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AK-69×UVERworld、ジャンルを超えたリスペクトと音楽への愛 『ROCK YOU』対バン振り返る

2018年07月26日 18:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 AK-69とUVERworldが、“69の日”として6月9日に豊洲PITで開催した対バンライブ『ROCK YOU』には、「Hip Hop vs Rock」というテーマが掲げられていた。


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 昨年も同日に2組で赤坂BLITZにて開催した『LOCK YOU』に続く今回のイベント。この2組は、昨年10月、AK-69の日本武道館公演『DAWN in BUDOKAN』にUVERworldがゲストとして、さらには2016年に日本ガイシホールで開催のUVERworldの全国ツアー『UVERworld ARENA TOUR 2016』にAK-69がゲスト参加するなど、幾度となく共演の機会はあった。2016年に発表したAK-69のアルバム『DAWN』収録のコラボレーションソング「Forever Young feat. UVERworld」に始まり、6月20日発売のコラボレーションベストアルバム『無双Collaborations -The undefeated-』に収録されている2組による新曲「ONE LIFE feat. UVERworld」が示す通りに、AK-69とUVERworldはジャンルの壁を越えた盟友として、熱の冷めない交流が続いている。


 「Hip Hop vs Rock」というカードは、一見すれば異種格闘技戦。それは、豊洲PITに集まった客層を見ても、人種のるつぼと言わんばかりに、少し異様な光景である。2マンライブの先行を務めたのはAK-69。煌びやかにアレンジされたコーラス主体の「THE CARTEL FROM STREETS」をバックにステージに登場したAK-69は、「Prologue」でライブの口火を切る。「愛の溢れるぶつかり合いだろ。ロックとヒップホップが一つになる日。お前らが愛しているUVERworldが認めた男がどんなライブをするのか、しかと見届けて帰ってくれよ」とUVERworldのファンである“Crew”に呼びかけると、AK-69は「It’s ON」でアカペラでのラップを始め、捲し立てる彼のリリックにドラム、ベースが徐々に折り重なっていく見事なセッションで会場を一気に沸かせる。「A Hundred Bottles」「Yellow Gold」といったドープなサウンド、リリックの楽曲を披露後は、「血と汗と涙を捧げて、それでもどうしても会いたい彼女がいるんです。その彼女の名前はFlying Lady。さぁ、みんなで会いに行こうぜ」とHIDE春、CITY-ACEをゲストに”夢を掴み取る”というテーマを彼女に例えた楽曲「Flying Lady」、そして「IT’S OK」をパフォーマンスした。昨年の6月9日にデジタルシングルとして発表した「Stronger」は、AK-69が亡き父へ思いを歌った楽曲であり、手紙だ。「ヒップホップとは、音楽プラス生き様」そう言い切るAK-69は、亡き父の壮絶な死に様から男としての生き様を知り、「Stronger」を制作した。〈優しさとは強さ〉は、父へのリスペクトを感じさせるリリックだ。


 『無双Collaborations -The undefeated-』には、Toshl(X JAPAN)とのコラボ曲「BRAVE」が収録されており、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でのパフォーマンスも大きな話題になった。「Hip Hop vs Rock」が掲げられたこの日、“ロックの神様”であるToshlがステージに登場。割れんばかりの声援に応えるかのように、ハイトーンボイスでフロアを圧倒した。ラストのサビでは、ToshlがAK-69を見つめながらシャウトし、そのまま熱い握手を交わして、ステージを去っていった。これから大きな挑戦を控えた友人に捧げると「ロッカールーム」を披露した後は、ラストナンバー「THE RED MAGIC」ではAK-69のファン“69Homies”によるハンドマーク「69」が無数に浮かび上がった。


 「次はUVERworld! 覚悟しろよ!」というAK-69からの思いを受け止め、UVERworldはTAKUYA∞の軽やかな口笛から始まるライブチューン「7th Trigger」で威勢良くライブをスタートさせる。TAKUYA∞の「69Homiesのみなさん! あなた方が愛したAK-69が認めたUVERworldが、本物のロックバンドっていうことをガッツリ証明して見せるんで、よろしくどうぞ!」とAK-69へのアンサー返しから、白いハンドマイクでのオートチューンが特徴的な「DECIDED」へ。この日、UVERworldは「WE ARE GO」「一滴の影響」「Q.E.D.」など、アルバム『TYCOON』収録曲を中心に、最新型のバンドスタイルを全身全霊でぶつけていった。「ライブハウスに来てんだぞ! 人生最後のライブでもいい、魂をかけたライブを見せてやるんで!」と扇動すると、TAKUYA∞はフロア前方にダイブして、Crewと拳を付き合わせる。中でも印象的だったのが、ファンをステージに上げるのが恒例の「SHOUT LOVE」で、AK-69のTシャツを着た69Homiesが舞台に上がったことだった。「この曲を聞いたらこれからはこの景色を思い出すんだと思うよ」というTAKUYA∞の愛の言葉と共に、ファルセットを駆使しながら最大級の愛を叫んでいく。勇気を出してステージに上がってきたことに、TAKUYA∞は「いいアーティストにはいいファンがいるね!」と称えていたが、ジャンルの壁なんて存在しない、ということを一つひとつ証にしていくUVERworldの楽曲はまっすぐに69Homiesにも確実に届いている。


 「AK-69と分かり合えたんだよ!」「ロックのレジェンドを呼ばれたってさ、仲間だからこそ簡単に負けは認められないんだよ!」「人の心を動かす音楽こそが正義!」、男が惚れる男・TAKUYA∞の放つメッセージは、いつだって熱い。それは、楽曲と楽曲の間で、勢いや熱量を一定に保つ役割も担っている。つまり、ライブは終盤につれてどんどん熱くなっていくということで、バンドきってのライブチューン「IMPACT」、そしてラストの「在るべき形」では、AK-69から受け渡されたバトンを最高潮の盛り上がりで応えて見せていた。


 『ROCK YOU』の締めくくりとして、TAKUYA∞が「大事なのは魂の挑戦、俺たちはいつまでもForever Young!」と叫ぶと、ステージにAK-69が登場し、コラボ曲「Forever Young」へ。AK-69のリリックには〈ブルハ 尾崎 永ちゃんが教科書〉というパートがあるが、THE BLUE HEARTS、尾崎豊、矢沢永吉、そしてAK-69、UVERworldに共通してあるのは、成り上がりの精神。愛知と滋賀の小さなライブハウスを出発点に、それぞれが日本武道館を埋めるほどの、シーンを代表するアーティストへと成長していった。通じ合うのは、相手への最上級のリスペクトと自分が信じた音楽への愛。「Hip Hop vs Rock」という異種格闘技戦のカードは、AK-69とTAKUYA∞が拳を交わし合うことで終わりを告げた。「ジャンルの壁はない」、2人が最後に何度も叫んでいたその言葉が、『ROCK YOU』というイベントが伝えるメッセージだ。(渡辺彰浩)