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監督&キャストもお気に入りの車中ケンカを収録 『グッバイ・ゴダール!』本編映像公開

2018年07月09日 11:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品『グッバイ・ゴダール!』より、本編映像が公開された。


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 本作は、ジャン=リュック・ゴダール監督作『中国女』の主演女優であり、ゴダールの2番目の妻でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説を映画化したもの。若くしてゴダールと出会い、そのミューズとなったヴィアゼムスキーを演じるのは、『ニンフォマニアック』で主人公ジョーの若き日を演じたステイシー・マーティン。ゴダールが牽引したヌーヴェルヴァーグから多大な影響を受けたとされるフィリップ・ガレルの息子ルイ・ガレルが、時代の寵児ゴダールを演じる。『アーティスト』で第84回アカデミー賞にて作品賞、監督賞をはじめとする5部門を受賞したミシェル・アザナヴィシウスが監督を務める。


 今回公開になったのは、1968年当時、ゴダールがカンヌ国際映画祭を中止に追いやった後、アンヌや友人のミシェルたちと一緒にカンヌから帰ってくる車中のシーン。6人の登場人物が車の中にスシ詰め状態になり、次第に口論となる様子がワンカットワンシーンで撮影されている。


 アザナヴィシウス監督や、ガレル、マーティンらが口を揃えて、本作の中で一番好きなシーンだと語るこの場面だが、撮影はとても大変だったよう。アザナヴィシウス監督は「一番大変だったのはタイミングの調整、つまりセリフの間と沈黙の管理だよ。全部をきっちり精確に実行する必要があって、とても時間と労力がかかった」と撮影を振り返る。それでも、自身がこだわったワンカットワンシーンの撮影はとても楽しかったらしく、「ルイ、ステイシー、ベレニスら、皆が狭い密室にぎゅうぎゅう詰めになっていた。1平方あたりにすごい密度の才能が詰まっている! これは、楽しすぎるよ!」とも語っている。


 ガレルは「このシーンは即興に見えるけれど、実際は細部まで計画されたものだ。監督の望んだものが出来上がるまで2日かかったよ。ほとんどの素材は、僕らのヒステリカルな笑いが入っちゃって使い物にならなかったからね。笑いを我慢するのが難しかったんだ。すごくおかしかったんだよ」と、口喧嘩のシーンなのに笑いが絶えない撮影現場だったことを明かす。


 同じく公開となった同シーンの撮影裏の写真からも、楽しそうな様子が伝わってくる。マーティンにとってもこの撮影は印象深かったそうで「とても暑くて、私たちはぎゅうぎゅう詰めだった。30テイクは撮ったわ。撮影開始のずいぶん最初の頃、監督は前もっていろいろ説明する代わりに、現場で『荒野の七人』の曲の一部を流したのよ! 私たちの間にたちまちチーム魂が燃え上がったの。私たちは軍団の一員なんだって意識が湧き起こった。監督は、温かくて創造的なやり方で私たちを奮い立たせたのよ!」とコメントした。(リアルサウンド編集部)