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耐久の世界一に挑戦するTSRホンダ。今までの鈴鹿8耐とは「180度違う」と藤井監督

2018年07月28日 03:01  AUTOSPORT web

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日本チーム初のチャンピオン獲得に挑むF.C.C. TSR Honda France
7月29日に決勝を迎える鈴鹿8時間耐久ロードレースにポイントリーダーとして挑むF.C.C. TSR Honda France。チームを率いる藤井正和監督は「日本が世界一になることは使命」と日本チーム初のEWCタイトル獲得を目指す。

 TSRホンダは、2017-2018シーズンのFIM世界耐久選手権(EWC)にF.C.C. TSR Honda Franceとしてフル参戦。第2戦ル・マン24時間ではホンダとして12年ぶりの優勝となる快挙を成し遂げた。

 続く第3戦スロバキア8時間耐久ロードレースでは3位表彰台を獲得。さらに第4戦オッシャースレーベン8時間耐久ロードレースではシーズン2勝目を挙げ、EWCポイントランキングトップで最終戦の鈴鹿8耐に帰ってきた。

 ポイントリーダーとして迎える鈴鹿8耐について藤井監督は「去年とは180度まるっきり違うよ」と次のように語る。

「去年までの鈴鹿8耐はなくすものはなかった。もう勝つか負けるかしかない。ライダーには“転んだら帰ってくるな”って言ってたよ」

「今はまったく違っていて、鈴鹿8耐で勝ちたいという気持ちが最初からない。年間のチャンピオンになるっていうことが目的で今シーズンをはじめてるから、どうすればチャンピオンになれるかわかってるわけですよ。そこを目指してるので、勝たなきゃいけないなんて理由はなにひとつない」

「(タイトル獲得に向けて)最も大事なことがバイクをしっかりと走らせて完走すること。相手(ランキング2番手のGMT94ヤマハ)がいる位置に対して適切な位置でチェッカーフラッグを受けることが一番大切なんですよ。彼らがどれくらいのレベルで、俺達がどれくらいの立ち位置にいるのかわかってる。そこをコントロールするっていうのが、今までとまったく違う展開だから逆に大変」

 鈴鹿8耐には毎年スペシャルチームを組んで挑んでいたTSRホンダだが、2018年はEWCシリーズにレギュラー参戦しているフレディ・フォーレイ、ジョシュ・フック、アラン・テシェの3人を継続起用して挑む。

 選手の起用について藤井監督は「2月にホンダ本社に行って、俺は青学戦法(青山学院大学陸上競技部の原晋監督が選手と同居生活し箱根駅伝を4連覇したやり方)でいくから今年は(ライダーを)変えないって言いにいったからね」と明かす。

「最終戦の鈴鹿までに、どれだけ関係を積み重ねられるかが大事だった。彼らに“ここまで積み重ねたらお前ら鈴鹿で走らせてやる”、“一緒に鈴鹿へ行こうぜ!”と刺激するわけですよ。俺達は超一流じゃない、だけど目標に向かっていくライダー、マシン、スタッフの3つがしっかり集まることによって、凄いことができるようになる」

 実際に藤井監督はライダー3名と同居生活を行っている。この考えを実行したきっかけは、スピードスケート女子パシュートが決め手だという。

「(ピョンチャンオリンピックで)女子3人が金メダル獲ったじゃないですか。彼女らは300日一緒に暮らすっていうですよ。それで、俺達がバラバラなことしてて、うまくいくかと思った」

「だからまずは自ら(海外へ)飛び込んで人種の壁を越えてきた。それが鈴鹿にポイントリーダーとして来れたひとつの大きい結果。後は、頑張ったで終わらず、みんなとともに日本が世界一になる。俺達がやらなきゃいけないことだよね。チャンピオンになって世界一になるということがみなさんにお返しする事だと思ってるし、それをやろうと今進めてるところです」

 最後にEWCタイトル獲得に向けて強く意気込む藤井監督。

「世界チャンピオンになるために我々は帰ってきてるし、そのためにすべてを準備して今も進めてる。そこへ向けて出来ることをすべてやって、世界チャンピオンになろうと決めてるし、みんなと一緒にやりたい」

「日本が世界一になるんだっていうのが俺達の使命であり、やらなきゃいけないことだと思ってる」

 TSRホンダが母国で日本チーム初のEWCタイトルを実現するか。世界で戦ってきた日本チームの活躍に期待したい。