2018年07月17日 10:22 弁護士ドットコム
小さな子どものいる平凡な3人家族。その平穏な暮らしを一変させたのは、夫の秘密を記した戸籍謄本でした。そこには2度の離婚歴と3人の子どもの存在が記載されていたからです。ショックを受け、別居を決めた女性が、弁護士ドットコムの法律Q&Aに質問を寄せました。
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相談者によれば、夫は結婚から数年間、この事実をひた隠しにしていました。発覚後、話し合いをしましたが決裂。相談者は、別居を決めます。
ところが、夫からは脅迫するかのような電話がかかるようになったのです。たとえば「お前ら一家全員地獄を見せてやる! 今から家に押しかけてドアをドンドンしてやる!」「地元を歩けなくしてやる!」「職場に押しかけてやるから場所を言え!」などと激しいもので、女性は恐怖を感じ、離婚を急ぎたいと考えています。
結婚前に離婚歴、子どもの存在という重大な事実について教えてもらえなかった。このような理由で、離婚は認められるのでしょうか。五十嵐里絵弁護士に聞きました。
「夫が婚姻前の離婚歴や子どもの存在を告げていなかったという事実は、不貞行為があった場合のように、その事実だけで直ちに離婚原因が認められるものではありません。
そのため、この事実も含めて夫婦関係に関するすべての事情を考慮して、『婚姻を継続しがたい重大な事由』(民法770条1項5号)が認められるか否かが、離婚の成否を決めることになります。
ただ、過去の出来事が現在の夫婦関係を直ちに破壊するとは一概には言えません。事実が発覚しただけでは離婚が認められる可能性は低いと思います」
別居後の夫の言動には、法的な問題はないのでしょうか。
「相談にあるような夫の発言は、脅迫罪や強要罪など刑事上も問題にもなりかねないものですし、ストーカー規制法やDV防止法などによる対応を検討する必要もあるレベルに達していると思います。
また、夫の発言は、1回ではなく、複数回にわたって繰り返されていると思われますので、もはや婚姻関係は破綻しているものとして離婚が認められる可能性がきわめて高いものと思われます。
裁判では、事実の発覚から現在までの経緯の客観的資料(メールやLINE、通話の録音データ等)を確実に残し、夫婦関係が破綻に至っていることを具体的に立証できるようにしましょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
五十嵐 里絵(いがらし・りえ)弁護士
新聞社に記者として勤務した後、法科大学院に進学、弁護士に。離婚・男女問題、遺産相続、企業法務を取り扱う。
事務所名:辻山・五十嵐法律事務所
事務所URL:http://www.tyig-law.jp