2018年07月11日 19:32 弁護士ドットコム
「長期の家賃保証があり、スルガ銀行もしっかりチェックしているので安心です」
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こうした言葉を巧みに使って会社員らにアパート投資をさせ、一方的に家賃保証の約束(サブリース契約)を破る詐欺的行為をしたとして、不動産業者「ガヤルド」(東京・千代田)に対して損害賠償を求める訴えが7月中にも提起される。
7月11日、代理人の足立格弁護士、池田大介弁護士が東京・霞が関の司法記者クラブで会見し明らかにした。訴訟の原告はまず5人となる見通し。被害者の相談を受け付け、状況を見ながら訴訟を拡大する。スルガ銀行に対する責任追及もしていく方針。(電話相談は村田・若槻法律事務所の足立弁護士03ー3263ー0480まで)
足立弁護士によると、被害者は20代ー40代の会社員が中心。ガヤルドがまとめていた顧客データによると、被害者の総数は少なくとも50人以上とみられる。1人あたりの被害額は土地と建物をあわせて約1億3000万円程度で、単純計算で被害総額は50億円超になる見込みだ。
シェアハウス投資で問題になっている「スルガ銀行・スマートデイズ」のスキームと似ており、融資に際して多額の口座残高があるように勝手に書類が改ざんされるなどの不正が確認されているという。融資を実行したのは、スルガ銀行川崎支店などとされる。
原告として名を連ねる5人の場合、いずれも建物が完成しないまま2017年7月、一方的にサブリース契約の解約通知が届いた。建物が完成しないのに巨額の借金は残る形で、返済に苦しむ状況が続いている。
一方、ガヤルドは通知から約1カ月後の8月、宅建業の廃業届を当局に提出した。以降、営業を停止している状況で、関係者の足取りがつかめない「夜逃げ状態」だという。足立弁護士は「破綻ありきで、巨額被害の重大な詐欺事案だ」と指摘する。
会見には、別にスマートデイズ役員らに対する損害賠償の訴えを提起している加藤博太郎弁護士も参加した。加藤弁護士は「会社の名前が違っても、後ろでつながっていることがある。そういった意味で連携を密にしていきたい」と話した。
(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama
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