日本は現在、技術大国と呼ばれていた時代は遠くなり、様々な産業でアジア諸国に追い越されている。IT産業においてもこの傾向は同様だが、未だに過去のイメージを引きずっている人も少なくない。
7月10日に放送された『バラいろダンディ』(TOKYO MX系)では、勝間和代さんが、IT技術の面で日本が世界に取り残されつつある現状を語った。以前は7割近かったパソコンの普及率が6割に減少したことや、ITリテラシーの低さを挙げ、
「フィンテックと言われているような、金融技術とITを統合したものなんかも一部でしか行われていません。とにかく全体的に後進国なんですよ」
と、危機的状況にあると訴えた。(文:石川祐介)
中国の深セン市はIT企業振興に力を入れ、30年で人口が約5倍に
日本とは裏腹にIT化を着々と遂げている先進都市として、勝間さんは「アジアのシリコンバレー」と呼ばれる中国・広東省の深セン市を挙げる。
「1980年に中国初の経済特区に指定され、外国企業がバンバン入ってきたのと同時に、IT企業が振興していまして。元々、30万人ほどの漁村プラスアルファくらいだった都市の人口が、ここ30年で1400万人にまで増加したんです」
世界から若い優秀な人材が多く集まったことで、人口の65%が20~30代の若者だという。港町だった利点を活かし、IT製品をすぐに海外に配送できる立地の良さや、
「元々、なんのインフラもなかった所なんで、『電気自動車作りましょう』とか『シェア自転車やりましょう』っていうのに反対派がいないんです」
と、新しいことにフットワーク軽くトライできる柔軟さなどが、深センがここまで成長できた理由を語った。
現金がなくなれば「経理が簡単になる。店員の着服も強盗もなくなる」
深セン市が最も優れている点として勝間さんは、レストランやタクシー、屋台などあらゆる支払いがQRコード決済で行える「キャッシュレス社会」だと指摘する。
「経理がめちゃめちゃ簡単になって、人件費が不要になる。あと、意外なメリットだと思うんですけど、店員さんの着服も強盗もなくなって治安上も安全なんです」
「客のほうも財布を持ち歩かなくていいですし、割り勘も楽になる。割り勘アプリはいくらでもありますから」
日本でキャッシュレス化を普及させ、深セン市のようなIT先進都市に発展させるためには、高額紙幣をなくすことが必要だと主張。1万円札や5千円札がなくなれば、千円札を大量に持たなくてはいけなくなり、財布にあふれる千円札に煩わしさを感じ、キャッシュレス化が進むのではと意見を述べた。