ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズの第3戦が7月22日、オーストリアのレッドブルリンクで行なわれ、ロマン・ルシノフ/アンドレア・ピッツィオーラ/ジャン-エリック・ベルニュ組のGドライブ・レーシング、26号車オレカ07・ギブソンが前戦モンツァに続いて総合優勝を飾った。
4時間にわたる決勝レース中に雨が降る予報が出るなか開催された第3戦レッドブルリンク。LMP2、LMP3、GTEの3クラスで合計42台が出走した今戦は終始ドライコンディションで行なわれたものの、予報どおりレース中盤にぱらついた雨の影響もあり、1度のセーフティカー(SC)、合計5回のフルコースイエロー(FCY)が出る荒れた展開となった。
前日の予選でポールを奪ったのはアイデック・スポーツの28号車オレカ07・ギブソンだったが、決勝ではピエール・ラグエス駆るデュケーヌ・エンジニアリング、29号車オレカ07・ギブソンが2番手グリッドから好スタートを切り、1コーナーで28号車オレカをアウト側からオーバーテイクする。その後29号車オレカは2番手以下とのギャップを徐々に広げながらレースをリードしていく。
一方、後方ではポールから2番手に順位を落としたアイデック・スポーツと、5番手から3番手に順位下げたGドライブの26号車オレカの2番手争いが勃発。両者のバトルは約30分に渡って続けられたが、ルシノフがドライブするGドライブにジャンプスタートによるドライブスルーペナルティが出されたことで、この争いは決着した。
レース中盤にかけて降雨によるSCや、マシントラブルなどでコース上にストップするマシンが現れたことでFCYが立て続けに導入される。この間に2番手を走る28号車オレカはLMP3のマシンと接触してフロントカウルを損傷し、その交換作業に追われたため順位を落としてしまう。
チェッカーまで残り1時間となった時点で、見た目上のトップはSC導入によってペナルティ遅れを挽回したGドライブ。これにデュケーヌ・エンジニアリング、開幕戦ウイナーのレーシング・エンジニアリングの24号車オレカ07・ギブソンが続く形となるが、実質的には29号車オレカが首位に立っている状況だった。
フィニシュまで残り55分、ベルニュ駆るGドライブがルーティンピットに入り29号車オレカがふたたび首位に浮上する。この20分後、ネルソン・パンチアティシのドライブするデュケーヌ・エンジニアリングも最後のピットインを行なうが、チームは給油に加えてタイヤ交換を実施する。
レース時間残り12分となって実質3番手となったベルニュが最後の給油へ。逆転を狙うGドライブはここでスプラッシュ・アンド・ゴーを選択すると、29号車オレカの約20秒前でコースに復帰することに成功した。その後、ベルニュはタイヤを履き替えたパンチアティシに追撃を許すことなく、18秒のギャップを保持したままトップチェッカーを受けた。
最終スティントでテール・トゥ・ノーズの戦いとなったデュケーヌ・エンジニアリングとレーシング・エンジニアリングの2番手争いは前者が逃げ切ってチェッカーを受けたが、29号車オレカにはレース後失格の裁定が下ったため24号車オレカが繰り上がりで2位に。3位にはユナイテッド・オートスポーツの22号車リジェJS P217・ギブソンが入っている。
3クラス中最多となる18台が出走したLMP3クラスは、RLR・MスポーツのリジェJS P3・ニッサンが予選3番手から逆転優勝を飾った。GTEクラスではポールスタートのJMWモータースポーツ、66号車フェラーリ488 GTEがトラブルで戦線離脱したこともあり、2番手スタートとなったプロトン・コンペティションの88号車ポルシェ911 RSRが同クラスを制している。
ヨーロッパを転戦するELMSの次戦、第4戦は8月16~18日、イギリス・シルバーストンでWEC世界耐久選手権の併催レースとして行なわれる。