保守系で知られる自民党・杉田水脈議員の「新潮45」への寄稿「『LGBT』支援の度が過ぎる」を巡り、7月27日、同議員の辞職を求める抗議行動が自民党本部前で行われた。
抗議行動は、ゲイの男性が23日にツイッターで呟いた「議員辞職しろと自民党本部に抗議しましょう」という呼びかけや「0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」のハッシュタグがきっかけになった。抗議行動当日は東京・永田町の自民党本部前に4000人(主催者発表)が詰めかけ、プラカードや看板を手に「杉田は辞めろ」「差別をするな」などと叫んだ。
ゲイを公表している明治大・鈴木賢教授「杉田議員は国民の代表を続ける資格ない」
杉田議員は寄稿で、LGBTを「彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がないのです」と表現し、「なぜ男と女、二つの性だけではいけないのでしょう」といった記述もしていた。
抗議行動では、LGBTの当事者らや支援を表明する人達が次々にマイクを握り、杉田議員への反発と連帯を呼びかけた。東京レインボープライドで理事を勤める堂本直樹さんは
「レインボープライドのパレードで、与党や野党など多くの政治家の皆さんが、性的指向や性自認によって差別されることのない社会を目指し、そのための制度化を目指していきましょうと熱く話してくださる姿を見て、セクシャルマイノリティへの理解が進んでいると実感し、胸が熱くなる思いでした。そのような中で杉田議員の論考は、怒りや悲しみを超えて言葉を失うものでした。断固として反対します」
と表明。築地本願寺で同性パートナーと結婚式を挙げた七崎良輔さんは、「学生時代、セクシャリティを理由にいじめられました。この体に鉛筆を刺された跡は15年経った今でも消えることはありません。でも私は今、その傷跡よりも、杉田議員の言葉に傷つき苦しんでいます」と語った。
ゲイであることを公表している明治大の鈴木賢教授は
「日本は同性カップルに何の法的保障もなく、いないことにされているんです。国会議員はLGBTを法律から排除し権利を奪っておきながら、杉田議員は『支援の度が過ぎる』と書いている。このような人間に国民の代表を続ける資格なんかありません」
と叫んだ。
スペイン出身のレズビアン女性「杉田議員の話はすごく屈辱的だった」
抗議行動には、トランスジェンダーを公表している世田谷区議の上川あや氏や豊島区議の石坂わたる氏など、複数の政治家も参加していた。社民党の福島瑞穂代表は
「人間に対して生産性という言葉を使うなんて間違っています。この言葉は、障害を持つ人、高齢者、子どもを持たない、持ちたい人、全てに対する差別です」
「杉田議員の発言を肯定した二階幹事長も間違っています」
と呼びかけた。
スペインから来日し、現在都内に住んでいる20代の女性は、外国人のLGBTで作るグループの一員として今回の抗議行動に参加した。
「あの発言を聞いてすごくショックでした。私もレズビアンですが、結婚して子どもを持ちたいと思っています。ああいう話はすごく屈辱的でした」
都内から参加した50代の男性は、これまでの杉田議員の主張や発言を振り返ると「抗議行動が起こるのは遅すぎたくらいだ。今回のことについては人一倍怒っている」と怒りを露わにした。川崎市から来た60代の女性も「あの人は議員になるべきではなかった」と語気を強めた。
抗議活動は同日、福岡市や札幌市でも行われた。明日28日は大阪での開催が予定されている。