2018年F1ドイツGP決勝で、レッドブル・トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーは14位だった。
決勝前、ガスリーのパワーユニットが交換されたことが明らかになった。5基目のICE、ターボチャージャー、MGU-H、4基目のMGU-K、3基目のエナジーストア、コントロールエレクトロニクスが導入され、1シーズンに定められた基数制限を超えた交換のため、予選17番手のガスリーはペナルティを受けて最後尾からのスタートとなった。ホンダは、今回の交換の理由について「トラブルではなく、予選順位を考慮した上で、今後の戦いに向けて、PUのスペアを確保する目的で戦略的に交換を行ったもの」としている。
ソフトタイヤでスタートし、序盤ガスリーは20番手を走行。雨の予報があったため、チームはステイアウトさせる戦略を採った。40周すぎに雨が降り出した際に、チームは雨が激しくなると読んでガスリーを43周目にピットインさせ、ウエットタイヤを装着。しかし雨は収まり始めたため、46周目にウルトラソフトに交換、ガスリーは19番手にポジションを落とした。最終的にガスリーは14位フィニッシュという結果になった。
■レッドブル・トロロッソ・ホンダ
ピエール・ガスリー 決勝=14位
戦略的理由でPU交換をし、ペナルティで最後尾スタートとなったので、今日のレースが難しいものになることは分かっていた。失うものは何もなかったので、大胆な戦略を採ることができた。
天気の変化を読むのが難しく、雨が強まることに賭けてウエットタイヤに交換したが、路面はそこまでは濡れておらず、雨が激しくなることもなかった。乾いた路面を走ったことでウエットタイヤがオーバーヒートし始めたため、予定外のピットストップをしてウルトラソフトに交換しなければならなかった。それによって順位を落とすことになったが、今日はリスクを冒して戦う必要があった。今回はうまくいかなかったけれど、気持ちを切り替えて、来週のブダペストに集中していく。
(雨が降ってきた時にチームがフルウエットへの交換を決めたことについてRACEFANSに語り)チームから意見を聞かれた時、「今のところ小雨だ」と答えた。その後、ピットに入るよう指示されたが、(フル)ウエットタイヤに交換されるとは思ってもいなかった。
タイヤ交換を終えた時、「よし、やってみようじゃないか」と思った。チームはレーダーを見ていて、ドライバーが知らない情報を持っているのだから、うまくいくのだろうと思った。
でもコーナーを3つ走ったところで、「今すぐ雨が降ってくればチャンスになるけど、そうでなければおしまいだ」と思った。3周そのまま走り続け、タイヤが完全にオーバーヒートし、もう使い物にならなかった。乾いた路面をフルウエットで走り、スライドしまくっていた。
まだほとんどドライコンディションの時にウエットタイヤに換えて、うまくいかなかったからドライタイヤに戻した。そしたら2周後に雨が激しくなってきた。結果、僕らは20周ぐらいは間違ったタイヤで走っていたことになる。
でも、もしこの戦略が当たっていたら、順位を大きく上げることができただろう。皆と同じ戦略で走っていたら、それは無理だ。ものすごく大きなギャンブルで、成功する可能性はかなり低かった。でも13番手とか12番手を走っているときには、作戦が失敗したとしても失うものはない。