2020年中頃の初号機納入に向け、テスト飛行が進められている三菱航空機製のジェット旅客機MRJ90が7月16日午後、英ロンドン郊外のファンボローエアショー(ファーンバラエアショー)で初の展示飛行を行った。同型機は2017年夏に開かれたパリエアショー会場で展示されたが、観覧者の前でデモ飛行するのは今回が初めてとなる。
ショーに参加している機体は、昨年のパリエアショーでお披露目となったローンチカスタマーの全日本空輸(ANA)の塗装のある試験飛行3号機。会場ではこの日午後から各社の新鋭機が次々とデモ飛行を行う中、MRJは予定より約10分遅れの午後2時半過ぎ、ファンボロー空港を飛び立ち、急上昇や周回飛行を繰り返し、約8分間のデモを無事終了した。
飛行展示の直後に行われた日系メディア向けの記者会見で、三菱重工業の宮永俊一取締役社長兼最高経営責任者(CEO)は「2020年にANAへの納入に向けて、今日のデモ飛行の成功は象徴的な出来事。MRJシリーズが、リージョナルジェット市場に変革を与える存在となるだろう」と期待感を示した上で「MRJ90はこの数十年で最新の技術を集めて作られた機体だ。ボーイングとエンブラエル、また、エアバスとボンバルディアがそれぞれ手を結んだが、これらの他社機は我々の機体よりも大きい100席以上の座席数を持つ。100席以下、特に70席以下の機体を作り上げることに集中することによって、他社と差別化しシェアを確保したい」と語った。
一方、来賓としてデモ飛行を見守ったANAの伊東裕取締役常務執行役員は、「MRJが目標の納期に納められることを楽しみにしている」とした上で、「引き続きローンチカスタマーとして、同型機の開発をサポートしたい」と述べた。
MRJは先に、機体のカスタマーサービス事業でボーイングと提携を結んだ。一方で、同社はリージョナルジェットの納入機数で世界トップのエンブラエルを傘下に置くこととなったが、これについて宮永社長は、「三菱重工はボーイングに対し、過去十年以上にわたってサプライヤーとして部品を納入している。また顧客サービスについても継続して引き受けるとボーイングがコミットメントをもらっている。このような強固な関係があり、われわれは引き続き友好関係が保てる」と自信を示している。