今夏の全国高校野球選手権大会から、バックネット裏の約5000席を従来の「中央特別自由席」から「中央特別指定席」に変更。また、阪神甲子園球場のチケット売り場の混雑を回避するため、この席だけ完全前売りでの販売が実施された。
空席の状況次第で当日券を販売する可能性もあるというが、バックネット裏という特等席が前売りでしか手に入らなくなったことで、フリマアプリ「メルカリ」では、「中央特別指定席」などのチケットが定価以上で多く出品されている。(文:宮西瀬名)
当日販売されるにも関わらず定価の数倍で取引
メルカリで「高校野球 チケット」と検索すると、大量に転売されたチケットが表示される。ほとんどの「中央特別指定席」が定価2800円の約3倍の8000~9000円で売られている。
また、「中央特別指定席」だけでなく定価2000円の「1・3塁特別自由席」も2倍以上の4000~5000円で転売されている。「1塁特別自由席」も前売りだけでなく当日販売も実施される予定なのだが、1枚7000~8000円で落札されているものもあった。
高校野球は年々人気を高めており、今春に開催された第90回記念選抜高校野球大会では、昨年の53万2000人を上回る54万人が来場。平成になった1989年以降最多の来場数を記録した。
そして、今夏は第100回の記念大会。例年以上に注目が集まっており、節目の甲子園を一目見ようと躍起になっている高校野球ファンは多い。"転売ヤー"はその高校野球ファンの心情を読み取り、チケットを買い占め、転売行為に勤しんでいるのだろう。
8号門クラブが諸悪の根源? 批判の声多数
ただ、高校野球のチケット転売が問題になっている事態にネットユーザーは、
「8号門クラブがそもそもの元凶」
「8号門クラブを出入り禁止に出来ればそれでも良かったんだけどな」
など、転売ヤーよりも8号門クラブを攻める書き込みが多く見られた。
8号門クラブとは、高校野球の私設ファンクラブのことで、阪神甲子園球場のバックネット裏に通じる8号門入口に集うことから、そう呼ばれるようになったと言われている。
この8号門クラブは、バックネット裏の最前列の席を確保するため、連日徹夜で列に並ぶなどの問題行動を長年敢行。数年前に多くの批判が集まり一時期大きな話題になった。この事態を重く捉えた日本高等学校野球連盟は、第88回選抜高校野球からバックネット裏の最前席周辺の約100席を「ドリームシート」と名付け、少年野球の子どもたちを招待。騒動は沈静化した。
ただ、今回の「ネット上での前売り」や「指定席化」の実施には少なからず、8号門クラブの騒動が影響していたと思われる。そのため、8号門クラブに批判の声が向けられたのだろう。
子どもたちの日々の努力を、汚い大人の金儲けや「良い席で毎試合みたい」といった自己満足に利用されて良い訳がない。開幕まで残り1か月を切ったが、主催の日本高等学校野球連盟には、適切な措置を講じて節目の大会を迎えてほしい。