鈴鹿サーキットで7月26日に開幕した世界耐久選手権の最終戦、鈴鹿8時間耐久ロードレース。チーム戦である耐久レースにおいて、開幕ひと月を切ってチームメイトの変更を余儀なくされたチームがある。そのうちの2チーム、MuSASHi RT HARC-PRO.Hondaの水野涼とKYB MORIWAKI MOTUL RACINGの高橋裕紀に話を聞いた。
ホンダのチームに、2018年鈴鹿8耐のエントリーリスト変更が相次いだ。ファクトリーチームであるRed Bull Honda with 日本郵便は、鈴鹿8耐開幕約1週間前に、当初エントリーしていたレオン・キャミアが公開合同テストで転倒した際に負った負傷により、鈴鹿8耐を欠場。変わってMuSASHi RTハルク・プロ.ホンダから参戦を予定していたパトリック・ジェイコブセンがレッドブル・ホンダwith日本郵便のライダーラインアップに名を連ねた。
ジェイコブセンに代わってMuSASHi RTハルク・プロ.ホンダに加わったのは、ランディ・ド・プニエ。元MotoGPライダーであり、鈴鹿8耐では2017年にTSRホンダから参戦。3位表彰台に上った。MuSASHi RTハルク・プロ.ホンダは水野、ドミニク・エガーター、ド・プニエの布陣で鈴鹿8耐に挑むことになったのだ。
このライダー交代について、初日セッションを終えた水野は「チームメイトが変わって、本来作ってあったセットアップを見直さないといけませんでした」と語る。しかし、そこまで大きな変更ではなかったようだ。
「ポジション、セットアップの方向性は、バラバラと言う感じではありません。3人ともだいたい同じような方向性です。そこで苦労する部分はないですね」
とは言え、走行時間に少しばかり足りなさを感じているらしい。エガーターはMoto2ライダー、ド・プニエは元々鈴鹿8耐に参戦する予定ではなかった。
「今日の特別走行は、ドミニク(・エガーター)をメインで走らせることを方針としていました。ドミニクが、ドライコンディションの走行が今日初めてだったからです。いろいろトラブルがあって最初はうまく進まなかったのですが、最後にはそれも少し解決して、ランディもタイムを出してくれました。(ライダーが)変わったわりには、それほど悪いスタートではなかったと思います」
さらに、台風接近により雨天が懸念される今週末についても「レインコンディションは1回目のテストで走っていて、それがドミニクとランディの3人だったんです。総じてタイムは遅くなかったし、雨でも手ごたえはありますよ」と自信をのぞかせる水野。
ライダー交代劇が、プラス要素に働く可能性もありそうだ。
■開幕直前にライダー変更となったモリワキ
そして、さらに開幕直前にライダー欠場が決まったのが、KYBモリワキMOTULレーシングだ。当初エントリーしていたダン・リンフットが、7月22日にブリティッシュスーパーパイク選手権(BSB)のレースで負傷。鈴鹿8耐を欠場することが決まり、変わってラタパー・ウィライローがKYBモリワキMOTULレーシングに加入した。KYBモリワキMOTULレーシングは高橋裕紀、清成龍一、ウィライローの3人で鈴鹿8耐を戦うことになったのだ。
チームメイトの高橋は、「まずはダン選手の早期復帰を願いたい」と元チームメイトを気遣いながらも、現状についてこう語った。
「今日、急きょラタパー選手が走りましたが、ラタパー選手にはほぼ僕たちに合わせてもらうしかないので、変わったというのはまったくないです」
ただ、ウィライローは2013年に現役を引退したライダー。マシンに慣れることはもちろん、走りの感覚を取り戻す時間も必要だ。
「ラタパー選手はブランクがあるので、まだ決勝を走るのか決まっていません。最悪の場合、(高橋と清成の)ふたりで走り切らなければいけないかもしれない、そのプランを主体に考えています。バイクのセッティングというよりは、作戦ですね。レースに対するプラン立てを今、やっているところです」
「今日の手ごたえは悪くはありませんでしたが上位陣は強いです。そこに、いかにミスなくついていけるか、ですね。(決勝レースがレインコンディションになる可能性が高いことについて)テストのレインも悪くなかったです。ただ、ずっと雨だったらいいですが、耐久レースだからそうもいかない思うので、そういうときの判断力とチーム力が試されるのかなと思います」
作戦の練り直しに懸念される雨。KYBモリワキMOTULレーシングが鈴鹿8耐の頂点に立つには、険しい道が待っている。