博報堂生活総合研究所は7月2日、「家族30年変化」の調査結果を発表した。この調査は、1988年から10年おきに行なわれ、今回で4回目。今年2月上旬から3月半ばにかけて、首都圏在住の、20~59歳の妻とサラリーマンの夫が同居する世帯を対象に実施し、630世帯1260人から回答を得た。
「夫も家事を分担する方がいいと思う」と答える人は、1988年時点では夫38%、妻60.4%だったが、2018年は夫81.7%、妻85.1%と、夫婦ともに上昇している。
また「夫も育児を分担する方がいいと思う」の回答率も、1988年時点では夫45.8%、妻67.6%だったが、今回は夫88.9%、妻94.%だった。夫の4人に1人にあたる25.1%が「仕事を減らしてでも家事・育児に関わりたい」とも答えており、男性の家事・育児意識が30年前と大きく変わっていることが判明した。
それでも夫が積極的に行っている家事は「ゴミ出し」のみ
とはいえ、夫の家事・育児の分担意識はこの30年で大きく変化したものの、実際の負担は妻に偏っている。日常生活の事柄で、夫、妻は普段どの程度参加しているかを項目別に聞くと、「食事のしたく」(妻97.1%、夫13.7%)、「食後の後片付け」(妻94.3%、夫19.8%)、「洗濯」(妻95.4%、夫11.1%)という結果だった。夫の参加率が比較的高い家事は「ゴミ出し」(妻68.3%、夫35.1%)のみだった。
夫婦の役割分担の理想は、夫婦共に「平等に分担」(夫20.2%、妻23.8%)、「その時にできる方がやる」(夫52.7%、妻64.8%)が多いものの、現実には「妻は家庭内の役割を、夫は家庭外の役割を担う」(夫69.7%、妻71.4%)という状態。理想と現実には大きなギャップがある。これらの影響か、「現状に満足している」人の割合は、夫が80.2%に対して妻が68.3%と、妻の方が低くなっている。
妻の3割「やりたい仕事を断念」しわ寄せは依然として大きく
冒頭でも紹介した通り、「外の仕事を減らしても、もっと家事や育児をやりたい」と答えた夫は25.1%だが、妻は19.8%と低い。むしろ、「家事や育児の負担を減らして、もっと外の仕事をやりたい」という質問に、17.5%の妻が肯定的な態度を示している。
「仕事と育児の両立のために、自分はやりたい仕事を断念しているところがある」という質問でも、夫が21.3%に対して妻が32.4%だった。