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MotoGP:難攻不落のマルケス、ドイツGPで通算9勝目。「難しい状況に向け準備をした」

2018年07月18日 16:32  AUTOSPORT web

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ドイツGP通算9勝目を挙げたマルケス
MotoGP第9戦ドイツGPで、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がポール・トゥ・ウインを飾った。ザクセンリンクで通算9勝目。完ぺきな形でシーズンの折り返しを迎えた。

 予選Q2で、マルケスは変則的な戦略を見せた。15分間で争われるQ2は、1回目のアタックを終えてピットインしタイヤを交換。再びセカンドアタックを行うのが常となっている。しかし、ドイツGPの予選Q2でマルケスが採った戦略は違った。

 マルケスは新品タイヤを3セット残してQ2に挑み、最初のピットストップではTカーでコースに復帰。残り5分を切って再びピットインすると、フロントをミディアムからハードタイヤに換えて最後のアタックを行い、リーダーボードのトップに浮上。そのままポールポジションを獲得した。このときマルケスがマークしたタイムは、自身が2015年に記録したサーキットベストラップを更新するものでもあった。

 迎えた決勝は、ウイークをとおして最も高い気温27度、路面温度48度。マルケスは決勝でも勝利のための戦略を練っていた。

「明日の決勝レースは、30周のなかで前半と後半でふたつのレースがあると思っている。前半は速いライダーが多いと思うけれど、タイヤのパフォーマンスが落ちる後半が勝負の鍵を握るだろう」

 予選後にそう語っていたマルケスはレース後半の勝負に向け、フリー走行ではロングランを行い、コンスタントにタイムを刻むことを重視していた。

 そして迎えた決勝レース、序盤で3番手にポジションを落としたマルケスは、5周目にダニロ・ペトルッチ(アルマ・プラマック・レーシング)、13周目最終コーナーでトップのホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)をパスしてレースをリードする。

「タイヤのグリップ低下は9周目と、残り7周から5周の間にあった。難しい状況をマネジメントする準備をしてきたけれど、僕のスタートは完ぺきではなかったから、序盤は苦労したよ。ロレンソだけではなく、ペトルッチにも抜かれてしまった。ふたつポジションを落としてしまったから、それを回復するのは簡単ではなかった」

「彼らを抜いたとき、僕はギャップをつくるべくプッシュし始めたけれど、それは『クレイジー』のものではなかった。タイヤを最後までもたせるためにね」

 マルケスは、後方との差をつくろうとしていた間も、努めて冷静であったという。レースの後半には、ロレンソを交わしたロッシが2番手に浮上。一時はその差は1秒未満になった。それでもマルケスは冷静だった。

「サインボードを見て、バレンティーノが僕のコンマ6秒後方にいるとわかった。だから、2、3周の間に再びプッシュして、タイヤを使わなければならなかった。それで再びギャップを築くことができたんだ」

 マルケスはその後、一度もレースリーダーの座を譲ることなくトップでチェッカー。ザクセンリンクでマルケスが刻んだ勝利数は、125ccクラス、Moto2クラス、MotoGPクラスを通じて、9つとなった。

 勝利を飾ったマルケスは、この週末に2018年シーズン限りでの引退を表明したチームメイト、ダニ・ペドロサのキャップをファンの前に掲げて敬意を表した。「この週末の主人公はダニだと思うから」と厳しいレースのあとに見せた気遣いには余裕すら感じられる、と言ったら大げさだろうか。

 マルケスはこれで、今季5勝目を挙げた。チャンピオンシップでも2番手のロッシに46点差。後半戦に向け、いい流れを築いてシーズン前半戦を締めくくった。マルケスが飾ったドイツGPでの勝利は、その強さをさらに色濃く印象付けるものだった。