MotoGPドイツGPで13周にわたりトップをキープしていたのが、ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)だ。しかしロレンソはその座を守ることができず、優勝はおろか表彰台からも滑り落ちた。
1列目3番グリッドからスタートし、ロレンソは序盤から首位を奪った。得意のスタートで好ダッシュを決め、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)とダニロ・ペトルッチ(アルマ・プラマック・レーシング)を交わして1コーナーに飛び込む。そのまま序盤から中盤にかけてトップをキープしたが、ヤマハ時代に見られたような、後続をそのまま引き離しての独走態勢を築くことができないのが今のロレンソでもある。
スタートから数周後、ロレンソの背後にはぴたりとマルケスがつけていた。マルケスは「レース後半が勝負の鍵」と語っており、タイヤを温存しながら走っていた。一方のロレンソはリヤタイヤのグリップに苦しんでいたという。
「すばらしいスタートを切れて、レースをリードできた。けれど、最初から路面のブリップがよくないと気が付いていたんだ。後方のライダーたちを振り払うことができないとわかっていた。リヤタイヤがグリップを失ってしまうと、ペースを維持することが難しくなった」
リヤタイヤのグリップ低下についてはロレンソだけではなくチームメイトのアンドレア・ドヴィツィオーゾも同様で、「リヤタイヤのグリップが落ちてしまってからはスムーズにライディングができなかった」とコメントしている。
どちらも選んだのはミディアムタイヤ。ライディングスタイルに違いがあるため一概には言えないが、同様の理由でふたりともが表彰台を逃した。そのままずるずると順位を下げたロレンソは、6位でチェッカーを受けている。
「おそらく、バイクのセッティングの方向が悪かったのだと思う。フロントタイヤのグリップを得ることに焦点を当ててしまい、リヤについてあまり考えていなかった。結果、表彰台争いをすることができなくなってしまったんだ」
失敗を素直に認めるロレンソ。シーズン3勝目は後半戦におあずけとなった。