WRC世界ラリー選手権に参戦しているMスポーツ・フォードが、7月26日開幕の第8戦フィンランドでマシンリヤを改良。トヨタ・ヤリスWRCに酷似したリヤバンパーやディフューザー、リヤフェンダーを投入した。
2018年シーズンからフォードとの関係が深まり資金面や開発面でサポートを受けているMスポーツ。3月に行われた第3戦メキシコ後には、アメリカ・シャーロットにあるフォードの風洞施設を活用して、フォード・フィエスタWRCのテスト&開発に取り組んでいた。
またチームを指揮するマルコム・ウィルソン代表はラリー・フィンランドに先駆けて、改良型リヤウイングを含む新コンポーネントを投入する方針と発言。「(新パーツは)ひと目見て違いが分かるくらい大きく違うもの」としていた。
そして、シーズン後半戦初戦となるラリー・フィンランドに投入されたのがリヤ周りの新型パーツ。従来型からはリヤバンパーとリヤディフューザーが大型化され、その姿は“ガンダム風”として話題となったヤリスWRCと酷似している。
チームが行ったシミュレーションでは、今回の改良パーツによってリヤダウンフォースが向上しリヤスタビリティが高まったとのこと。
ラリー・フィンランド前に行った事前テストでも新型パーツの効果が確認されたと言うが、エースドライバーであるセバスチャン・オジエはテスト時間が充分ではなく性能に確証が持てないとコメントしたこともあり、チームはぎりぎりまで開発作業を継続。パーツ製作の時間が限られたため、ラリー・フィンランドに持ち込まれた新型パーツは1セットのみとなった。
そのためドライバーズランキング2位につけているオジエが操る1号車にのみ、この新型パーツは投入され、エルフィン・エバンスやテーム・スニネンがドライブするフィエスタWRCは従来パーツでの走行となる。
なお、すでにヒュンダイ陣営は2018年型ヒュンダイi20クーペWRCで、このヤリスWRC風のリヤデザインを採用済み。唯一、シトロエンだけが独自のリヤデザインを維持している。
そのシトロエンはダンパーをオーリンズ製に切り替えるなど、フロントアクスルのジオメトリー設計をリニューアル。すでにリヤジオメトリーについては改修が行われているため、これまで噂されていたサスペンション周りの基本設計に失敗したという見方を裏付ける結果となった。
ラリー・フィンランドでホームイベントを迎えるトヨタ陣営は3台全車に新型エンジンを投入。レスポンスや低速域でのトルクが改善されたほか、これまでよりも1段高いギヤを使えるようになり、走行中にシフトダウンする回数が少なくなるなど、ドライバビリティ向上が期待されている。