定外のエースライダーのアクシデント。盤石かと思われたヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの鈴鹿8耐4連覇は、一筋縄ではいかないようだ。