ドイツGP日曜日の朝、トロロッソ・ホンダは、ピエール・ガスリーのパワーユニットを交換した。ICE、ターボ、MGH-H、MGU-K、エネルギーストア、コントロールエレクトロニクスの6コンポーネントすべてだ。
これは予選で使用したパワーユニットに不具合が見つかったからではない。予選で17番手に終わったことを考えると、ペナルティを受けてでもパワーユニットを新品にして最後尾からスタートするほうが得策だという戦略的な交換だった。
「(ブレンドン・)ハートレーのほうはこれまで何度かパワーユニットを交換してストックがあったんですが、ガスリーのほうは現時点でストックがなかったので、予選ポジションを考慮して、ここで新品を投入する決断を下しました」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)
これにより、ドイツGP決勝レースはブレンドン・ハートレーが16番手、ガスリーは最後尾の20番手からスタートすることとなった。
トロロッソ・ホンダは2台そろってソフトタイヤを履いてスタート。オープニングラップでハートレーは1つポジションを落としたが、ガスリーは2つポジションを上げて、それぞれ17番手と18番手で1周目のコントロールラインを通過していった。
しかし、直後の3周目、ダニエル・リカルドにオーバーテイクされたガスリーは、6コーナーのブレーキングでミスを犯してオーバーラン。再び最下位に落ちてしまう。
一方、チームメイトのハートレーもなかなかランス・ストロールを抜けずに20周目まで18番手と厳しいレース展開。
「ウイリアムズの後ろで少しタイムを失ったけど、何度か楽しいバトルをしたよ」というハートレーは26周目にストロールをオーバーテイクして28周目にピットイン。タイヤをソフトからミディアムに交換して、後半戦の戦いに臨んだ。
最後尾に脱落してしまったガスリーは、ハートレーがピットインした後もコース上にとどまった。理由は、レース中盤に雨が降るという予報があったからだ。
そして、43周目に雨が降り始めるとすぐさまピットイン。完全な雨用のウエットタイヤを装着してコースに復帰した。しかし、雨は強くならないまま、いったん止んでしまう。そこでガスリーはドライタイヤに交換するため、再びピットインしなければならなかった。
「僕らはギャンブルしたけど、不運にもそれは外れてしまった」というガスリーは、再び最後尾へと回った。
ここでタイヤ交換せずにドライタイヤで走り続けたハートレーは、52周目に出されたセーフティカーの際にピットイン。ライバル勢が降ったり止んだりする天候に翻弄される中、ポジションを9番手まで上げることに成功した。
その後、ロマン・グロージャンとカルロス・サインツJr.にオーバーテイクを許して11番手でチェッカーフラッグを受けたが、10番手でフィニッシュしたサインツがセーフティカーランの最中にオーバーテイクして、10秒のタイムペナルティが科せられたため、ハートレーのポジションは1つ繰り上がって10位入賞を手にした。
トロロッソ・ホンダのポイント獲得は、第6戦モナコGP以来、5戦ぶり。ハートレーの入賞は第4戦アゼルバイジャンGP以来、2度目だった。
「ここ数戦、無得点のレースが続いていたので、1点ではありますが、チームにとっては大きな得点となりました。ハンガリーGPはチームとの相性が悪くないので、次はもっといいレースがして、気持ち良く夏休みに入りたいと思います」(田辺TD)