西日本の豪雨被害が拡大するに伴い、ネットでは、「窃盗団の目撃情報があったから注意してほしい」などの噂が流れている。ツイッターでは、広島県や岡山県を中心に7月8日、
「レスキュー隊の格好をした窃盗団がいます」
「外国人窃盗団の目撃情報があった」
「大阪ナンバーのセレナ、パジェロは窃盗団です。ナンバーは◯◯」
「ハウスクリーニングの業者を装った不審な人物の訪問がある」
などの情報が流れているが、広島県警は「そういった事態は把握していない」としている。
呉市「目撃情報があるわけではなく、市民から複数問い合わせがあったため載せた」
広島県警の担当者は「そうした情報や問い合わせは多数きていますが、警察では把握していません」と言う。県警のサイトでも「デマに注意してください」というタイトルで
「現在、SNSなどで『レスキュー隊のような服を着た窃盗グループが被災地に入っている』『犯人が乗っている車は○○で、ナンバーは○○○○』などといった情報が拡散されていますが、警察では、そのような事実は把握していません」
と注意を呼びかけている。岡山県警の担当者も、
「ネット上の情報など、出所不明な情報については、公的機関の情報を確認するようにしてください」
と話していた。
一方、広島県呉市は7月9日、ホームページ上に、「悪質な業者や窃盗団に注意してください」という題名で、次のような案内を掲載している。
「災害復旧を装い、被災した家を訪問しているグループを呉市内で見かけたとの情報が寄せられています。悪質な業者、もしくは留守宅に入り込む窃盗団の可能性がありますので、十分注意してください。また、そういった不審者を見かけた場合は警察に通報してください」
情報の詳細を市の担当者に問い合わせたところ、
「目撃情報があるわけではなく、SNSやフェイスブック上でそうした情報が出ている、という問い合わせが、複数の地域から寄せられたため掲載しました。インターネット上で出ているような、車のナンバーや服装のような具体的な情報はありません。市として何らかの対応をしようということで、注意喚起のために掲載しました」
という回答だった。ネットで情報に触れた人が心配になり、市に問い合わせた可能性が強い。
ITジャーナリスト「呉市はせめて警察に確認してから載せるべきでは」
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、こうした呉市の対応に首をかしげる。
「出所の不明な情報を鵜呑みにして、公的機関が掲載してしまうのはとてもよくありません。せめて警察に確認してから掲載するべきです」
とはいえ、災害の混乱に乗じて盗みを働こうとする人が出ないとも限らない。公的機関の職員をかたり、見舞金や支援金の名目で詐欺を行う人が出てくる可能性もある。情報を鵜呑みにしないことはもちろん大事だが、不審者や不審車両を見かけた場合には、すぐに110番通報することも忘れないでほしい。