2018年07月20日 16:52 弁護士ドットコム
親がある程度の財産を保有しているのは把握していても、生前から積極的にその行方を話し合うには、なかなかデリケートなもの。とはいえ、別れはある日突然やってきます。
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そのときになって直面するのが「相続」の問題ーーつまり、誰がどの財産をどのくらい貰い受けるのか、ということです。
遺産相続は基本的に、民法で決められている「法定相続人」同士で「法定相続分」を分け合います。
法定相続人として定められているのは、亡くなった人の配偶者、子ども(または孫、ひ孫など)、親(または祖父母、曾祖父母など)、兄弟(または甥姪)となり、この順番で相続権の優先度が高くなっています。
たとえば父が亡くなり、母と子が残されたとすると、「法定相続分」はそれぞれ2分の1ずつになると決められています。このとき、子がふたりいた場合、配偶者である母の法定相続分は2分の1で変わりませんが、残りの2分の1の財産を子どもふたりで分け合うことになります(つまり、子の取り分は全財産の4分の1ずつになります)。
とはいえ、この遺産分割にまつわる取り決めはあくまでも原則であるため、必ずしも法定どおりに行われないこともあります。そのひとつの例が「遺言書」による相続です。
しかし、生前から遺産について話し合うことが無ければ、もちろん遺言書の有無もわかりかねます。
もし遺言書が自宅のどこかに保管されているならば、遺品整理をしているときに見つかることもでしょう。実際、所存不明の遺言書の多くは自宅で見つかっているといわれています。故人の書斎や金庫の中、はたまた仏壇や神棚あたりに隠されているかもしれません。
あるいは、懇意にしていた知人に託していたり、弁護士などのいわゆる“その道のプロ”に預けている場合もあるでしょう。
もしくは、より慎重な人であれば、「公証役場」や「銀行の貸金庫」といった機関に預けているかもしれません。
「公証役場」では、遺言書の以外にも、協議離婚の際の約束事を記した書面など、証書を提出して認証してもらうことでその効力を高めることができます。公的な機関ですので、遺言書の確認の際には戸籍謄本や印鑑証明などの提出が求められます。
銀行の貸金庫を開ける場合には、公正性を保つため、相続人全員の同意や立会いが必要になることもあります。
いずれにせよ、万が一隠されていた遺言書を見つけたとしても、勝手に開封してはいけません。未開封のまま、家庭裁判所にて「検認」という手続きを経る必要があります。ただし遺言書が公正役場で作られていた場合はこの限りではありません。
また、検認で中身を確認しても、故人の押印や作成の日付が書かれていない遺言書は無効となります。
ひょっこり見つかった遺言書に“隠し子”の存在が記されていた・・・なんていうことがあったとすれば、あらためて遺産分割をするハメになりかねません。
そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、「故人は遺言書なんて書く人じゃなかったから」などと過信せず、遺産分割の話し合いの前に隠された遺言書が無いか、探してみた方がよいかもしれません。
【監修】
内山 瑛(うちやま・あきら)公認会計士・税理士・行政書士
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