トップへ

新木優子が“明るい格好”を選ぶ理由 『コード・ブルー -もう一つの日常-』で描いた“気持ちの力”

2018年07月25日 11:12  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 「私は気持ちの力を信じたい」。7月23日より5夜連続での放送がスタートしたスピンオフドラマ『コード・ブルー -もう一つの日常-』(フジテレビ)。2017年7月クールドラマで放送されていた『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-THE THIRD SEASON』(フジテレビ系、以下3rd Season)から登場を果たしているフライトドクター候補生の名取颯馬(有岡大貴)、灰谷俊平(成田凌)、横峯あかり(新木優子)、フライトナースの雪村双葉(馬場ふみか)を軸に、彼らの救命救急の日常が描かれる。


【写真】『コード・ブルー』ハードな作風を成立させる、新木優子の存在感


 24日の放送は、オレンジ色で花柄という派手なコートを着て出勤する横峯のシーンから始まる。名取からは「相変わらずすごいな。どこに売ってんのそれ?」とバカにされるが、横峯の担当患者である白井佳奈は「可愛い。花柄のコート」と笑顔を見せる。


 横峯はこれまで“今どきの若者女子”として描かれてきた。3rd Seasonの第1話でも髪をくるくると指でいじりながら「もう戻るんですか? やっぱりヘリってはやーい」と慌ただしい初療室で緊張感のない様子。医者を目指したきっかけはドラマ『救命病棟24時』(フジテレビ系)であり、明確な志を持っていたわけでもない。しかし多くの現場経験を経て、患者、そしてドクターとしての自分と向き合うことで成長してきた。


 佳奈が病気による痛みが頻繁に出るようになり、横峯は佳奈のために花柄のマフラーをプレゼントしたり、お母さんと一緒に「いたいのいたいの、飛んでいけ」とおまじないをかけたりする。横峯の患者を思う性格が表れたシーンであり、それに対して優しい視線を向ける名取も印象的だった。


 横峯の患者に対する愛情は、他のフェローたちと比べても当初から感じられていた。3rd Seasonの第2話では、藍沢耕作(山下智久)の「(患者は)最高の練習台だ」という言葉にショックを受け涙を流していた横峯。目線を合わせて笑顔で佳奈に話しかける姿を見ても、患者への愛情は新人の頃からブレてはいない。


 この想いを感じ取った名取は「マフラーといいコートといい、いい色してるよ」と横峯を認め直す。緋山美帆子(戸田恵梨香)の真っ直ぐに患者と向き合える姿勢に憧れを抱いていた名取は、同様の気持ちを横峯にも感じたのかもしれない。


 横峯は3.11のボランティアで派手な色のフリースを喜んでくれた人がいたと話す。続けて「私は気持ちの力を信じたい。明るい格好で病院に来ればまだ何もできない私でも。気持ちを救ってあげることができるのかなって」と本心を打ち明ける。


 「だから私はあしたも花柄のコートで病院にくる」と真っ直ぐな言葉に名取は少しうつむきながらも「へえ、いいんじゃない」と返すのが精一杯。素直に気持ちを伝えられる横峯と、本心を隠してつい冷めた態度をとってしまう名取とは正反対の性格だ。しかし、患者の処置では、目だけで合図を送ったりと信頼関係を築けている。


 横峯の優しい思いやりは些細なことかもしれないが、ときに患者の力となる。そして同時に名取たち同期の心の支えにもなっている。そんな同期としての”支え合う関係”が表れた回だった。


(馬場翔大)