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10年ぶりの鈴鹿8耐に挑むホンダワークスチーム。3人のライダーに聞いたチームの現状

2018年07月23日 20:21  AUTOSPORT web

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10年ぶりにワークスチームで鈴鹿8耐に挑むホンダ
7月26日の開幕まで1週間を切った鈴鹿8時間耐久ロードレース。開幕を前に、ホンダ主要チームの合同記者会見が7月22日にホンダ本社のウエルカムプラザ青山で開催。この会見では、10年ぶり復活を遂げたホンダワークスチーム、Red Bull Honda with 日本郵便の高橋巧、中上貴晶、パトリック・ジェイコブセンも出席。3人に現在のチーム状態を聞いた。

 世界中から注目されているホンダファクトリーチーム、レッドブル・ホンダwith日本郵便は、当初発表されていたラインアップが変更。7月10日から行われた鈴鹿8耐公開合同テストでのレオン・キャミアの負傷、欠場に伴い、MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaから参戦予定だったパトリック・ジェイコブセンがファクトリー入りした。これに関してHRC桒田哲宏レース運営室室長が以下のように説明する。

「レオン(キャミア)は非常に残念でした。レオンの欠場が決定した直後から、替わりのライダー候補をいろいろ考えました。耐久レースだから単純に速いライダーを選ぶのではなく、体格などほかのふたりとのマッチングを考えました。その結果、パトリック・ジェイコブセンに乗ってもらうのが一番いいバランスだという結論に達しました」

 キャミアの負傷により、公開合同テストでは高橋巧がメインにセッティングを担当。ライディングポジションも現状、高橋巧のポジションのままだという。

「20日に初めて3人で乗りましたが、ちょっと余計なことをしちゃって転倒し、限られた時間を削ってしまいました」と高橋巧。

「でも、ウイークに入ってから3人でひとつの目標に向かって合わせていければ大丈夫だと思っています。現状のマシンは自分好みのセッティングだけれど、ウイークで3人の意見をまとめるのが楽しみです」

 中上貴晶は、7月6日の公開合同テストでワークスマシンをテスト。以降、7月20日のテストまでマシンに乗る機会はなかった。

「先週はレオンが初日に転倒したので(高橋)巧くんがひとりで三日間のテストを担当してくれました。そういう意味では出遅れた部分はあるけれど、巧くんがかなり仕上げてくれました」と中上。20日のテストに関してはこう振り返る。

「20日のテストは初めて3人がそろいました。路面温度が高くコンディションは厳しかったけれど、完熟走行をメインに周回数をこなすことができました。ウイークでしっかりと意見を照らし合わせて準備を進めたいです」

 負傷したキャミアの代役に抜擢されたジェイコブセンは、ホンダファクトリーチーム入りで感動し、気合いを入れている。

「20日のテストで何ラップかしたけれど、乗り心地は最高だ」とジェイコブセン。

「セッティングはハルク・プロとは違うね。ウイークに入ってからアジャストしていくのが楽しみだよ」

 マシンのライディングポジションに関しても「3人で走る耐久レースなのだから、ライディングポジションはライダー側が合わせるのは当たり前。自分のポジションにはこだわっていないよ」と問題ない様子だ。

 CBR1000RRで全日本ロードレース選手権に参戦している高橋巧にとって、同じCBRでスーパーバイク世界選手権(SBK)を戦っているジェイコブセンは心強い味方となるだろう。また、中上にとってのジェイコブセンは十年以上前にMotoGPアカデミーで一緒だった旧知の仲。鈴鹿8耐で重要となるチームワークに関しては問題なさそうだ。

 高橋巧も中上も「ふたりで走れと言われればふたりで走るが、3人の方が体は楽。ジェイコブセンのパフォーマンスに不安ないから、三人になってよかった」と口をそろえる。

 HRC桒田室長も「ウイークに入ってからもマシンをよくしていく。その自信がある」と語る。このチームは鈴鹿8耐での『優勝』という二文字しか考えていない。

■ジェイコブセンに代わりハルク・プロ入りしたド・プニエ「勝つだめだけにここにいる」
 パトリック・ジェイコブセンがホンダワークスチームから参戦することになり、ハルク・プロには元MotoGPライダーのランディ・ド・プニエが加入することになった。

 大勢のファンの前で「鈴鹿8耐でホンダマシンで戦うことは僕にとって非常に大きなポイント」と言ったド・プニエ。ハルク・プロのマシンについては次のように語った。

「ハルク・プロで走れるのは非常にうれしい。昨年はTSRで走ったけれど、去年と比べてもいい手ごたえだよ。ロングランでもいいタイムが出たから、これを8時間続ければ、いいレースができると思うよ」

 ド・プニエは世界耐久選手権(EWC)ではカワサキのチームで戦う。しかし、そのカワサキのチームはル・マンとボルドールの24時間耐久のみの参戦。そこで、どうしても鈴鹿8耐に参戦したいド・プニエは必至にシートを探したのだ。

 24時間レースでは力強い走りを見せるド・プニエ。

「8時間耐久と24時間耐久、どちらもすばらしいレースだ。でもマシンも戦い方も違うから、比べることはできないよ。ただ、メンタリティは同じ。鈴鹿8耐はベストなライダーがそろっているという点で好きなんだ」

 さらに鈴鹿8耐参戦の理由をこう述べた。

「勝つだめだけに今、ここにいる。鈴鹿8耐はライバルが手強いから、すごくタフなレース。ゴールは表彰台の真ん中しか考えていないし、そのためにレースしているんだ」

 ハルク・プロ本田重樹総監督は「今年は新しい体制、新しいマシンで不安があるけれど、ライダーラインナップに不安はない」と言う。ハルク・プロが鈴鹿8耐のダークホースであることに間違いないだろう。