総務省は7月上旬、2018年度版の情報通信白書を公開した。利用しているSNSのうち、「自ら情報発信や発言を積極的に行っている」と答えた割合が最も高いのはLINE(17%)だった。特に、配偶者や子ども、親戚といった家族のコミュニケーションに用いている人が多く、身近な人との繋がりを補完するツールとして使われている実態が浮き彫りになった。
2位がツイッター(7.7%)で、3位フェイスブック(5.3%)、4位インスタグラム(3.9%)と続く。国内のSNS利用者は、自分からはほとんど情報発信や発言をせず、他人の書き込みや発言の閲覧を主とする「ROM専」の人が多いと分かった。
SNSで「新しい友だちができた」という人は一部のみ
こうした特徴は、海外と比較すると顕著だ。白書ではそれぞれのSNSについて、70代を除く日本の調査対象者と、アメリカ、ドイツ、イギリスとの利用状況を比較した。
国内利用率が最も高かったLINEは、「自ら情報発信や発言を積極的に行っている」人の割合も、4か国中で最も高かった。一方、ツイッターを積極的に使う国内ユーザーは9%なのに対し、アメリカでは16.3%、イギリスでは15.7%だった。インスタグラムも、積極的に活用するユーザーは4.6%の反面、アメリカは21%、イギリスは15.8%、ドイツは10.2%もいる。
SNSの利用で感じたメリットについては、国内ユーザーで「新しい友人ができた」「相談相手ができた」といった「新しいつながり」を挙げた人は20%以下だったが、アメリカ、イギリス、ドイツは、「新しい友人ができた」を上げる人が30%を超えている。
一方で、「最新のニュースや情報を得ることができた」、「興味のある情報を得ることができた」のような「情報の収集」に関わる項目と、「暇つぶし」に関わる項目を挙げた国内ユーザーは約30%だった。こうした結果から白書では、日本のSNS活用について、
「我が国では他人とのつながりを得るためにソーシャルメディアを利用するというよりも、情報の収集や暇つぶしの手段という受け身の利用をすることにメリットを感じる傾向にあると言える」
と分析している。
ネット上の相手を信頼するかどうか、若者は「相手の写真」で判断する傾向
調査では、日本は他国と比べ、オンライン・オフライン共に、他人に対する信頼度が低いことも判明した。
オンライン上の相手について、「SNSで知り合う人達のほとんどは信頼できる」と答えた日本のユーザーは12.9%だが、アメリカは64.4%、ドイツは46.9%で、イギリスに至っては68.3%にも上る。
「インターネット上で知り合う人達について、信頼できる人とできない人を見分ける自信がある」という人も、日本では20.6%なのに対し、アメリカは66.7%、ドイツは57.1%、イギリスは71%だった。
オフラインでの対人関係でも、「ほとんどの人は信用できる」と考える日本人は33.7%。他3か国が軒並み60%以上を超えているのと比べると、大幅に低い数値だ。「信頼できる人とそうでない人を見分けられる」人も、日本が36.6%なのに対し、他3か国は70%以上だった。
日本国内の20歳から79歳の男女合計1200人を対象に、ネットで知り合う人を信頼するかどうか判断する上で重視していることを聞くと、最も多いのは「相手のオンラインでの発言」(28.7%)だった。次いで多かったのは「相手の名前が分かること」(27.9%)、「相手のメールアドレス等の連絡先や、他のサービスで利用しているアカウントが分かること」(22.2%)だった。
年齢別に見ると、20代、30代は男女ともに「相手の写真」を挙げる人が多い。20代の女性は「いいね!などのレコメンデーションの数」を元に信頼するか否かを決めている人が13%。他の年代や男性が数%の中、唯一の2桁台だった。