キャリコネニュースでは7月13日に掲載した記事で、ネット上で広がっている「LINEのトークルームの内容が運営会社に筒抜けになっている」「勝手に個人情報を盗み見される」といった噂が誤解であると伝えた。
ユーザー同士のトークでは、送受信するスタンプの種類、メッセージの送信時間や既読状況、送受信されたデータ形式の取得は行われるが、テキストの内容は取得されない。反面、企業公式アカウントとの会話については、内容も含めて取得されるというのが、LINE社の発表している情報だ。
しかしネットには、未だに誤解したままの人や、誤った情報を拡散している人も散見される。この件に関して、改めてLINE広報担当者に取材した。
「スタンプはそれぞれに紐づく識別子がある。テキストの判別と仕様が異なる」
使用したスタンプや絵文字が分かるなら、テキストの内容も容易に確認できるのではないかと疑う人がいる。担当者によると、スタンプや絵文字の利用状況は、「それぞれに紐づく識別子をもとに判別を行っており、メッセージテキストや画像・動画の内容の判別とは仕様が異なる」と説明する。
また、今年1月のアップデート時、情報提供に関する項目は初期設定でオンになっており、利用者に同意なく情報を収集できる状態だった、という趣旨の噂も多く見られる。これについては、「初期設定でONになっていること、また同意なしにオンになることはございません」と否定する。
「情報提供に関する機能は、1月に提供開始したver8.0以降でアップデートもしくは新規登録時にポップアップ画面を表示し、ご説明およびその同意(オン・オフ選択)を頂いております」
アップデート時に気づかなかった人が、今回の騒ぎでその機能に気づき、知らぬ間にオンになっていたと勘違いしたものだと思われる。
情報同意に関するアップデートは日本でのみ行われ、裏があるのではないかと言う声も出ていたが、これも誤りだ。
「今年7月2日からタイ・台湾・インドネシアでも同様の同意取得を開始しています。今後順次対象地域を拡大する可能性があります」
著名人が噂の拡散を手助けしてしまった例も
そもそも、「トークルーム内の会話を勝手に取得している」という噂が広まったきっかけは、あるツイッターユーザーがこの噂と一緒に、「LINEのトークルーム内で話した内容に関する広告がインスタグラムで出てきた」と呟いたことだ。これをきっかけに、注意喚起を促す呼びかけや、情報提供に関する項目の設定変更方法などが各種SNSで投稿され、噂が広まっていった。
担当者曰く、「トークに送信した内容に基づく外部サービス上での広告表示は、LINEの仕様として存在しない」ため、この現象は同社の機能と無関係だろうと見る。
「当社としては推測となりますが、このような事象が発生したとした場合、偶然又はユーザーの他社のインターネットサービスにおける検索・クリック等によるターゲティング広告等と考えられます」
また、ジャーナリストの山路徹さんが7月13日、ツイッターで
「ライン怖いな、知らなかった。今年行われたアップデートにより、LINE会話の内容をLINE社が自由に利用することに合意する項目が追加され、初期設定がオンになっています。『設定』画面の中の『プライバシー管理』を開き『トークルーム情報』を『オフ』に!」
と呟いたことも、誤解が広まった一因だろう。このツイートは4万件以上リツイートされている。ネットではこれを受け、
「こういう影響力がある人が間違った認識で広めていっちゃうんだよね~SNSの怖さ」
と、呟く人もいた。