2018年07月12日 13:12 リアルサウンド
『欅坂46 夏の全国アリーナツアー2018』や、8月15日に7thシングルを発売するなど、夏に向けて新たな動きを見せる欅坂46。そんな中、6thシングル『ガラスを割れ!』のリリース以降グループ活動から距離を置いていた平手友梨奈が、7月7日の七夕に放送された『THE MUSIC DAY 伝えたい歌』(日本テレビ系)で欅坂のステージに電撃復帰し、メンバーやファンとの再会を果たした。それは一夜限りの夢物語ではなく、翌日に横浜アリーナで行われた『JUMP MUSIC FESTA』にもセンターとして堂々と登場。全7曲の圧倒的なパフォーマンスを披露し、会場は感動の声一色に。まさに王の帰還という言葉がふさわしい彼女の姿からは、夏に向けての完全復活を予感させた。
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7月7日は、長濱ねるが、けやき坂46出演のライブイベント『LIVE MONSTER LIVE 2018』で一夜限りの再会を果たすことに注目が集まり、漢字欅が登場する『THE MUSIC DAY』に関しては、何を歌って誰がセンターを務めるのか? というレベルの期待感だったように思う。ただこの日、漢字欅の「ガラスを割れ!」のMVがApple MusicのCMに起用されるというサプライズがあり、4カ月前に発売されたこの曲がなぜ今なのか? という疑問が生まれると同時に、離脱中の平手がメインのMVをあえて今CM起用するからには、何かの準備が整ったのではないかという予感が頭をよぎった。その前触れがあっての今回の復活である。
平手が昨年末の『NHK紅白歌合戦』で負傷したことにより、今年予定していた漢字欅の武道館公演は中止となった。また今年に入ってから「ガラスを割れ!」のMVとCM以外では欅坂でのパフォーマンスを見せていない平手は、2周年記念ライブの欠席もあり、グループから距離を置いていた印象だ。しかし、そんな中でも『SCHOOL OF LOCK! 平手友梨奈のGIRLS LOCKS!』(TOKYO FM)では明るい声をリスナーに届け続けていた平手。また映画『響 -HIBIKI-』での初主演も決定するなど、グループを超えて、ひとりでの活躍の場を広げてきた。それにより平手は、様々な世界のクリエイターたちと出会い、大きな発見や刺激を得てきたことだろう。自ずと意識の変化もあったのではないだろうか。久しぶりに『THE MUSIC DAY 伝えたい歌』で欅坂としてパフォーマンスする平手の姿を目にして、また表舞台で見られるという安堵感と共に、彼女が欅坂をひとつ先の世界に誘ってくれるのではないかという期待が芽生えた。
一方で、平手不在という非常事態の間、奮起せざるを得えなくなったのがそれ以外のメンバーだ。欅坂はデビューした年にいきなり紅白に出演するなど、ほかのアイドルに比べて修行期間が少なくスターダムにのし上がった。ひらがなけやきも、漢字欅のアンダー的ポジションで、漢字欅を追い続け、自分たちだけで全国ツアーを周るという修行を積んだからこそ今日のブレイクがある。それを思うと、この平手がいない状況というのは、キャプテン翼のいない南葛中みたいなもので、3年目を前にして、後からやって来た修行期間だったのではないだろうか。平手のいない欅坂を守り抜き、2周年記念ライブという高い壁を乗り越えたメンバーが口を揃えて言うのは、ひとりでセンターを務めてきた平手の重圧は相当なものだったことが分かったということ。平手に頼っていたことを反省するも、改めて必要性を感じる結果になった。
センターの証である赤のMA-1が平手の元に戻り、テレビ番組初となる平手センターの「ガラスを割れ!」は、圧倒的なパフォーマンスでとにかくかっこ良かった。しかし、これは決して平手だけが良かったわけではなく、小林由依、鈴本美愉、菅井友香といったほかのメンバーのダンスも以前にも増して迫力があり、彼女たちが平手を支えたことでグループが締まったように感じられる。外の世界で経験を積んだ平手と、平手の気持ちを理解し、内部を充実させたメンバーたち。意地とプライドからなる各々の成長があったからこそ、グループとしてより一層磨きがかかった。ただそれは平手が中心にいることで成り立つ部分もある。
急成長を遂げたひらがなけやき、平手が戻ってきた漢字欅、今後の両グループの動きは実に興味深い。新メンバーオーディションがあることから、今夏のリリースやライブが現メンバーでの最後の活動になることが予想される。だからこそ、平手の復活は単にパフォーマンスの向上だけでなく、欅坂の物語として必要不可欠だったのは言うまでもない。日々秋元康にアイデアを提案し続けているという平手からこの夏何が生まれるのだろうか、とても楽しみだ。
そして、7月15日放送の『欅って、書けない?』(テレビ東京)予告映像でも久々に平手の姿を確認することができた。最近の漢字欅はバラエティで一皮剥けた面白さを発揮しているが、平手はそこでどんな輝きを見せてくれるのだろうか。(文=本 手)