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SALU、なぜLDHに移籍した? EXILE SHOKICHI率いる<KOMA DOGG>の可能性

2018年07月27日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 SALUが7月10日、恵比寿リキッドルームにて行われたワンマンライブ『THE LIVE 2018 LOVE』にて、<KOMA DOGG/LDH MUSIC>への移籍を発表し、話題となっている。<KOMA DOGG>は、EXILE SHOKICHIが、これまで一緒に音楽を作ってきたプロデューサーやクリエイターチーム、ファンとともに新たなシーンを開拓するプロジェクトで、その第一弾作品としてSALUの配信シングル『Good Vibes Only feat. JP THE WAVY, EXILE SHOKICHI』が、翌11日にリリースされた。同曲には、2017年にバイラルヒットした楽曲「Cho Wavy De Gomenne」で接点を持ったラッパーのJP THE WAVYも参加している。


参考:EXILEが最新アルバムで示すショーマンシップと物語性 柴 那典の『STAR OF WISH』評


 SALUはなぜ移籍先にLDHを選んだのか。また、「Good Vibes Only」は昨今の音楽シーンにおいて、どんなモードを示す楽曲に仕上がっているのか。音楽ジャーナリストの柴 那典氏に話を聞いた。


「LDH=ダンスボーカルグループのEXILEというイメージで捉えている方から見ると、今回のSALUの移籍には意外性を感じるかもしれません。しかし、現在のLDHにはメインストリームのJ-POPシーンにおけるヒップホップをリードしてきたVERBALが所属し、彼の活動するクリエイティブユニットのPKCZ®では、スヌープ・ドッグやメソッド・マンといった海外の大物ヒップホップアーティストと手を組んで楽曲制作なども行っています。いわば、グローバルスタンダードなポップミュージックとしてのヒップホップを、J-POPシーンのど真ん中で実現しようとしているのが現在のLDHで、その姿勢にSALUが共感したと考えると、自然な流れなのではないかと思います。


 加えて、EXILE SHOKICHIはSALUと同じく北海道の出身で、地元の大先輩であるTHA BLUE HERBなどのヒップホップアーティストに影響を受けてきたと言います。アンダーグラウンドなヒップホップシーンに触れながらも、メジャー志向も持っているという意味で、二人のバックボーンには共通項があり、しかも地元も一緒となれば、目指す方向性が自ずと同じになってきたとしても不思議ではありません」


 「Good Vibes Only feat. JP THE WAVY, EXILE SHOKICHI」は、そうした彼らの音楽性がマッチした楽曲だと、柴氏は続ける。


「SALU、JP THE WAVY、SHOKICHIの三人は、全員が人好きのするタイプのアーティストで、「Good Vibes Only」という曲名の通り、親しみやすさや楽しさが伝わる楽曲になっています。勝ち負けにこだわるというより、一緒に楽しくやろうという姿勢が感じられるのは、彼らのアーティストとしての性格が出ているように感じます。また、海外の音楽シーンではドレイクの登場以降、歌とラップの境目はどんどんなくなっていて、リズミカルな歌とメロディアスなラップがシームレスに繋がっているのが当たり前の状況です。そういう現代的なボーカリゼーションを踏まえた楽曲になっているのは、LDHの目指す方向性とも合致しているはず。


 さらに、サマーソングとしても、ここ最近のトレンドをしっかりと捉えています。チャイルディッシュ・ガンビーノの「Summertime Magic」や、88risingの「Midsummer Madness」、ジャスティン・ティンバーレイクの「SoulMate」など、話題となっているサマーソングはすべて、レイドバックしたスロウなビートに、リラクシンでメロウネスな歌詞を乗せた楽曲です。「Good Vibes Only」もまた、そのテーマも含めて今のサマーソングのモードを表現した一曲といえるのでは」


 EXILE SHOKICHIは、5月にリリースしたソロシングル『Underdog』にて、現在の海外ヒップホップシーンで新たなトレンドとなっている、ラップとロックのクロスオーバーにもチャレンジしている。<KOMA DOGG>が海外の新しいサウンドの潮流を積極的に取り入れるプロジェクトとして進んで行くのであれば、SALUの音楽性にもまた、新たな変化が生まれる可能性もありそうだ。(松田広宣)