ザウバーF1チーム代表のフレデリック・バスールは、シャルル・ルクレールの2019年のフェラーリ移籍が取りざたされていることについて、まだ若い彼にとってはリスクも伴うものだと考えている。
ルイス・ハミルトンやニコ・ロズベルグらの実力形成期に育成を担当していたバスールは、モータースポーツの世界における最も優れた人材発掘者とみなされている。
バスールは今年、自身の持つ知見や育成能力を、F1期待の星と目され、フェラーリへの移籍という大躍進が間近に迫っているかもしれない弱冠20歳のルクレールのために使っている。
しかし、バスールはこの素晴らしいルーキーが今後グランプリレースにおいて際立ったキャリアを積んでいくと確信する一方で、フェラーリへのあまりに早過ぎる昇格に伴うリスクについても警鐘を鳴らす。
ベルギーのLa Dereniere Heure紙の取材に対して、バスールは「ザウバーからフェラーリへの移籍は大きなステップだ」と語り、さらに以下のように続けた。
「トップチームに移籍したドライバーが多額の金を手にしてどうなってしまうのか、我々には予測がつかない」
■シャルル・ルクレールがフェラーリに移籍した場合の収入は?
実際に、移籍によってルクレールの収入は大幅に増えるだろう。評論家たちは、彼がフェラーリと契約した場合の新たな収入は500万ドル(約5億5500万円)にも相当し、さらにこの額が大きく吊り上がる可能性すらあると予想している。
それでも、仮に契約料がその4分の1ほどだったとしても、その額はひとりのドライバーを個人として大きく変えてしまうかもしれない。
「過去20年間、多くのドライバーがF1にデビューした年に素晴らしい成績を残してきた」とバスールは説明する。
「個人名を出すことはしないが、初めて多額の小切手を手にしたとたん、彼らは問題を抱えてしまっていた」
「彼らは自分がそれまでの人生で知らなかった新しいことを見つけ、そのために自分の本質を見失い、自分が何をやっているのかも分からなくなってしまった。だから、(ルクレールの)今後はどうなるのか予想できない」とバスールは付け加えた。
一方のフェラーリ側も、一夜にして多額の報酬を得たドライバーに起こり得る問題について十分に理解しているはずだ。
「シャルルにとってフェラーリ移籍は大きな飛躍となるだろう」
「だからこそ、これまでフェラーリは非常に若いドライバーの獲得には躊躇してきたのだ。彼らは、ドライバーがチーム内でプレッシャーにさらされることをよく分かっている。それでもシャルルについて言えば、実は私はあまり心配はしていないのだ」