メルセデスF1のトップを務めるトト・ウォルフは、2018年シーズンにおけるチーム最大の弱点は、レーススタート時のパフォーマンス不足にあると考えている。
F1イギリスGP決勝で、ポールポジションのルイス・ハミルトンはスタート直後に首位を奪われ、さらにキミ・ライコネンの追突を受けてスピンしてしまった。
ウォルフは、「シルバーストンで起きたようなインシデントを避けるためには、レーススタート時のパフォーマンスを上げる必要がある。何を改善できるのか、そして設計のどの部分が変更可能なのかを把握しなければならない」と語った。
チーフレースエンジニアのアンドリュー・ショブリンは、メルセデスのレースレポート動画で「今週、我々はそうしたことを把握するべく全力で作業を行っている」と説明する。
「ポールポジションを獲ったならば、スタートで集団やフェラーリ勢から抜け出さなければならないということは十分に理解しており、まさにそれを次のホッケンハイムでやろうとしている」
イギリスGP決勝では何がうまくいかなかったのかという点についてショブリンは、「シンプルな答えとしては、若干のホイールスピンが起きてしまったということだ。我々が想定していたよりもグリッド上でのグリップが弱かった」と語った。
「我々はスタートの練習もしてきた。シルバーストンではグリッドからのスタート練習も実際に行うことができる。ただ、日曜日の決勝ではどういう理由だかわからないが、想定していたグリップが得られなかった。そして、ホイールスピンした瞬間にトラクションを失い、彼はあっという間に順位を落としてしまった」
またチームは、オーストリアGPにおいて、バーチャルセーフティカーの際にハミルトンをピットインさせなかったことで激しい批判を浴びた。この判断によって優勝のチャンスを逃がしたハミルトンに対して、チーフストラテジストのジェイムズ・ボウルズは無線を通じて謝罪している。
そしてチームは前戦のイギリスGPでも、セーフティカー導入中にハミルトンとバルテリ・ボッタスをステイアウトさせる戦略を採り、その判断が再び批判を受けた。レース再開後、ボッタスはリードを失って4位に沈んだが、ハミルトンはセバスチャン・ベッテルに食い下がって2位でレースを終えた。
だがウォルフは、このときのチーム判断については再び謝罪することはせず、以下のように擁護した。
「このときの戦略は非常に良いものだったと考えている。コース上の位置取りを優先させることに決めたのだ。私の見るところ、これは正しい判断だった。私の意見だが、こうしなければ優勝する可能性も作れなかっただろう。これで良かった」
「まったく正しい決断をしたと思う。残りが15か16周で、ミディアムタイヤは最後までもつと分かっていた。優位なポジションを取るというのは面白い戦略だと考えられ、それが決断につながった」
「ピットインさせることもさせないことも、どちらも戦略としては有効だろう。ただ、我々としては(フェラーリとは)逆のことを行なうという選択をした。そしてその結果、2位と4位を得たということだ」
「今回のレースがどのようにスタートしたかを考えれば、小さなダメージで済んだ今回の結果を我々は受け入れる必要がある」
「我々はアグレッシブでありたい。もちろん、もっとアグレッシブなチームもいる。だが、我々にとってのレースとは正々堂々と行なうことであり、最高のマシンを持つことだ」
「それが我々の強みであり、さらに改善できるところはしていく、ということなのだ」