「ここは奢るよ」「え! いやいや、そんな!」――会計のレジでよく見かけるやりとり。奢りと遠慮のラリーを数回して、大抵はおごってもらうところに落ち着く。
個人的には奢ってもらうことは苦手だ。いや、お金がないのですごく嬉しいのだが、「本当にいいのかな?」という迷いがいつも生じる。
だが「あまり拒否されるのも残念に思う。気持ちよく奢らせてほしい」という意見もあると知ってからは、素直にありがたく奢ってもらうことも覚えた。奢る側でいるときの自分の尺度でとらえてしまっていたが、奢りのポリシーは人によって違うのだ。(文:ツマミ具依)
上司が誘ったなら奢ってほしい 「断れないよね。年上の友達じゃないんだからさ」
先日、ガールズちゃんねるで「奢ってくれない上司」というスレッドが立った。スレ主の彼氏は「全額奢る」ことはせず、例えばデートで食事の会計が1万なら3000円請求さるとのこと。恋人関係での不満かと思いきや、気になったのは職場でのシチュエーション。
「私は別に気にしていないのですが、職場の後輩とご飯に行った時も同じ事を言っているそうなんです。私からしたら『3000円もらえる?』と言ってくる上司って人望がないように思えて…。皆さんの周りの上司で奢ってくれない人っていますか?どんな印象を持ちますか?」
これに対し、スレッドは賛否両論が寄せられた。そもそも「職場の人に奢ってもらおうと思った事がありません」という人もいれば、
「奢らないくせに誘うなと思う。仕事の延長のようなものなのに時間とお金の搾取でしかない」
「複数でいくランチで奢ってもらおうとは思わないけど上司が誘ってきた飲みや食事で奢らないっていうのはちょっと想像つかない。だって断れないよね。年上の友達じゃないんだからさ 」
と「奢るべき」と強く主張する人もいた。理由はすべて「断れないから」。仕事という利害関係が発生する以上、一方的に誘ってお金までなくなるのは御免だ。一方、
「当たり前だと思ってるのは嫌」
「私が部下の立場でも上司が少し多く出してくれたら感謝するし、全額奢りが当たり前なんて思わないな」
とトピ主の考え方に違和感を抱き、苦言を呈する人も少なくはない。たとえ上司部下という関係であっても、当たり前と思わないような最低限の礼儀があるべきということだ。
「上司が奢らないのは嫌だけど、旦那が上司だとして部下に奢っていたらなんか嫌」
さらに昨今、薄給上司が多いことから、
「先輩世代って家庭を持っていたりお子さんがいたりして独身よりも渋いお小遣いもあるから期待するのは不憫 」
「上司といってもそんなにバンバン奢れるほどに給料もらってないと思うけどなあ。今の時代。集り部下がいてむしろ可哀想」
という同情する声もあった。ただこれらには部下が上司に無理やり誘われている印象はないので、「断れないから奢るべき」という意見の職場とは、社風に差がありそうだ。
また「彼氏」や旦那という点に着目すると、意見が少し変わってくる。
「彼氏や旦那がいい格好しいのおごりたがり屋だったら嫌だ」
「私、上司側の嫁だけど奢るな!って言ってるよ。他人に奢る余裕などなーい」
気前が良すぎても、家計を思うと問題だ。トピ主も結婚すれば、相手の会社での人望よりも、お金の使い方を気にするようになるかもしれない。