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鈴鹿でのNSX圧倒から一転、なぜタイはLC500祭りだったのか。垣間見えるホンダの長期戦略

2018年07月22日 20:01  AUTOSPORT web

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鈴鹿でのNSX圧倒から一転、なぜタイはLC500祭りだったのか。垣間見えるホンダの長期戦略
鈴鹿でのNSX-GTによる1-2フィニッシュは圧倒と呼ぶにふさわしい内容だった。しかし、次のタイでは形勢が逆転、決勝はLC500が圧倒した。ポイント獲得でNSX勢のウエイトハンデ重量が増したことだけがその理由とは考えられない。

 もちろんレクサス勢がタイヤ選びやセットアップの面で優れていたということもあるだろうが、今季のNSXがこの苦戦をも織り込んでオフの開発を進めてきた可能性もある。

 2018年モデルのNSXは運動性向上のために重量物のインタークーラーをエンジン上からエンジン横に移設した。重心低下を狙ったものだ。しかしこれによってインタークーラーの冷却効率は落ちたという。ターボ車両にとってインタークーラーの冷却効率はパワーに直結するもの。エンジン開発の方向性によってある程度カバーできるといっても限界はある。

 インタークーラーが冷えなくても問題の少ない寒い時期に大量得点を稼ぎ、暑い夏はなんとかしのいで秋から再び反攻に出るというシナリオがあっても不思議ではない。現在のポイントシステムともそれは合っている(第7戦はウエイト半減、最終戦ノーウエイト)。

 いずれにしてもシリーズ前半戦でポイントを稼ぐとウエイトが減るラウンドまでは、少ないポイントを地道に積み重ねるしかないのだ。開発を進めた(当然パワーアップしているはず)2基目のエンジンをどこで投入するかもこの戦略には絡んでくるだろう。

 もしホンダにそのような戦略があるとすれば、対するレクサス勢、ニッサン勢は逆に夏の間に点数を稼ぐ必要がある。次の第5戦富士は距離が長い分ポイントも獲得ポイントも増える(通常の優勝20点が25点)のでなおさらだ。タイも雨絡みの予選ではNSXが上位を占めた。決勝も同じような状況だったら、展開は全く違ったはずで、ここから富士、SUGOと天候や気温によって、各陣営の有利不利が大きく変わる展開も考えられる。天運までも味方につけなければ、この僅差の戦いは勝ち抜けない。

スーパーGT第4戦タイ オフィシャルDVDは7月27日(金)発売

 NSX-GT・2勝、GT-R・1勝、LC500・1勝。ここまで4戦を終えて18年スーパーGT GT500クラスは勝ち星を比較してもいかに3ワークスの力が均衡して接戦になっているかがわかります。GT300クラスにおいてもGT500ドライバーが大量参入。レベルアップは激しく各所で好バトルが展開されており、1戦1戦のレース内容をみてもビンテージイヤーと呼ぶにふさわしい濃さがあります。

 この展開を期待して今季スーパーGTオフィシャルDVDは1戦ごとのパッケージとして好評発売中です。それも決勝を全周ノーカット収録(SCランを除く)。オーバーテイクに至る微妙な駆け引きまで、あますところなくご覧いただけます。実況音声はオフィシャルアナウンサーのピエール北川(Rd.7オートポリスを除く)なので、サーキット観戦の緊張と興奮を味わうことができます。

 予選と決勝で勢力図は一変、小林可夢偉のバトルでの駆け引きが光った第4戦タイ決勝をノーカット収録、さらに特典としてポールポジション獲得のMOTUL MUGEN NSX-GT×武藤英紀の車載映像を収録したスーパーGTオフィシャルDVD Vol.4は7月27日(金)に発売開始します。