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板野友美が語る、『イマジネーションゲーム』が描く女性の幸せ 「私は自分らしく生きていきたい」

2018年07月27日 15:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 久本雅美と板野友美がダブル主演を務める映画『イマジネーションゲーム』が7月28日に公開される。やり甲斐のある仕事に就き、キャリアも経済力も手に入れたが独り身の真紀子と、若くして家庭に入ったものの、自分の将来を見失っている葵。女性として正反対の道を歩んできた2人が、怪しげなアイテム探しゲームのサイト主催者「真夜中の女神」をきっかけに出会い、それぞれの人生を見つめ直していく模様を描いた新感覚ヒューマンサスペンスだ。


 今回リアルサウンド映画部では、葵役で主演を務めた板野友美にインタビューを行い、同じくダブル主演を務めた久本雅美と共演しての感想や、役作りなどについて話を聞いた。


参考:<a href=”http://realsound.jp/movie/2018/06/post-207548.html”>ネットの世界では別の顔を持つ久本雅美と板野友美の姿が 『イマジネーションゲーム』予告編</a>


●「“女性の幸せとは何か”という大きなテーマがある」
ーー出演を聞いたときの感想は?


板野友美(以下、板野):大先輩の久本さんとダブル主演ということで、ご一緒できることがすごく楽しみでした。過去に何度か久本さんの番組に出させていただく機会もあって、すごく気さくな方というイメージがあったんです。作品自体は、タイトルが『イマジネーションゲーム』ということで、ゲームやコメディ要素が強かったり、ポップなイメージがあったりしたんですけど、実際に台本を読んだら、「女性の幸せとは何か」という大きなテーマがあって、私自身も考えさせられるような深い映画だなと思いました。


――板野さんにとっては2年ぶりの主演映画となりますね。


板野:そうですね。今回は久本さんという大先輩もいてくださったので、すごく心強かったです。「一緒に頑張ろうね!」と支えてくださって。葵という人物を良い方向で演じられるかという不安は強かったのですが、完成した作品を観て、良いものに仕上がったなと思えますし、私自身もこの作品がすごく好きになったので、たくさんの方に観ていただきたいなと。


――今回板野さんが演じた葵は専業主婦で、一見勝ち組だけど夫婦仲は歯車がかみ合っていないといった役柄です。演じる上でどのようなことを意識しましたか?


板野:私自身、まだ結婚したことがないので、すごく難しいなと思いました。葵は結婚が夢で結婚したわけではないと思うんです。本当は違うことをやりたかったかもしれないけど、選択肢がなかったから結婚するしかないと。自分の意志でしたくてしてるわけじゃないんだろうなと思ったんです。そもそも「幸せとはいい人と結婚することだよ」と親から押し付けられて育っている子なんです。だから結婚自体に幸せを見出していないし、夫にも家事は女がするものだと押し付けられているので、世間的には結婚が幸せとされているかもしれないけど、葵自身は幸せを全然感じていないという、そのギャップが演じる上ではすごく難しかったです。葵はストレスのはけ口として、夫への嫌がらせを復讐サイトに書き込むようになるんですけど、観ている方に葵がただ邪悪な女に映らないように、その見せ方も考えました。私自身が葵というキャラクターを愛して、その良いところを演じられるように意識しました。


――物語が進むにつれ、葵の新たな一面がどんどん見えていくようになりますが、監督とは、葵についてどのように擦り合わせを行ったんですか?


板野:私は最初、葵のことを、夫の前ではすごくいい顔をして、裏で復讐をしているような、もっと恐ろしくて二面性のある女性だと思っていたんです。でも監督が言うにはそうではなくて、葵はただ不器用で、いい妻を演じていたわけでもなく、本当にストレスが溜まった結果、復讐に走ってしまったと。私が思っていた葵像と、監督が持っていた葵像が結構違ったので、シーンごとに「ここってこういう感情ですよね?」とか「こういうとき私だったらこうするんですけど、葵だったらどうなんですかね?」と、葵の気持ちの流れを細かく確認したり、腑に落ちるまで話し合ったりして、演技指導もしていただきました。


●「もっとはっちゃけている天真爛漫な可愛い役とかもやってみたい」
ーー久本さんを含め、現場の雰囲気はいかがでしたか?


板野:久本さんは本当に裏表がない方なんです。テレビで見るまんまのものすごく気さくな方で、監督のボケに対してツッコんだりもしていました(笑)。久本さんが現場でも楽しませてくれるので、私もやりやすかったですし、とにかく楽しかったです。でも、カメラが回り始めたら、切り替えて葵と真紀子にならなければいけなかったので、そこは難しかったですね。


ーー作品の雰囲気とは違って、現場は和気あいあいとしていたんですね。久本さんの役柄も葵とうまくハマるような感じで、良いバディ感が出ていました。


板野:葵も真紀子も現実で足りないものをネットで埋めていて、そこは今のネット社会を映し出していると思うんです。真紀子は経済力もあって地位もあるキャリアウーマンだけど、旦那や彼氏がいなかったり、誰からも女性として見られていない部分をネット上で埋めている。葵もまた、誰にもわかってもらえない部分を、復讐というかたちでネット上で認めてもらっている。今は実際にそういう社会なのかもしれないですけど、それってすごく悲しい現実だなと思います。でも、その2人が出会うことによって、最終的にはネット上ではなく現実社会で自分たちが満たされる生き方を見つけるわけだから、本当にみんながそうなったらいいなと思いますね。


――真紀子と出会ってからの葵は表情が生き生きとしていましたね。板野さん自身は葵と共通点を感じたりしましたか?


板野:葵は親の言いなりになって人生を生きてきたけれど、最終的には自分で決断して、自分の道を選ぶんです。結局自分の人生だから、自分にとっての幸せや、自分がどうしたいのかを一番に考えて、不安もあるけど自分の価値観で生きていくというのは、私もすごく共感できるし、そうでありたいなと。自分の人生を生きているわけなので、自分に嘘をつかずに前を向いていきたいなと思います。


――それこそ板野さんは本作のテーマとして「女性の幸せとは何か」が描かれていると話していましたが、今の板野さんにとっての幸せとは?


板野:私の幸せですか? え~、なんだろう……(笑)。やっぱり自分らしく生きることですかね。私は自分という存在を誰かに認めてもらったり、わかってもらったりするのがすごく幸せだと思うので、家族や周りにいる友達はすごい大事だなと思います。本当の私を知ってる上で、好きでいてくれる関係みたいな。だから私は自分らしく生きていきたいし、自分らしさを愛してくれる人を探したいです。結婚願望は今はないですけど、いつか結婚はしたいですね。お芝居も今後またいろんな作品に挑戦していきたいです。『のぞきめ』や今回の葵ちゃんはちょっと影がある役柄だったので、もっとはっちゃけている天真爛漫な可愛い役とかもやってみたいですね(笑)。


(リアルサウンド編集部)