モンスターエナジーNASCARカップは7月7日、フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで第18戦が行われ、多重クラッシュ“ビッグ・ワン”が多発する大混戦を走り抜いた22歳のエリック・ジョーンズ(トヨタ・カムリ)が自身初のカップシリーズ優勝を手にした。
シリーズ開幕戦にして最大のイベントであるデイトナ500の舞台、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで2度目の開催となったNASCAR。今回は開幕戦とは異なり400マイル(約640km)の土曜ナイトレースとして行われた。
1周2.5マイル(約4km)のデイトナはエンジンへの吸気量を制限するリストリクタープレートの装着が義務付けられており、最高出力が制限される。
そのため、各ドライバーにはドラフティングを使った走りが求められ、必然的に接近状態での隊列走行が行われることから、わずかな接触が多重クラッシュを生み出しやすい1戦だ。
決勝レースは40周目、80周目、160周目までの3ステージ制で争われ、チェイス・エリオット(シボレー・カマロZL1)を先頭にレースはスタート。ステージ1では大きな混乱はなく、予選6番手からスタートしたリッキー・ステンハウスJr.(フォード・フュージョン)がトップチェッカーを受けた。
続くステージ2では序盤の54周目にステンハウスJr.に接触されたブラッド・ケゼロウスキー(フォード・フュージョン)のスピンに端を発するビッグ・ワンが発生。計27台もの車両が巻き込まれてしまう。
レースは63周目に再開されたが、リスタートから3周後、2番手争いをしていたカイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)がステンハウスJr.に左リヤをわずかに押さえれてバランスを崩してウォールにヒット。これに後続車が巻き込まれ、2度目のビッグ・ワンが発生した。
なお、このビッグ・ワンにジョーンズも巻き込まれマシンにダメージを負ったが、ピットでの修復作業もあり、周回遅れながら戦列に復帰している。
ステージ2は残り10周で再開となり、トップに浮上したステンハウスJr.が逃げ切り、ここでもトップチェッカーを受けた。
迎えた最終ステージ3は、125周目のターン3~4でカイル・ラーソン(シボレー・カマロZL1)が右リヤのパンクからスピン。イン側にいたステンハウスJr.を巻き込むクラッシュを起こしてしまう。
これでイエローコーションが出され、周回遅れ集団のトップを走っていたジョーンズは、NASCAR独自の救済措置『ラッキー・ドッグ』によってトップと同一周回に復帰した。
レースは残り5周となった155周目に3台が絡むクラッシュがあり延長戦のオーバータイムに。しかし、そのリスタート直後に今度は9台が絡むビッグ・ワンがあり、さらに延長された。
2度目のオーバータイムリスタート、先頭にはマーティン・トゥルーエクスJr.(トヨタ・カムリ)とジョーンズのトヨタ勢がつけて再開。
アウト側を走っていたジョーンズはリスタート直後にポジションを落としてしまうが、ファイナルラップ直前にアウトからトゥルーエクスJr.のオーバーテイクに成功すると、そのまま逃げ切り、0.125秒差で優勝。40台中チェッカーを受けたのは20台、トップと同一周回は13台のみという大混戦を制した。
2017年に21歳でカップシリーズに昇格したジョーンズは参戦2年目でカップシリーズ初優勝。またトヨタ勢はこれで3連勝を記録している。
レース後、グランドスタンドのファンに対し「今日のレースは楽しめたかな?」とジョーンズ。
「今日、僕はカップシリーズ初優勝、デイトナ初優勝、スーパースピードウェイ初優勝を達成した。なんて最高な日だ!」
「(喜びのあまり)チェッカー後にバーンアウトしすぎて息ができなくなったけど、とにかく最高の気分だよ」
2位はトゥルーエクスJr.が獲得、3位はAJ.アルメンディンガー(シボレー・カマロZL1)が獲得している。
モンスターエナジーNASCARカップ第19戦は7月14日、ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで行われる。