イタリアを拠点にレーシングチームとして活動するテクノドン・スポーツは、TCRイタリア・シリーズへの投入に向けて完全自社設計となるブランニューマシン『フィアット・ティーポTCR』を開発。本国でのラウンチに合わせてフォトデビューを果たした。
フィアットの量販Bセグメントモデルをベースとしたこの新型TCR車両は、この1年にわたって開発作業が続けられ、2018年のオフシーズンにはアドリア・レースウェイで精力的なテストを行っていることが確認されていた。
このティーポTCRは、そのほかのTCR規定車両と同様に多くの指定コンポーネントを採用し、ギヤボックスにはホンダ・シビック・タイプR TCRやフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRなどと同じサデフ製のシーケンシャル・ギヤボックスを搭載している。
また心臓部には、同じくイタリアン・ブランドとして活躍するアルファロメオ・ジュリエッタTCRを製作したロメオ・フェラーリ製の1.75リッター4気筒直噴ターボを載せている。
TCRのテクニカル部門は、この新型TCR車両の公認取得に向け型式登録と認定の作業を続けており、今季に関してはTCRイタリア参戦に向けた暫定ホモロゲーションを取得してのエントリーになる見込みだ。
ここまでTCRイタリアで同チームに所属し、オペル・アストラTCRなどをドライブしてきたレースドライバー兼開発テスターのケビン・ジャコンは「このマシンが完成したことをとても誇りに思う」と喜びを語った。
「このフィアット・ティーポTCRはとてもうまく設計、デザインがなされていて、多くのポテンシャルを秘めたマシンに仕上がっていると思う。我々は現時点で異なる種類のタイヤセットでテストを進めていて、その成果を反映してイタリア以外のTCRシリーズでも活躍できるよう、この車両を販売する上での着地点を見い出そうとしているんだ」
「我々はすでにこのマシン以外に2台の新車製造を始めていて、これはトルコと南米からの要請を受けてのものだ」
テクノドン・スポーツの代表を務めるドミツィアーノ・ジャコンは、2019年シーズンでの本格販売に向け「我々は今後もアドリアをベースに開発を進め、興味のあるチームやカスタマーを招待し、実際にマシンに触れ、テストをしてもらう予定だ」と今後の展望を語っている。
また隣国TCRドイツを主戦場に、同アジア・シリーズや、オフシーズンにはウインターリーグ制のTCRミドルイーストなどで戦ってきた古豪チーム・エングストラーが、これまで長年にわたりパートナーとして戦ってきたフォルクスワーゲン陣営を離脱し、新たにヒュンダイとのカスタマー契約を締結したとアナウンスした。
TCRドイツの次戦ニュルブルクリンクから早速適用されるこの新たなパートナーシップにより、チーム・エングストラーは最新のヒュンダイi30 N TCRを2台投入。
チームのエントリー名も"ヒュンダイ・チーム・エングストラー"とし、2019年にはその他のシリーズでも、全面的にヒュンダイのバックアップを受ける予定だという。
今季もリキモリ・チーム・エングストラーとしてフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブしてきたルカ・エングストラーとテオ・クワコウのふたりは、シーズン中でのマシンスイッチとなり、とくにランキング3位につけているルカにとっては「タイトル獲得に向けての大きな後押しになるだろう」と、チーム代表でありルカの父親でもあるフランツ・エングストラーも期待を寄せている。
ヒュンダイ・モーター・ドイチェランドGmbHのマネジングディレクターを務めるマルクス・シュリックも「TCRドイツは、ヒュンダイ・モータースポーツにとって論理的な次のステップだ」と、意気込みを語っている。
「ここ数年、我々はドイツ国内のモータースポーツに積極的なコミットメントを展開し、ノルドシュライフェのニュルブルクリンク24時間レースやVLNにも参戦してきた。ヒュンダイi30 Nを高性能モデルとして顧客にアピールすべく、チーム・エングストラーのような経験と実力を兼ね備えたパートナーとタッグを組めることを光栄に思っている」