西日本で多くの死者を出した平成30年7月豪雨に関連し、消費者庁は7月9日、災害に便乗した詐欺やトラブルに気をつけるよう注意喚起した。
「この度の豪雨に限らず、大規模災害が発生すると、点検商法、便乗商法など、災害に関連した消費者トラブルが発生する傾向にあります。また、過去には、義援金詐欺の事例も報告されていますので、義援金は、確かな団体を通して送るようにしてください。振込口座がその確かな団体の正規のものであることも確認してください」
「大手新聞社に似た名称を名乗り、寄付集めに訪問してよいか電話があった」
国民生活センターが2011年に発行し、2016年に更新したリーフレットには、過去の義援金詐欺の事例が載っている。例えば、町内会の世話役の名前を出しながら義援金を要求し、「Aさんは10万円、Bさんは100万円出した」などと言ってなかなか帰ってくれない不審者や、
「女性の二人組が、バス停で並んでいる人達に対し順に紙 の箱を差し出して被災者支援 のお金を集めていた。こそこそとした態度であやしかった」(60歳代 女性)
「大手新聞社に似た名称を名乗り、震災の寄付集めに訪問してよいかと電話があった。信用できるか分からないので断ったが不審だ」(80歳代 女性)
などの事例が報告されている。
国民生活センターによると、自然災害を口実・きっかけとして勧誘を受けたという相談事例もあるという。屋根や外壁、ベランダなど、住宅周りのトラブルが最も多く、自宅を訪問してきた業者に強引に契約を迫られたり、「このままでは雨漏りする」などと不安を煽られて契約してしまう事例が後を絶たない。
「被災者のために高齢者施設の入居権を譲って」親切心に付け入る不審な勧誘も
このほか、「被災者のために高齢者施設への入居権を譲ってくれれば、高く買い取る」など、親切心につけこむような話もある。「自然災害のときに役立つ」などと言い、「ソーラーシステムへの投資やヘリコプターなどへの投資」をすすめる事例もあるという。
2015年5月には、東京都の女性から、
「公的機関を名乗って電話があった。(中略)『あなたは震災が起こったときの避難所として国に選ばれ登録されている』と言われた。自宅を避難所にされるのは困ると思い、取り消してほしいと伝えた。しかし、代わりの人を登録しないと取り消せないと言われ、電話の相手が代わりの人を探すことになった。その後、『代わりの人が見つかり、その人から防災関連機器を購入することになった』と連絡が入った。話が不審だ」
という相談が寄せられた。被災地やその周辺だけでなく、全国各地で警戒が必要のようだ。消費者庁は、
「被災地に限らず、不審な訪問や電話を受けた場合は、明確に断るとともに、『消費者ホットライン(局番なしの188)』を活用し、お近くの消費生活センター等へご相談ください」
と呼びかけている。