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「タンポン税」生理用品の非課税化、世界で広まる 一方、日本の軽減税率は…

2018年07月14日 09:32  弁護士ドットコム

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オーストラリアで、タンポンなどの生理用品に課税される10%の消費税を廃止するための法案が6月18日に上院を通過したことが海外メディアに報じられた。生理用品を非課税にするべきだという声はかねてから強く、嘆願書には約10万件をこえる署名が集まったという。


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ものやサービスを買うときにかかる消費税。日本では一律8%の消費税が課されているが、欧米の消費税事情はすこし異なる。オーストラリアでは、消費税にあたる税金はGST(Goods and Services Tax)とよばれ、税率は10%。ただし、このGSTは一律に課されるのではなく、多くの生活必需品や食品などが非課税になっているのだ。


オーストラリアでは、生理用品は生活必需品として認められていなかった。報道によると、オーストラリアの女性は毎年3億ドルを生理用タンポンに消費しており、税金も巨額になるという。


一方で、コンドームやニコチンパッチなどは非課税になっている。そこで、女性にとって必需品である生理用品も非課税にするべきという声が高まっていた。


●欧米の「タンポン税」廃止する州も

「タンポン税」の廃止を訴える声はオーストラリアだけではなく、世界的に広まっている。アメリカのニューヨーク州では、女性に対する不当な差別であるとして「タンポン税」廃止を求める女性たちが訴訟を提起したこともある。


ニューヨーク州をはじめ、アメリカではミネソタ州、イリノイ州、ペンシルバニア州、マサチューセッツ州、メリーランド州、ニュージャージー州、コネチカット州、フロリダ州の9つの州で「タンポン税」が廃止された。


アメリカだけではない。カナダでも「タンポン税」が廃止されている。このほか、欧州連合では税率が軽減されたが、完全撤廃を求める声が強くあがっている。今後も欧米では「タンポン税」の廃止に向けた動きが予想される。


●日本における軽減税率の対象品目は、「飲食料品」と「新聞」

日本では、生理用品は300円前後で購入することができる。しかし、生理が重い場合は昼用以外に夜用の生理用品を購入することもあれば、体調不良を緩和させるための医薬品を買うこともある。ピルを使う場合は月に大体2000円程度かかる。総合して考えると、女性が生理のために使うコストは少なくないが、現状で軽減策があるわけではない。


さらに、日本でも、来年10月の消費税10%引き上げに伴い、消費税の軽減税率(8%)が導入される。ただし、対象となる品目は、酒類・外食を除く飲食料品と週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)の2種類で、国税庁の資料でも、医薬品、医薬部外品等は対象外であることが明記されており、生理用品だからといって、特別な扱いになるわけではない。


各国の社会事情が異なるということもあるが、どのようなものについて、税負担の軽減を図るべきかを考えるうえで、海外の動向に注目してみるのもいいだろう。


(弁護士ドットコムニュース)