F1ドイツGPで優勝したルイス・ハミルトンが、決勝後、レギュレーション違反の疑いでスチュワードの調査を受けた。レース中、ピットエントリーとトラックを分ける白線をカットしたことが問題視されたためで、一時は降格も懸念されたが、スチュワードの審議の結果、戒告処分が下されるにとどまった。
予選Q1でトラブルに見舞われ、14番グリッドからのスタートとなったハミルトンだが、見事なレース運びで順位を上げ、トップを走っていたセバスチャン・ベッテルがクラッシュしてリタイアしたこともあり、優勝を勝ち取った。
しかしレース終了後、その優勝が剥奪される可能性が出てきた。ハミルトンが違反したと疑われたのはFIA国際スポーツ法典の項目で、問題の箇所には「不可抗力(スチュワードがそのように認めたもの)である場合を除き、ピットレーンに入ってくるマシンは、ピットエントリーとトラックを分けるラインを、いかなる方向においても越えることは禁じられる」と記されている。
スチュワードが注目したハミルトンの行為は、セーフティカーが出動した際、チームからの指示が、ピットインするかどうか、明確になされなかったことにより起きた。メルセデスは最初はピットインするよう指示、ハミルトンがピットレーンに入ったところで、ステイアウトするように言った。そのためハミルトンが芝を越えてコースに戻ったところ、チームは「そのまま入って来るように」と再び指示を変えたと、ハミルトンは述べている。
「ピットウォールの方では皆がパニックになっていて、混乱が生じていた。一番リラックスしていたのは僕だと思うよ!」とハミルトンがレース後に述べたとSky Sportsは報じている。
「彼らは『イエス!』『ノー!』『入って来い』『入って来るな』と立て続けに叫んでいて、大変なことになっていた」
表彰式も終わった後で、スチュワードはこの件を審議することを明らかにし、ハミルトンとチーム代表者を呼び出して調査を行った。その結果、スチュワードは、ハミルトンは規則に違反したものの、タイムペナルティを科すにはおよばないと判断、戒告処分を下した。
このような決断に至った理由を、スチュワードは以下のように説明している。ハミルトンとチームがミスを素直に認めていること、ステイアウトかピットインするかに関してチーム内で混乱が生じており、それが違反につながったこと、違反はセーフティカー出動時に起き、その時点で他のドライバーに危険がおよぶ可能性がなかったこと、方向転換が安全なやり方で行われたことをスチュワードは考慮に入れ、戒告が適切なペナルティであるとの結論に達したということだ。
ハミルトンは2位バルテリ・ボッタスとの差は4.535秒、3位キミ・ライコネンとの差は6.732秒で、何らかのタイムペナルティを受ければ、優勝を失うものとみられていた。